慰謝料の相場って?離婚するときに知っておきたい慰謝料のポイント
離婚に至る原因が相手側にあったときに請求できる「慰謝料」。離婚の慰謝料ってどうやって決まるの?金額の相場は?できるだ…[続きを読む]
ある日突然不倫がバレてしまい、相手の夫や奥さんから慰謝料を請求されてしまったという場合、どう対応すべきかわからず不安になります。放っておけばそのうち収まると思い、何の応答もせずに放置していたら、裁判所から訴状が届いたというケースは少なくありません。
不倫慰謝料を請求されたら、まずは放置しないことが大切です。
そこで今回は、不倫慰謝料を請求された場合に確認すべきことをご説明します。
どのような点を確認すべきか、不貞行為で損害賠償請求ができる理由、必要な対応方法ついてお伝えします。
不倫慰謝料請求といっても、いろんな形で請求されることがあります。
不倫慰謝料を請求されたときは、「絶対払わなければいけないの?」と不安になっていることでしょう。
たしかに、場合によっては支払わなければいけません。しかし、まずはどのような方法で請求されたのかを確認すべきです。
誰からどのような形で請求されたのかがポイントです。
まず、不倫相手の配偶者から請求されたパターンです。
電話などの口頭で「慰謝料を支払え!」と言われたかもしれません。またメールや手紙などで「支払い義務があります。」と請求されたかもしれません。
この場合、口頭やメールの段階であればすぐに支払いの対応をしなければいけない段階とはいえません。
相手も感情的になって怒って口走っただけのこと、相手に反省してほしいという気持ちからやったことの可能性もあります。真摯に謝れば、慰謝料など支払わずに穏便に解決できる可能性もあります。
ただし、内容証明郵便で請求された場合、期日までに連絡したほうがいいでしょう。
次に、弁護士から請求されたケースです。
この場合、相手の配偶者が弁護士に依頼して慰謝料を請求しようと考えているのですから、本気度はかなり高いといえます。
放置していると訴訟を起こされる可能性がありますので、放置せず必ず書かれてある連絡先に連絡するようにしてください。
通常は応答の期限があるため、その期日までに応答します。
ただし、ここで「○○万円支払います」など確定的なことは言わないようにしましょう。交渉を始める段階だと考えてください。
最後に、裁判所から訴状が届いた場合です。
訴状が届いたら無視してはいけません。
内容を確認して、どうしたらいいかわからない場合は弁護士に相談しましょう。
相手に弁護士かついている場合は、こちらも弁護士で対応した方が対等に進めることができます。
仮に訴状など裁判所から届いた書類を無視していると、相手の主張のままに請求が認められ、高額な慰謝料を支払わなければいけなくなってしまうこともあります。
覚えておいてほしいのは、請求されても必ず払う義務があるとは限らないということです。
原則として、これまでに当該不倫に関して相手と示談を成立させた場合でなければ、直ちに支払い義務があるとはいえません。仮に不倫の事実があっても、内容によっては支払わずに済んだり、減額交渉が可能であるためです。
したがって、まずは支払うべき理由があるのかを確認するべきです。
以下の事情に当てはまれば、支払う必要がありません。
当然ながら、不倫がなければ請求の根拠がありません。
相手とデートしただけ、キスしただけであれば、原則として不倫の事実があったということはできません。
また、相手が上司等で強い圧力によって強制的に性交渉を迫られたケースなどでは、逆に損害賠償を請求できる可能性があります。
そして不倫時に相手方が離婚に向けた別居を開始している場合は、婚姻関係が破綻しているため、慰謝料請求ができません。
相手に未婚だと騙されていたというケースの場合も、支払わずに済む可能性があります。
上記の場合でも、個別時事情によっては慰謝料請求が発生する可能性もあるため、不安な場合は弁護士に確認するのがベストな対応といえるでしょう。
次に、不倫慰謝料請求ができる理由をご説明します。
慰謝料額を決める場合の判断基準についても簡単に確認しておきましょう。
「そもそもなんで不倫で慰謝料が発生するの?相手の奥さん(夫)も薄々気づいていたはず。夫婦関係は悪かったはずなのに…」
このように考える方も少なくありません。
ではなぜ法律上不倫で慰謝料請求が認められているのでしょうか?
婚姻関係を結んだ夫婦には、互いに配偶者以外の人と性的関係を持たない義務があると考えられています。これを民法上は貞操義務といいますが、「不倫をしてはいけない」という法律上のルールがあるということです。
そして、不倫は民法上「不貞行為」といいます。
不貞行為とは、配偶者以外の人と肉体関係を結ぶことを指します。キスやハグ、デートでは原則として不貞行為とはいえません。
不貞行為は、民法770条1項1号にて離婚事由になることが定められています。
不貞行為は婚姻生活を破壊しうる行為であると考えられているからです。
不倫された配偶者の気持ちを考えれば、精神的に傷つくのは当然だとわかります。
この場合、離婚できるのはもちろん、円満な婚姻生活を破壊されたという精神的苦痛を損害賠償として請求できることとしているのです。
民法709条では不法行為に基づく損害賠償請求権が規定されていますが、不貞行為はこの「不法行為」にあたるとされています。
損害賠償責任は、不法行為を行った当事者が責任を負います。
民法上は共同不法行為者といって、①既婚者で不貞行為を行った人と②不倫相手の両者が、一つの不貞行為について共同して責任を負います(民法719条1項)。
不倫慰謝料の額を決める際、明確な基準があると考えている方も多いかもしれません。しかし、考慮すべき事情は決まっていますが、明確な基準があるわけではありません。
不倫慰謝料を請求された場合、当事者同士が交渉で解決するケースがほとんどです。
交渉での内容のほとんどは金額の折り合いについてです。
示談交渉に関しては、当事者間の和解と考えられており、示談金の額に関しては当事者間で納得できればいくらでも構わないのが基本です。
20万円で折り合うこともあれば、500万円でも支払うといった時点で示談が成立します。
そのため、支払えない金額を請求された場合には、減額交渉をすることになるわけです。
慰謝料額を決める考慮事情としては、不倫の回数・期間、婚姻関係の期間、子どもの有無、不倫が原因で離婚したか、などが挙げられます。これらの事情を全て考慮した上で、最終的に両者が折り合いのつけられる金額に落とし込んでいくのです。
このように、慰謝料の額は個別事情によって大きく変わりますので、実際の支払いについていくらが妥当なのかは詳しい内容を聞かないとわからないこともあります。
不倫の事実があり、請求を否定する理由がない場合は、相手方に対し誠実に対応していく必要があります。
そこで、支払う理由がある場合にすべき対処法をお伝えします。
不倫慰謝料請求をされても、そこから長い時間放置して弁護士事務所に駆け込んでくる方は意外と多いです。
最初は「支払う必要がない」と思っていても、相手方が本気になり、弁護士をつけ、訴訟を提起されたら、こちらも放置しておくことはできなくなるのです。
訴訟を起こされてからでは減額交渉が難しいこともあり、穏便に解決することも叶いにくくなります。
そのため、不倫の事実があり請求を否定すべき理由もない場合に慰謝料請求がきたら、無視せず誠実に対応することが大切です。
相手方から求められた期日は守って連絡をすること、そして謝罪の気持ちを相手方に見せることが必要です。こちらとしては償いたい気持ちがあるが、現実的に支払える収入がないことなどを説明していけば、減額交渉にも応じてくれる可能性があります。
相手に弁護士がついている場合には、本人と直接話すよりも冷静かつスムーズに進んでいくことが多いでしょう。金額の面で相手方が強気に出てきたら、こちらも弁護士をつけることをおすすめします。
不倫の事実はあるものの「請求を否定できる理由がある」といえるかも…と考える場合は弁護士に相談してください。
上記で不倫慰謝料請求を否定できる理由についてご説明しましたが、個別事情を聞くと減額事情にしかならないケースもあります。
相手に主張してうまくいけば弁護士は必要ありませんが、相手から反論を受けた場合は問題が長期化する場合もあります。
当事者間のトラブルを長引かせないためにも、不倫の事実や弁護士に請求を否定できる事実について説明をし、専門的なアドバイスを受けるのが賢明なやり方です。
このように、ご自身で判断できない事情に関しては、専門家である弁護士に相談すべきです。
不倫慰謝料を請求されたら、誰から・どのような内容で・どのくらいの金額を請求されたのかを確認しましょう。また、請求を否定できる事情があるか、金額は妥当かも確認します。
相手方との交渉がなかなかうまくいかない場合は、弁護士に相談してください。
専門家である弁護士が代理人となった時点で、相手の主張も弱まる可能性があります。不倫慰謝料の交渉を成功させたいなら、専門家に任せるのが一番の対処法です。