離婚調停が不成立になったら裁判離婚をすべき?不調後の選択肢
そこで今回は、離婚調停が不成立になるケース、不成立になった後の選択肢、離婚裁判と離婚調停の違いについてご説明します。[続きを読む]
現代において、夫婦が諍いを解決する手段として離婚を選ぶことは珍しいことではありません。
円満な形で離婚できる場合もあれば、親権や財産の分与などで合意に達せず、離婚が難航するケースも存在します。そのような状況下で、解決策を見つけるために離婚調停が行われることがあります。
しかし、離婚調停とはどのようなプロセスなのか、どのように進めるべきか、多くの人にとって未知の領域かもしれません。
このため、ここでは家庭裁判所での離婚調停の手続きや必要書類、その書き方について詳しく説明します。また、平均的な期間や回数なども含め、離婚調停の全体の流れについても細かく解説します。離婚調停を考えている方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
目次
離婚調停とは、当事者同士の話し合いで離婚(協議離婚)に合意できない夫婦が、家庭裁判所で調停委員を交え離婚について話し合うことをいいます。
話し合いとはいえ、夫婦一緒に行うことはなく、調停委員が双方の意見を交互に聞きながら解決策を探ります。
相手側と会いたくないといった要望にも裁判所は配慮しますので、DVなどで悩んでいる人も安心して離婚調停を申し立てることができます。
離婚調停で話し合う内容の例としては、次のようなものがあります(どこまで申し立てるかによって異なります)。
離婚調停では、離婚にまつわるあらゆることを話し合うことができます。
もし調停でもまとまらない場合は離婚調停は不成立となります。
離婚調停が不成立となった場合、離婚訴訟、調停に代わる審判、再度協議に戻る、離婚を諦めるなどの選択肢があります。
ここでは、離婚調停にかかる費用や必要な書類、持ち物について説明します。
基本的には以下の書類が必要ですが、裁判者の判断で、一部必要のない場合や追加で資料が必要になる場合もあります。
書類名 | 解説 |
---|---|
申立書 | 裁判所に離婚調停を申し立てる場合は、家庭裁判所へ提出用・相手方用で申立書2通が必須です。 自分の手元の控えもあったほうがいいため、原本とコピー2部を作成し、コピー1部を手元に保管しておきましょう。 残りのコピー1部と原本は家庭裁判所に提出します。 なお、右の申立書は全国の家庭裁判所共通で利用できます。 |
事情説明書 | どのような内容で争っているのかを具体的に説明する書類です。 事情説明書の書式は各家庭裁判所により異なるので、申し立てる家庭裁判所から取得しましょう。 |
子についての 事情説明書 |
未成年の子どもがいる場合、子どもについての事情説明書を記入します。 子どもの現在の状況について説明する書類です。 こちらも、各家庭裁判所により書式が異なります。 |
連絡先等の届出書 | 連絡をとる際に必要な情報を記入する書類です。 各家庭裁判所により書式が異なります。 |
進行に関する照会回答書 | 裁判所が調停をスムーズに進めるために参考とする書類です。 各家庭裁判所により書式が異なります。 |
夫婦の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書) | 夫婦それぞれ、3ヶ月以内に発行された戸籍謄本が必要です。市町村の役所で取得します。 申立人が2人分を揃えて提出するのではなく、それぞれが自分の戸籍謄本を郵送します。 |
住民票 | 必須ではありませんが、調停ではよく住民票の提出を求められます。 世帯主や本籍地などの記載の省略がない住民票を取得してください。 |
上記の書類は、裁判所のホームページからダウンロードできるものもあります。
たとえば、東京家庭裁判所の場合はこちらにまとめられています。
また申立書の書き方については、下記ページもご参考ください。
養育費が必要な年齢の子どもがいる場合に、養育費金額を決める必要があります。
夫婦それぞれの収入がわかる書類が必要です。源泉徴収票、給与明細、確定申告書、非課税証明書など、必要な書類を準備しましょう。
また、年金分割の割合についても申し立てる場合は「年金分割のための情報通知書」が必要です。年金事務所や共済組合等にお問い合わせください。
離婚調停に必要な費用は次のとおりです。
離婚調停を申し立てる場合は、「収入印紙」を申立書に貼付して家庭裁判所に提出します。
収入印紙は郵便局で購入できます(コンビニでも扱っていることがあります)。
また、申し立てる内容が複数ある場合、それぞれの申立書ごとに収入印紙が追加で1200円ずつ必要です。
切手代は、申請する家庭裁判所により多少異なります。大体800円〜1,000円前後です。
家庭裁判所によっては、提出する切手の種類が定められているので事前に確認しましょう。
本籍のある市町村の役所で取得できます。
本籍から遠く離れている人は、郵送してもらえます。
郵送申請の場合、一般的には定額小為替で申請するため、定額小為替の手数料100円を加えて550円が必要です。
戸籍謄本と同様に、市町村の役所で取得できます。
マイナンバーカードを使ってコンビニなどで取得できる場合があります。
申し立て自体にかかる費用は、上記のとおりです。
ただし、相手方の住所を管轄している家庭裁判所で離婚調停をする場合、新幹線や飛行機代などの交通費が別途かかる場合があります。もし離婚調停を弁護士に依頼する場合は、弁護士費用がかかります。
まずは当然ですが、家庭裁判所のHPや市役所などで必要書類を揃えます。
ただ、この時点でつまづいてしまう方もいらっしゃることでしょう。その場合は、離婚調停に弁護士に相談することをおすすめします。
先述した必要書類が揃ったら、「相手方」の住所を管轄している家庭裁判所へ提出します。
この提出は郵送でも可能です。
基本的には、「相手方」の住所を管轄する家庭裁判所で離婚調停は行われます。
例外的に、夫婦で話し合って管轄以外の裁判所で行うことも可能です。
【参考】裁判所の管轄区域
また、裁判所によって窓口が開いている時間が違うため事前に確認します。
たとえば、東京家庭裁判所には夜間窓口があります(2020年5月6日まで新型コロナウイルスの拡大防止のため閉鎖、東京地裁の当直で受付)。
提出した書類に間違いがあれば訂正することになるので、印鑑を忘れずに持っていきましょう。
離婚調停の大まかな流れを把握しましょう。
①申し立て | 申立書を提出します。 |
②調停期日の調整 | 第一回離婚調停期日調整の連絡があり、家庭裁判所と日程調整を行い、第一回調停日が決まります。 |
③呼出状が届く | 調停日が決まると、申し立ての裁判所から夫婦それぞれに呼出状が届きます。 通常であれば、申し立てから1ヶ月後程度になるでしょう。 |
③第一回離婚調停 | 第一回目の調停が行われます。決定した調停日に遅刻しないよう家庭裁判所へ行きましょう。 |
④第二回離婚調停〜 | 合意して調停が成立するか、合意できないと判断されるまで、離婚調停は続けられます。 話し合いをしても合意できなければ調停不成立となります。 |
おおよそ1,2ヶ月に1回のペースで行われ、平均して3,4回程度で離婚調停は終了します。
離婚調停は平日に行われるため、土日にはしません。また、1回の調停時間は大体2〜3時間ほどです。
多くの離婚調停は、結果がどうであれ期間としては1年以内に決着することが多いようです。
離婚調停は流れ自体はシンプルですし、必要書類も集めようと思えば集めれます。
申し立てた家庭裁判所のHPで、ひな形や記載例を確認できるので、参考にしながら必要書類を作成します。
ただ、離婚調停自体に不安を感じる人は離婚に詳しい弁護士に依頼することを検討してみてはいかがでしょうか。
離婚後の生活を安定させるためにも、しっかりとした対策をとることをおすすめします。