養育費を取り決めなし!遡って請求可?成人後に請求可能?
子供の養育費の取り決めなしでも良いかなと考えていたけれど、後から請求されたり、遡って請求されたり、成人後に請求される…[続きを読む]
夫と離婚する場合、養育費をきちんともらえるのか気になる方も多いでしょう。
周囲からは、夫の年収が1000万円程度であるため、「多額の養育費を要求できるはず」と言われることもあるかもしれません。しかし、実際には夫の年収は考慮すべき要素の一つに過ぎず、他の事情も考慮する必要があります。
ここで、夫(父親)の年収が1000万円の場合における子どもの養育費(1人、2人、3人の場合)の相場について解説します。養育費の計算方法や考慮すべき要素、さらには年収1000万円の場合における養育費のシミュレーションについて、わかりやすく説明します。
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「依頼者が弁護士であれば実現したいと思うすべてを実現する」ことを理念とし、いわゆる「富裕層」世帯の離婚事件を豊富に取り扱っています。
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目次
年収1000万の場合の養育費計算の前に、まずは養育費の基本について学んでいきましょう。養育費の決め方と知っておくべきポイントについて見ていきます。
養育費とは、子どもが成人し独立して生計を立てるまでに必要な費用のことを指します。
養育費は基本的には当事者間(父母)の同意によって金額が決まります。つまり、お互いが納得した金額であり、子どもの生活費として十分な金額であれば、いくらでも決めることが可能です。
例えば、年収1000万円の父親の場合「年収が高いので、一般的な金額よりも高めに設定したい」ということも、当事者感が納得していれば可能ということです。
もっとも、養育費は長期的に支払うものであることから、支払い者側はできるだけ低く設定したいと考えるのが一般的です。「子どものためならいくらでも」という支払い者もいらっしゃいますが、将来的な生活を考えるとそうといえない現実があります。
また、養育費の金額は離婚時に揉めてしまう事情にもなりえるため、通常は、父母の収入、子どもの年齢、人数によって養育費の金額を割り出す算定表を用います。これについては後ほど(3.養育費のシミュレーション)にて詳しくご説明します。
年収1000万の場合に限らず、「養育費は一般的に何歳から何歳までもらえるの?」という疑問をお持ちの方もいるとは思いますが、結論からいうと「養育費の支払いは、養育費の請求があった時点」から発生するものと考えられています。
従って、内容証明郵便等で相手方に支払いを請求した時点、養育費の調停申し立てがあった時点から養育費は発生します。
そして、養育費は、基本的には20歳までと考えられています。成人となる年齢は18歳に引き下げられましたが、養育費の支払いには影響しません。子どもが大学に進学する場合は大学卒業まで、大学院卒業までなど当事者の合意で20歳以上に設定することもできます。子どもが病気にこれを考慮して養育費終期を決めないとする(回復の見込みを考慮)ことも可能です。
また、養育費を請求するまでに時間がかなり経過してしまった場合、「遡って請求したい」と考えると思いますが、実際上は離婚時に遡って請求するのは難しいため、離婚を検討する時点で養育費の請求を検討しておくべきです。
ただ、これは家裁実務の話です。
もし、元夫婦間での交渉で、互いに了承することができれば、もちろん遡って請求することは可能は可能です。ただ揉めてしまい請求することが難しくなるケースもあります。
なお、別居中の養育費の場合は、別居開始から離婚するまでにかかった養育費を婚姻費用という名目で請求することができますので、覚えておきましょう。
元夫に1000万円の収入がある場合でも、「年度」によって大きく収入に差がある場合もあります。
この場合は、数年分の平均年収を計算して用いることもあります。
収入に変動がある場合には、養育費の算定が難しいこともありますので、養育費に不満があり増額を希望する場合には弁護士に相談すべきです。
子どもが私立の学校に通うケースなど養育費で考慮して欲しい場合もあるでしょう。この場合は養育費の金額を設定することが難しく、当事者間で揉める原因となることもあります。
このような事情がある場合は弁護士に相談してください。
それでは、具体的な年収1000万の場合の養育費の計算方法について詳しく見ていきましょう。ここでは、養育費算定表を使用します。
養育費算定表は、家庭裁判所で養育費を算定する際に使用される資料です。この表にいくつかの要素を当てはめることで、養育費の相場が分かります。
以下の手順で養育費算定表を参照します。
給与所得者の場合、年収は源泉徴収票の「支払金額」から確認できます。自営業者の場合は、確定申告書の「課税される所得金額」を参照します。
ただし、先に述べた通り、年収の算定は各家庭の状況によって異なるため、疑問がある場合は弁護士に相談することをおすすめします。
今回は、パート主婦(年収102万円)と専業主婦の場合を考え、それぞれが会社員または自営業者の場合の養育費の相場をシミュレーションしていきます。
夫が年収1000万円の会社員、妻がパート主婦で年収が102万円以下の場合の養育費の相場は以下の通りとなります。
0-14歳の子ども | 10-12万円 |
15歳以上の子ども | 12-14万円 |
0-14歳の子ども・0-14歳の子ども | 16-18万円 |
15歳以上の子ども・0-14歳の子ども | 16-18万円 |
15歳以上の子ども・15歳以上の子ども | 18-20万円 |
0-14歳の子ども3人 | 18-20万円 |
0-14歳の子ども2人・15歳以上の子ども1人 | 20-22万円 |
15歳以上の子ども2人・0-14歳の子ども | 20-22万円 |
15歳以上の子ども3人 | 20-22万円 |
夫が年収1000万円の会社員、妻が専業主婦の場合の養育費の相場は以下の通りとなります。
ただし、専業主婦の場合でも働ける状況にある場合には、資格や前職を参考に一定の収入があると仮定される場合があります。
この場合、養育費は減少してしまう可能性もありますので、まずは弁護士に相談することをお勧めします。
0-14歳の子ども | 12−14万円 |
15歳以上の子ども | 14-16万円 |
0-14歳の子ども・0-14歳の子ども | 18-20万円 |
15歳以上の子ども・0-14歳の子ども | 18-20万円 |
15歳以上の子ども・15歳以上の子ども | 20-22万円 |
0-14歳の子ども3人 | 20-22万円 |
0-14歳の子ども2人・15歳以上の子ども1人 | 22-24万円 |
15歳以上の子ども2人・0-14歳の子ども | 22-24万円 |
15歳以上の子ども3人 | 24-26万円 |
上記で述べられた通り、専業主婦の場合、パートをする主婦よりも養育費の請求額が多くなることがあります。
しかし、その金額差は大きくなく、月に0〜4万円程度の範囲内であり、差があるという程度にとどまります。
次は自営業者が年収1000万円の場合で、パート主婦で、年収が102万円以下の場合の養育費の相場は以下の通りとなります。
会社員の場合と比べると、概ね金額が大きくなることが分かります。
0-14歳の子ども | 14-16万円 |
15歳以上の子ども | 16-18万円 |
0-14歳の子ども・0-14歳の子ども | 20-22万円 |
15歳以上の子ども・0-14歳の子ども | 22-24万円 |
15歳以上の子ども・15歳以上の子ども | 24−26万円 |
0-14歳の子ども3人 | 18-20万円 |
0-14歳の子ども2人・15歳以上の子ども1人 | 26-28万円 |
15歳以上の子ども2人・0-14歳の子ども | 26-28万円 |
15歳以上の子ども3人 | 26-28万円 |
最後に、自営業者の年収が1000万円の場合で、専業主婦の場合の養育費を以下の表にまとめます。
0-14歳の子ども | 16-18万円 |
15歳以上の子ども | 18-20万円 |
0-14歳の子ども・0-14歳の子ども | 22-24万円 |
15歳以上の子ども・0-14歳の子ども | 24-26万円 |
15歳以上の子ども・15歳以上の子ども | 26-28万円 |
0-14歳の子ども3人 | 26-28万円 |
0-14歳の子ども2人・15歳以上の子ども1人 | 28-30万円 |
15歳以上の子ども2人・0-14歳の子ども | 28-20万円 |
15歳以上の子ども3人 | 30-32万円 |
上記で行った養育費シミュレーションのケースの場合は、ご自身で養育費算定表を用いて相場を判断していただくことになります。
また、年収を確定しにくい事情がある場合や現状の養育費に不満をお持ちの場合、養育費の金額で相手方とすでに揉めている場合は、専門家による判断が必要不可欠です。
納得のいく養育費を受け取るためにも、養育費でお悩みがある方はぜひお近くの弁護士にご相談ください。