外国人が離婚をすると、在留資格や永住権が取り消しされて強制退去になるか?

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皆さんは、日本での国際結婚・国際離婚の現状をご存知ですか?

かつては外国人が少なかった日本も、国際化が進み、特に都心では「外国人との国際結婚も増えているのでは?」と予想される方も多いでしょう。しかし、実際の統計では逆の結果があります。

日本人と外国人の国際結婚については、平成18年までは増加傾向にあり、45000人を超えていたものの、平成27年では約21000人(結婚全体の3.3%)に激減しています。

かつてはフィリピン国籍の方との結婚が増え、国際結婚急増の時期があったのですが、現在では法律が変わったことで落ち着き、現状に至るようです。これだけ街に観光客が増えたのに意外といえば意外ですよね。

では、離婚率はどうでしょうか?

2015年の統計によると、約7割が離婚していると言われています。国際結婚自体が少ない上に、離婚は多いというのが現状なのです。

そこで、今回は国際離婚で知っておくべき法律を解説します。在留資格から、離婚後の親権、子どもの国籍まで見ていきましょう。

1. そもそもビザと在留資格は違うもの

「国際離婚すると、配偶者は国外退去されてしまうか?」という質問をされる方は多いです。

それを理解する上で必ず知っておくべきことの1つが「在留資格」と「ビザ」についてです。全てをかなり書くと長くなってしまいますので、ポイントをいくつかに絞ってお伝えしていきます。

まず一般的には、ビザと在留資格は同じものと捉えられていることがよくあります。通常の会話ではあまり区別されませんが、実はこの2つには違いがあるのです。

Q. ピザ(査証)とはそもそも何か

「ビザ」とは渡航前に、現地(つまり外国)の大使館や領事館でパスポート等を確認し「入国に問題がない」と判断された場合に発行される「証明書」のことです。

簡単いうと、実際に入国する際に「この人は事前に審査しましたが問題ありませんよ」という推薦状をもらったようなものとなります。

日本に入国する際は、現地の日本大使館でビザを発行してもらい、実際に入国するときにビザをチェックされ、入国した段階でビザは使用済みとなります。

つまりここで「ビザの効力は切れる」ということです。

Q. 在留資格とはそもそも何か

他方、在留資格とは、ビザの後に付与される「滞在資格」となります。

ビザを持った外国人のパスポート等をチェックし、入国の際に、つまり日本の中で入国が可能かどうかを判断します。入国OKと判断した場合には、在留資格を付与することで入国を許可するのです。

そして在留資格は、日本に滞在できる根拠となり「期間が限定」されています。期間前に出国するか、滞在資格を延長するかの手続きをしなければいけません。

このように、ビザとは入国までの証明書、在留資格は滞在の根拠となるものという点で違いがあります。

在留資格の種類

では、在留資格にはどのようなものがあるのでしょうか。

実は、在留資格は27種類もあります。それぞれ滞在を許可される要件や期間は異なり、行う手続きも異なります。すべての種類を説明すると長くなってしまいますので、ここでは国際結婚・離婚で最低限知っておくべき在留資格の種類について簡単にご説明します。

留学ビザ

まずは、みなさんもよく聞く留学ビザです。

一般的には留学ビザと呼ばれていますが、正式には「留学の在留資格」となります。留学の在留資格では、日本の大学,短期大学,高等専門学校,高等学校,中学校及び小学校等にて教育受ける外国人の学生・生徒に与えられます。

大学時代に知り合った外国人留学生と結婚する場合は、婚姻時は留学の在留資格となっていることになります。

就労ビザ

次に、就労ビザについてです。

正確には「就業の在留資格」となり、14もの種類があります。具体的には以下の通りです。

・教授
・芸術
・宗教
・報道
・経営・管理
・法律・会計業務、
・医療
・研究
・教育
・技術・人文知識
・国際業務
・企業内転勤
・介護
・興行
・技能

それぞれ個別に年数等は異なります。一般的に多い企業内転勤やほとんどの職種は、在留期間が5年,3年,1年又は3月となっています。日本に働きにきている方とご結婚された外国人の方は、婚姻時はこの在留資格であったはずです。

日本人の配偶者等

そして、婚姻後の在留資格です。

具体的には、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」という在留資格があります。「日本人の配偶者等」とは、「日本人の配偶者若しくは特別養子又は日本人の子として出生した者、日本人の配偶者・子・特別養子」の在留資格を指し、期間としては、5年、3年、1年又は6ヶ月があります。

「永住者の配偶者等」とは、「永住者等の配偶者又は永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者、永住者・特別永住者の配偶者及び本邦で出生し引き続き在留している子」の在留資格を指します。滞在期間は、上記と同様です。

日本人と結婚した方や国際結婚の間に生まれた子ども、永住権を持つ人、永住権を持つ親の子どもは、この在留資格となるのです。

さらに、「定住者」という在留資格もあります。
具体的には、「法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者、第三国定住難民,日系3世,中国残留邦人等」が対象です。期間は、5年、3年、1年、6ヶ月又は法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)となっています。こちらは、国際離婚をしたあとに、日本に住み続ける在留資格としてよく利用されているものとなります。

永住者

最後に、「永住者」という在留資格です。

法務大臣が永住を認める者、法務大臣から永住の許可を受けた者(入管特例法の「特別永住者」を除く。)に与えられる資格となります。永住者ですので、期間は無期限となります。

国際離婚後に、日本国籍を持つ子どもと日本に暮らすため、永住権を取得される方も多くなっています。

3. 国際離婚すると、外国人の在留資格はどうなるの?

それでは国際離婚をすると、外国人の方の在留資格はどうなるのでしょうか。

3-1.「配偶者等」の在留資格の場合:離婚から6ヶ月で強制送還されるって本当?

日本人と結婚し「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」の在留資格を得ていた場合、離婚するとどうなるのでしょうか。

結論から申し上げますと、離婚するとすぐに退去しなければいけないわけではありません。基本的には、離婚後も「在留期限まで」滞在することができます。

離婚したらすぐに中国やフィリピン、韓国へ出国しなければならないと考えている方が多いのですが、離婚してもすぐに在留資格がなくなってしまうわけではありません。

もっとも、在留期限までに「在留資格の変更」をしなくてはなりません。

3-2.入国管理局に離婚を届け出る必要性ってあるの?

では、国際結婚で離婚をする場合、離婚自体を入国管理局に届け出る必要はあるのでしょうか。

外国人の方が、日本人と離婚する場合、在留資格の根拠がなくなってしまいますので、入国管理局に届け出なければいけません。離婚後「2週間以内」に届け出る必要があります。届け出は義務であり、これを怠ると「罰金」の可能性もあります。

届け出をしないと、その後の在留資格の更新にも影響が出てしまいますのでごまかさないようにしましょう。

また入管法によると、「日本人の配偶者としての活動を継続して6カ月以上おこなわないで在留している場合には在留資格を取消すことができる」ことになっています。つまり、離婚後6ヶ月は、日本に滞在可能であるが、その後は在留資格取り消しの可能性があるということです。

6ヶ月後にすぐに失効するわけではありませんが、この間に在留資格の更新をしなければいけません。例外的に、離婚裁判中である場合などは、「正当な理由」となるため、在留資格が取り消されません。

「配偶者等」の資格を更新するにはどうしたらいいの?

では、外国人が日本人と離婚する場合に、日本に住み続けるにはどうしたらよいのでしょうか。

日本人と結婚したことを理由に在留資格が与えられている方は、現在「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」となっているはずです。この場合は、できるだけ早く在留資格を変更しなければいけません。

具体的には主に「就業の在留資格」「定住者の在留資格」「永住者の在留資格」のいずれかを選択することになります。

就業の在留資格の場合

まず、就業の在留資格についてです。

配偶者等の在留資格の場合は、職種に限定がありません。しかし、就業の在留資格は限定されますので、学績・職歴などでそれぞれの要件を満たさなければ、許可してもらえない場合が多いです。

定住者の在留資格の場合

また定住者の在留資格の場合は、「婚姻期間3年以上で一定の収入や資産があること」あるいは「日本国籍を持つ親の子供の親権」があり、監護する必要がある場合、が条件です。

3年未満である場合や、生活保護を受けている場合でも変更は可能とするケースもありますが、原則的には上記が条件となります。定住者に変更できた場合には、就労の職種に制限はありません。

永住者の在留資格の場合

最後に、永住者の在留資格です。

永住者に変更するためには「「配偶者等」の在留資格の場合は、婚姻期間が3年以上で直近1年以上日本に住んでいること」「定住者として5年以上日本に住んでいること」「これら以外の在留資格の場合は、日本に10年以上居住していること」が必要になります。

これら以外にも「安定した収入」があることが条件です。永住者は在留資格でももっとも長いものとなるため、ハードルも高くなります。

このように、現在「配偶者等」の在留資格の方は、在留資格を上記のどれかに変更することで、日本に居住し続けることができます。

3-4.離婚したら永住権は取り消しになる?

では、離婚した場合に永住権はどうなってしまうのでしょうか。

まず、離婚が影響するのは「配偶者等」の在留資格の場合のみです。そのため、定住者や永住者の在留資格を持っている方は、離婚による影響はありません。離婚による永住権の取り消しはないので安心してください。

また、日本国籍に帰化している方も心配される方がいらっしゃいますが、なんら問題ありません。日本国籍が取り消されたりすることはありませんので、安心してください。

このように、国際離婚した場合には、在留資格に関して多くの不安を抱えている方多いと思います。これら以外にも疑問がある方は、国際結婚・離婚を専門に持つ弁護士に相談しましょう。

4.子供の親権・国籍はどうなる?

「国際離婚で、子供はどうなってしまうのか?」と心配な方が多くいらっしゃると思います。

国際離婚の際、子どもの親権はどうなるのでしょうか。

まず、国際離婚の際に「どの国の法律」が適用されるかについてご説明いたします。

日本では、外国人と日本人の国際私法取引、国際家事事件については、「法の適用に関する通則法(以下、「通則法」とする。)」という法律が適用されています。この法律には、国際離婚の際の子どもの親権についてどの国の法律が適用されるべきかが記載されています。

通則法32条では、「親子間の法律関係は、子の本国法が父又は母の本国法(父母の一方が死亡し、又は知れない場合にあっては、他の一方の本国法)と同一である場合には子の本国法により、その他の場合には子の常居所地法による。」と規定されています。

簡単に説明すると、子どもの国籍と父母のどちらかと同じ場合には、子どもの国籍の国の法律が適用されます。

子どもの国籍が父母どちらとも異なる場合には、子どもが相当期間住んでいる場所の法律が適用されます。

具体例で考えてみると、例えば父・アメリカ人、母・日本人、子・アメリカ国籍の場合は、アメリカの法律が適用されるというわけです。

ちなみに、子が日本とアメリカの二重国籍の場合は、居住している国の法律が適用されます(同法38条1項)。

国際離婚後の子どもの国籍

では、国際離婚を行った場合に、子どもの国籍はどうなるのでしょうか。

まず、日本で子どもが生まれた場合についてです。この場合、両親どちらかが日本人の場合には、日本国籍を保持できます。

この場合、婚姻相手の国の法律にもよりますが、20歳までは二重国籍の状態となります。子どもが20歳になるまでに自分で国籍を選ぶことが可能です。

そして両親が離婚した場合も子どもの国籍は変わらず、将来的に本人の意思で選ぶことになります。

「離婚すると外国籍になってしまうのでは?」と考える方もいますが、自動的に外国籍になることはありません。本人が納得した上で、日本国籍を放棄しないと外国籍にはならないということです。

Q.親の在留資格がきれた場合。子どもはどうなるの?

では、離婚で親の在留資格がなくなってしまった場合、子どもの在留資格に影響するのでしょうか。

まず、子どもが日本国籍を保有(二重国籍でも同じ)している場合には、子どもに影響はありません。

日本に住み続けることができます。子どもが前妻・前夫の子である場合等で、外国国籍の場合は、子供の在留資格は生まれた時から「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」等となっているはず。

この場合、親の在留資格も同様に「配偶者等」である場合には、親の在留資格の変更によって子どもの在留資格も変更します。しかし、子どもが3年以上日本に居住している場合には、監護者と一緒に「定住者の在留資格取得」なども考えられます。

仮に、離婚後に定住者に在留資格を変更する場合は、離婚の経緯や理由も聞かれることになります。離婚理由等も許可に影響しますので、丁寧に説明する必要があるでしょう。

このように、子どもが日本国籍を保有している場合は何ら問題ありません。子どもが外国籍の場合には、定住者の在留資格に変更することを検討してみましょう。

外国人と戸籍。離婚したらどうなるの?

最後に、外国人と戸籍についてご説明します。そもそも前提として外国人の戸籍はどのようになっているのでしょうか。

そもそも結婚した時、外国人配偶者の戸籍はどうなってる

まず、外国人の場合は日本人と結婚しても独自の戸籍を持つことはできません。とはいっても、全く戸籍に表記されないわけではなく、日本人配偶者が筆頭者となる戸籍に外国人配偶者の名前が記載されることになります。戸籍には、名前だけでなく国籍や婚姻期日なども記載されます。

そもそも結婚した時、子供の戸籍はどうなってる

次に、国際結婚の間に生まれた子どもについてですが、出生届を提出すると同時に、日本人配偶者が筆頭となっている戸籍に記載されます。この点は、日本人同士の間に子どもが生まれた場合と何ら違いはありません。

また婚姻後の苗字については、相手の国の法律によっては夫婦別姓も選べることはご存知可と思いますが、子どものみ外国籍の苗字にする場合は、家庭裁判所に子どもの苗字の変更を申し立てなければいけません。認められると、子ども独自の戸籍が作られます。

ちなみに、日本では戸籍といえば「あるのが当たり前」のことのように扱われていますが、実は海外では戸籍自体がない国の方が多いのです。お隣の韓国では、日本と同じように戸籍がありましたが、2008年に廃止され、その代わりに国民全員に番号が割り振られています。日本でもマイナンバーが導入されましたので、もしかすると将来的には戸籍がなくなる可能性もあるかもしれませんね。

離婚後の外国人配偶者の戸籍の取り扱い。子どもの戸籍は?

では、離婚をした場合は、外国人配偶者の戸籍はどうなるのでしょうか。

先にお話しした通り、戸籍は日本人配偶者を筆頭者として作成されます。そのため、離婚しても戸籍はそのままです。筆頭者と子どもの戸籍がそのまま残ることになります。外国籍の配偶者については、離婚の事実が記載されます。

問題となるのは苗字です。日本人同士の結婚の場合、離婚すると届け出をしない限り自動的に旧姓に戻ります。国際結婚でも、日本の姓を選んだ場合にはそのままとなります。しかし、国際結婚の場合で外国籍の方の苗字に変更していた場合には、離婚後手続きなしに元の苗字戻ることはありません。

離婚後3ヶ月以内に届け出をすることで旧姓に戻ることが可能です。これを過ぎると、家庭裁判所にて改氏の申し立てが必要です。

このように、離婚後は戸籍よりも苗字の問題が発生するケースが多くなります。離婚前に事前に子どもと親の苗字をどうすべきか考えておく必要があるでしょう。

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