婚約破棄に強い東京の弁護士8選を紹介!【2023年版】
東京エリアにお住まいの方で、婚約解消に関してお悩みの方はいらっしゃいますか? 「相手と婚約をしていたのに、一方的に解…[続きを読む]
過度に高額な婚約破棄の慰謝料を求めたいと考えている方もいらっしゃるでしょう。婚約を結び、未来への期待が高まっている中で、相手方から突然婚約が破棄されるという出来事は、大きなショックを与えられたことでしょう。
こうした状況において、相手方に対して過度に高い慰謝料を請求することは可能なのでしょうか?それとも慰謝料を請求しなくてもよいのでしょうか?
この記事では、婚約破棄における慰謝料請求の可能性や具体的なケースについて、詳しく解説します。婚約破棄の際に慰謝料を求めることができる場合やできない場合について、実例を挙げながら説明します。婚約破棄に関心のある方や慰謝料請求を受けた方にとっても、参考になる内容となっています。
目次
婚約破棄の慰謝料相場の前に、請求が認められる根拠や、高すぎる慰謝料が認められる例、認められない例などについて解説します。
民法上、慰謝料とは、不法行為または債務不履行に基づく精神的損害に対する損害賠償をいいます。
不法行為は、故意または過失により違法に相手の権利を侵害し、相手に損害を与えたことにより成立します(民法709条)。
また、債務不履行は、婚約という契約が成立していたにもかかわらず、これを履行しなかったことによって相手に損害を与えたことにより成立します(民法415条)。
よって、婚約破棄の慰謝料請求が認められるかどうかも、婚約破棄について不法行為または債務不履行が成立するかどうかによって判断されます。
婚約破棄による高すぎる慰謝料請求が認められるためには、そもそも婚約が成立していたと認められることが前提となります。
婚約とは、男女間における将来の婚姻に関する合意(婚姻予約)をいいます。
婚約には特に定まった形式はなく、口頭の合意でも成立します。
最判昭和38年9月5日は、婚約の成立には結納や同棲が必須ではないと判示しています。
もっとも、婚約が成立したかどうかについては、当事者双方が本当に婚姻に向けての真の意思を有しているかを具体的に判断して認定されることになります。
たとえば、形式的には「結婚しよう」「うん」などというやりとりがされたとしても、状況から見てじゃれ合いの延長でしかないと判断される場合には、婚約の成立は認められず、慰謝料を払わなくてもよいのです。
いくら婚約が口約束でも良いとはいっても、男女間での婚姻に向けての真摯な合意が必要ということです。
男女間で婚姻に向けての合意があると認められる状況であれば、プロポーズがなくても婚姻の成立が認められる場合もあります。
たとえば、以下のような事情があれば、婚約の成立を認める方向に働きます。
婚約が成立しているのに、正当な理由なく一方的に婚約を破棄された場合には不法行為が成立し、破棄された側は相手に対して慰謝料を請求することができます。
典型的には、以下のようなケースが挙げられます。
他方で、一方的に婚約破棄をするのもやむを得ないという特段の事情がある場合には、婚約破棄について過失が認められず、婚約破棄の慰謝料を請求することは認められません。
婚約破棄の正当な理由が認められ、婚約を破棄された側からの慰謝料請求が認められないケースの例は以下のとおりです。
婚約破棄による慰謝料請求が認められる場合、計算すると金額の相場はどのくらいになるのでしょうか?
以下、慰謝料金額の目安や、慰謝料をアップさせる要素としてどのようなものがあるのかについて解説します。
裁判例を総合すると、慰謝料の金額相場を計算すると、おおよそ30万円から100万円、また高くて300万円くらいまでの幅があります。
慰謝料の金額相場の計算は、婚約破棄の具体的な状況や理由によって異なります。
一般的には、具体的な事情から考えて、婚約を破棄された側の精神的苦痛が大きければ大きいほど、慰謝料請求時の金額相場は高額になります。
婚約を破棄された側としては、できるだけ高すぎるぐらいの高額の慰謝料相場を計算して請求をしたいところです。
では、どのような事情があれば慰謝料相場が高額になるのでしょうか?
具体的な例を見ていきましょう。
交際期間が長いほど、結婚に対する期待が大きくなると考えられますので、その期待を裏切られた時の精神的苦痛も大きくなります。
また、交際期間が長期にわたり年齢を重ねた場合には、そこから新たに結婚相手を見つけて結婚・出産を行うことがより困難になるということが一般論としては言えるでしょう。
したがって、交際期間が長い場合には、慰謝料相場もそれに伴って高すぎるくらいの高額になる傾向にあります。
たとえば結納をしたり、結婚式場を予約したり、新居の契約をしたり、結婚に備えて退職や転職などをしたりするなど、結婚に向けて具体的な準備が行われた場合には、その分結婚への期待も大きくなります。
このような場合には、婚約破棄の慰謝料も高額になる傾向にあります。
特に退職や転職をしていた場合には、年齢やキャリアを踏まえた再就職へのハードルの高さも、慰謝料算定に当たって考慮されます。
なお、結婚に当たって婚約破棄された側が出費した費用については、慰謝料相場とは別に実費相当額の賠償を請求することができます。
婚約相手の子どもを身ごもっていたり、既に婚約相手の子どもを出産していたりする場合には、婚約相手には、本来であればその子どもを一緒に育てていく責任があったはずです。
それにもかかわらず、婚約相手が一方的に婚約を破棄したという場合には、行為の悪質性が高いと認められ、慰謝料相場も高額になる傾向にあります。
婚約相手が暴力やモラハラ、不貞行為を働いた上に、一方的に婚約を破棄したような場合には、慰謝料が極めて高額になる傾向にあります。
このような場合、婚約破棄された側に全く非がない一方で、婚約相手の行為は極めて悪質です。
婚約破棄した側が一方的に悪いと言えるような場合には、慰謝料相場は高額になります。
婚約破棄によって不眠や食欲不振などの症状が出たり、うつ病になったりした場合には、婚約破棄された側に生じたショック・損害は大きいといえます。
このような場合には、慰謝料相場も高額になり、訴えられた方は高すぎると感じることもあります。
実際に婚約相手に対して婚約破棄の慰謝料を請求する場合の流れと弁護士相談について解説します。
話し合いで問題が解決できるのであれば、それに越したことはありません。
まずは婚約相手に対して、慰謝料相場の金額や理由を提示して交渉しましょう。
精神的苦痛から会いたくない、自力での交渉が難しいなどの場合には、弁護士に依頼して代理で交渉をしてもらうことがおすすめです。
なお、口頭での話し合いがだらだらと引き延ばされてしまうと、慰謝料請求権が消滅時効にかかって消滅してしまう場合がありますので、注意が必要です。
早めに弁護士に相談して内容証明郵便の送付などを行い、時効の進行を一時停止させる措置を取っておきましょう。
婚約相手が話し合いによる慰謝料の支払いに合意しない場合には、調停の申立てを行います。
調停の申立ては、家庭裁判所に対して申立書を提出することにより行われます。
調停では、調停委員が当事者の一方ずつから話を聞いたり、和解案を提示したりして、当事者間で和解が成立するように間を取り持ってくれます。
当事者が和解案に合意すれば、調停成立となります。
調停が不成立の場合には、裁判所に対して訴訟を提起し訴え、慰謝料を請求するほかありません。
慰謝料請求訴訟は、原則として訴額が140万円以下であれば簡易裁判所、140万円を超える場合には地方裁判所に対して提起することになります。
裁判においては、婚約相手が不法行為の成立を争う場合には、婚約相手による婚約破棄について不法行為が成立することを、証拠により立証する必要があります。
立証のポイントは以下のとおりです。
これらのポイントについて立証するための証拠を収集しておきましょう。
例えば、メールやLINEの履歴、婚約指輪、プロポーズの手紙、DVなどの場合には医師の診断書などが有効な証拠として考えられます。
なお、慰謝料請求の根拠としては、①不法行為と②債務不履行の2つがあります。
原告となる婚約破棄をされた人は、この2つのうちいずれか又は両方を根拠として、婚約相手に対して慰謝料を請求することになります。
慰謝料請求の場合には、不法行為と債務不履行の違いについては、①立証の対象、②消滅時効、③弁護士費用の3つの観点を念頭に置いておけばよいでしょう。
不法行為 | 債務不履行 | |
---|---|---|
立証の対象 | 故意または過失により違法に相手方に対して損害を与えたこと | 婚約の成立とその不履行 |
消滅時効 | 損害および加害者を知った時から3年間 | 損害賠償請求権を行使できると知った時から5年間(または権利を行使することができる時から10年間) |
弁護士費用 | 損害に含める | 損害に含めない |
このように、消滅時効・弁護士費用の面で不法行為が債務不履行よりも原告側に有利ですが、それぞれ立証すべき対象が異なります。
したがって、基本的には不法行為・債務不履行の両方を主張することが多いです。
裁判で慰謝料の支払いを認める判決が出されて確定すれば、確定判決を用いて強制執行の手続を取ることができるようになります。
以上に解説したように、婚約破棄の慰謝料相場がいくらぐらいか、慰謝料請求が認められるかどうか、またその金額について解説いたしました。
そのため、正しく交渉をしたり、裁判を進めたりすることが非常に重要です。
婚約破棄による慰謝料請求を検討している方は、ぜひ一度弁護士に相談してアドバイスを受けてみてはいかがでしょうか。