妻・夫に財産隠しされた!財産分与を受けるには?離婚後でも可能?

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離婚するとなると必ずと言っていいほど問題となるのが、お金の問題です。

これから縁を切る相手に対して渡すお金は、少しでも少なく抑えたい!というのは当たり前の感情かもしれません。
今回は、よくある財産隠しの方法から、財産隠しをされてしまった時にどのような対応をとったら良いのかといった知識まで、財産隠しに関することを一から細かく解説していきます。

配偶者に財産隠しをされている可能性があるけどどうしたらいいのかわからなくて悩んでいる方は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。

最初に知っておくべきこと

まずはじめに「財産隠し」について考えるうえで知っておかなくてはならない、基本的な知識を確認していきます。

隠された財産を調べるのは大変

配偶者との離婚を考える際、できることならいわゆる円満離婚をしたいものですが、「離婚する相手に対して財産分与をしたくない…」という気持ちから、配偶者が財産を隠してしまうということも残念ながら珍しいことではありません。

しかし一度財産を隠されてしまうと、後から隠された財産を調べることは簡単にはできないのです。
もちろん裁判での強制調査などの方法もあるのですが、時間も費用もかかってしまいます。

そのため、財産隠しにおいて大切なことは「財産隠しされたものに対してどのように対処すればよいのか?」ということではなく、「隠される前に対処する」ということです。

離婚をしたいと考えている方は、安易に離婚を切り出して配偶者に財産隠しをされてしまう前に、まずは夫婦の財産状況を前もって把握しておくことをおすすめします。

隠し財産があっても罪には問われない

よくある疑問が「財産隠しは罪に問われるのか?」ということですが、答えは「NO」です。通常は財産隠しが罪に問われることはありません。

では、財産隠しを行なった配偶者の罪を責めることはできないのでしょうか?

刑事事件としては処罰されない

もちろん離婚に際して財産分与が行われるにあたって、本来所有している財産は全て開示しなくてはなりません。

このようなルールのうえで持っている全ての財産の開示をせずに、財産の一部を隠したうえで財産分与を行ったのであれば、一見「詐欺罪」が成立するのではないかと思われます。

しかし、詐欺罪・窃盗罪には「親族相盗例(しんぞくそうとうれい)」という規定が適用されるのです。
親族相盗例というのは、刑法上の規定の一つで、親族間で発生した窃盗罪・詐欺罪・恐喝罪などの財産に関する犯罪行為またはその未遂罪については、その刑を免除したりまたは親告罪とするという規定のことです(刑法244条、251条)。

夫婦間においては、相手を騙したり、財産を隠す・盗むといった犯罪行為が行われても、刑罰は免除されることとなります。
そのため、もしも配偶者が財産隠しを行なったということがわかっても、刑事事件として処罰してもらうことはできないのです。

民事上では損害賠償請求が可能な場合もあり

刑事事件上では罪に問われることはなくても、財産隠しは民事上の不法行為または不当利得とされる可能性があります(民法709条、703条)。
そのため、配偶者が財産隠しをしたことによって損害を受けたという事実がある方は、配偶者に対して損害賠償を請求できる可能性があります。

調査が必要なのは、財産分与の対象である「共有財産」

財産分与の対象となるのは、婚姻期間中に夫婦で取得し、維持してきた夫婦の「共有財産」のみとなります。

結婚前に個人的に築いていた財産や、贈与・相続などで個人的に得た財産は「特有財産」と呼ばれ、財産分与の対象とはならないのです。

つまり、もしも共有財産以外の財産を隠されていたとしても財産分与に影響はありませんので、調査を行う必要はありません。

<例>
共有財産…結婚後に購入した土地
特有財産…配偶者が結婚前から所有していた土地

財産分与のやり直しができることもある

財産隠しされた分を公平に取り戻したいという場合には、民事上の請求のほか、財産分与のやり直しが可能な場合もあります。
通常、相手とやり直しに合意するか、財産分与自体が詐欺や錯誤に基づき取り消し・無効な場合には、財産分与をやり直すことができます。

ただし、財産分与請求権は離婚から2年で請求できなくなります(768条2項ただし書)。
もし財産分与のやり直しを希望する場合は、2年以内というのを忘れないようにしましょう。

なお、2年を超えても任意に請求に応じてもらうことはできますが、財産隠しが問題になるような場合は、請求に応じてもらえる可能性は低いでしょう。

財産隠しの方法と、財産隠しがある夫婦の特徴

ここでは、具体的な財産隠しの方法を財産隠しが行われる夫婦にありがちな特徴と合わせてご紹介していきます。

よくある財産の隠し方

良くも悪くも、財産隠しは簡単にできてしまうというのが現実です。
以下具体的な方法を見ていきましょう。

配偶者の知らない銀行口座

配偶者の知らない銀行口座に財産を隠すというのは、財産隠しの典型的な方法です。

いわゆる「隠し口座」は存在していること自体相手に知られていませんので、探す対象から外れてしまい、結果としてなかなか見つけることができないのです。

家具の中

古典的な方法ですが、現金などの財産を家具の中に隠すケースもよく見られます。

家具と言っても様々な場所が考えられ、タンス・机・戸棚・本棚・ベッドの下・絵画の裏などに隠すケースが比較的多いと言えます。

貸し金庫(金・貴金属にして隠す)

万全を期して、貸し金庫に隠すケースもあります。
また現金で隠すだけではなく、金や貴金属にして貸し金庫に隠すというケースもあります。

貸金庫に財産を隠されてしまうと、弁護士などの専門家が入っても調査が難航することが多いので注意が必要です。

知人・親族の口座

知人や親族の口座に、複数回に分けて一時的に預けるという方法もあります。

配偶者が相手の知人や親族の通帳を見るのは相当難しいと言えますし、さらに複数回に分けて少しずつ送金されることで見つけるのがとても難しくなります。

財産隠しが起きやすい夫婦の特徴

離婚すればこれからは別々の人生を歩むことになるのですから、どんなに幸せな結婚生活を送っていた時期があったとしても、財産を分けたくないという気持ちが出てきてしまうものです。

ここでは、財産隠しが起こりやすい夫婦の特徴を紹介します。

共働きで通帳を別々に管理してきている場合

共働きで生計を立てている夫婦の場合には、毎月の生活に必要な一定の金額を家計に入れ、それぞれの残りの給料はお互いの自由にしていることが多いです。

この場合、残りの給料を貯めた財産などは非常に隠しやすく、隠されていることにさえ気がつかないケースも多いと言えます。

明らかに富裕層である場合

明らかに富裕層である場合には、通常の家庭よりも財産分与の額が高額になることが多く、少しでも相手への財産分与を少なくしようと隠す傾向があります。

高額な財産を持っている方ほど弁護士や税理士などが付いていることが多く、素人ではなかなか気がつかない合法的な方法で隠されてしまうケースも多々あります。

モラハラ系の夫の場合

モラハラ(モラルハラスメント)とは、倫理や道徳に反した暴言など精神的な暴力・嫌がらせを行うことです。

モラハラを行う人物は、外面が良く、ずる賢く、口が上手いといった特徴を持つため、モラハラの標的ではない相手には好かれやすく、友人や知人が多い場合がよくあります。
そのため、上手に友人や知人を味方につけて利用し、上手に財産隠しをする傾向にあります。

財産隠しが疑われるときの対応

では、実際に配偶者が財産隠しをしているのではという疑いがある場合には、どのような対応を取ればよいのでしょうか?
相手が財産を隠しているような場合には、財産分与をするにあたって調停・審判・裁判という法的手続きをとっていくことをおすすめします。

調停で、財産隠しを公にすることは可能か?

夫婦間の話し合いのみで離婚を決する「協議離婚」が成立しなかった場合、家庭裁判所を通して「離婚調停」を行うことになります。
さらに、調停でも夫婦双方で離婚条件に同意が得られなかった場合には、裁判官が離婚の可否や条件を決定する「離婚審判」または「離婚裁判」となります。

また、離婚後に財産隠しが発覚し、財産分与を請求する場合は、「財産分与請求調停」や「財産分与請求審判」によって行います。

こうした調停や審判の手続のなかで、隠し財産の開示を求めることは可能ですが、これには一定の証拠が必要です。
特に審判では話し合いの手続ではないため、法律的な立証をしなければなりません。

現実的に用意なことではないため、事前にしっかりと証拠を押さえておくことが大切です。

なお、仮に離婚調停内で財産について虚偽の発言がなされたとしても偽証罪にはならず、罪に問うことはできません。

仮差押・審判前の保全処分とは

調停・審判は通常数ヶ月以上の日数を要します。
そのため、せっかく裁判所を通した調停・審判を行っても、その間に財産隠しをされてしまう恐れがあるのです。

そこで、段階に分けて3つの方法が考えられます。
ただ、これらの手段は法律上の複雑な手続きですので、なるべく弁護士にご相談されることをおすすめします。

調停前の仮処分

調停委員会は、調停中に一定の処分を命じることができます(家事事件手続法266条1項)。

これは職権で行われるものなので、調停の当事者が申し立てることはできませんが、「財産保全の仮処分をしてほしい」と打診してみることはできます

とはいえ、強制力のない処分で、強制執行もできませんので、あまり財産隠しへの対処としての有効性は高くありません。
一応、処分に応じない場合は10万円以下の過料が科せられます(家事事件手続法266条4項)。

審判前の保全処分

審判前の保全処分は「審判」とついていますが、実は離婚した後の財産分与請求調停では、調停の段階でも利用できます(家事事件手続法105条1項)。

この処分は強制力があるため(守らなければ強制執行できる)、これを利用して「係争物に関する仮処分」として財産の処分禁止命令を出してもらうということもできます。

ただし、もちろん裁判所に保全の理由や必要性を疎明(※)しなければなりません。

※疎明とは、そこまで高度ではない証明と理解しておけば大丈夫です。裁判所に納得してもらえる程度の簡易的な証明です。

民事保全手続

最後に、民事保全という手続きのなかで裁判所に「仮差押命令」を出してもらうことも可能です。
現実的には、離婚前であればこの手続きをとるしかないでしょう。

仮差押命令は、対象物を特定する必要があるため、抽象的に「財産全て」について行うことはできません。

また、命令を出してもらう要件として、①離婚原因があること、②保全の必要性があることの2点が必須です。
この他、一定の担保(保証金)が必要になります。

通帳・銀行口座の開示をする方法とメリット・デメリット

財産隠しには様々な方法があることをご紹介しましたが、では実際に相手が銀行口座に財産を隠している可能性がある場合、どのように対応したらよいのでしょうか?

通帳・銀行口座の開示には、大きく分けて3つの方法があります。

弁護士会照会制度(23条照会)

弁護士は必要に応じて銀行口座の開示を金融機関に請求することができ、これは通称23条照会と呼ばれています。

しかし金融機関に情報開示の義務があるわけではなく、預金者の秘密保護などを理由として、口座名義人の同意を要求し、拒否するケースが多いのが現状です。

とはいえ債務の存在を確認できる文書を示せば、銀行も対応するように近年変化が見られますので、必要に応じて、弁護士を通じて請求するようにしましょう。

裁判所の調査嘱託をする

調査嘱託(ちょうさしょくたく)とは、裁判所で行える手続きの一つです。
裁判所は金融機関などに必要な調査を依頼することができ、配偶者の口座について調べることが可能です。

しかしこの手続きを利用するためには、銀行名・支店名も特定して申し立てる必要があります。
裁判所は銀行口座の所在を把握する手伝いをしてはくれませんので、配偶者に隠し口座の有無があるかどうかはもちろんのこと、銀行名から支店名に至るまで自力で突き止めなくてはなりません。

探偵に依頼する

財産預金調査に対応している探偵に依頼するというのも一つの手段です。
ただし探偵への依頼は高額な費用がかかる可能性が高いので、本当に信頼できる事業者なのかどうかよく確認してから依頼するようにしましょう。

まとめ

今回は財産隠しについて、その具体的な方法や配偶者に財産隠しをされてしまったときの対処法をご紹介してきました。

財産は一度隠されてしまうとなかなか見つけ出すことが難しく、多大な費用や時間がかかってしまう可能性があります。
離婚を考えている方は、むやみに離婚を切り出して相手に財産を隠されてしまうことのないよう、前もって夫婦の共有財産を確認しておくようにしましょう。

また、もしもすでに財産を隠されてしまっている可能性がある場合には、離婚に関する知識と経験が豊富な弁護士に相談することをおすすめします。

 
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弁護士法人 浜松町アウルス法律事務所
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ご相談だけでも、「安心した」「解決の糸口が見えた」と思っていただけるよう心がけています。全国対応ですのでお任せください。

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