養育費が払えないとどうなる?抱えるリスクと対処法とは

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youikuhi haraenai

離婚の際に取り決めた養育費の金額が、その後リストラに遭って無職になったり、収入が減ったりすることによって支払えなくなってしまう場合があります。
最近では新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で収入が激減したという人も少なくないでしょう。

養育費の支払いに関しての合意がある以上、養育費の支払いは法律上の義務です。
もし養育費を支払えなくなってしまった場合には、最悪の場合強制執行により、財産が強制的に処分されてしまいます。

そのため、養育費の支払いが難しくなった場合には、早めに対処する必要があります。

養育費の支払いが難しいという場合には、弁護士に相談をして養育費の減額ができないか検討しましょう。

この記事では、

  • 養育費を支払えなくなった場合に生じる事態について
  • 養育費の免除や減額が認められる場合について
  • 養育費の免除や減額を請求する方法

などについて、法律的な視点から解説します。

 養育費を支払わないとどうなるの?

まず、養育費を支払わないとどのような事態が発生してしまうのかについて解説します。

 民法上の債務不履行になる

離婚の際に養育費の支払いを取り決めた場合には、支払義務者は親権者に対して養育費の支払い義務を負います。
この義務に違反した場合、民法上の債務不履行(民法415条1項)に該当します。

養育費のような金銭債務の債務不履行の場合、支払義務者は親権者に対して養育費の全額を支払う義務を負うだけでなく、支払い期限から遅れた期間分について遅延損害金の支払い義務を負います。

遅延損害金は、原則として法定利率によりますが、法定利率を超える約定利率をあらかじめ合意していればそれに従います(民法419条1項)。

法定利率については、2020年4月1日施行の新民法により改正されたため、養育費の支払いを合意したタイミングによって適用される法定利率が異なります。

  • 2020年3月31日までに養育費の支払いを合意した場合→5%
  • 2020年4月1日以降に養育費の支払いを合意した場合→3%

わずかな期間の支払い遅滞であれば、遅延損害金はそれほど大きな金額にはなりませんが、何年も養育費の支払いを滞納していると思いがけない金額に膨れ上がってしまう可能性があるので、注意が必要です。

強制執行が行われる可能性がある

養育費を滞納していると、最終的には強制執行が行われ、財産を処分されてしまう可能性があります。

強制執行とは、裁判などで確定した債権者の権利を実現するために、国が強制力を発動して債務者の財産を取り上げて処分し、債権者への配当を行う制度です。

強制執行が行われると、給与債権や銀行預金、家などの資産を差し押さえられ、強制的に養育費の弁済に充てられることになります。

強制執行される可能性があるのは、養育費の支払いについて記載された「債務名義」というものがある場合です。
「債務名義」はいくつかありますが、代表的なものは以下のとおりです。

  • 公正証書による離婚協議書
    (養育費の取り決めがあり、不払いで強制執行を受けることが明記されたもの)
  • 調停調書
  • 和解調書
  • 確定判決

 刑事罰は課されない

上記のとおり、養育費を支払わないことによって、支払義務者は民法上の責任を負担することになります。

しかし、養育費を支払わないことは犯罪ではないため、懲役や罰金などの刑事罰を課されることはありません。

養育費を免除・減額してもらえる場合とは?

養育費は、元夫婦の子供に対する扶養義務の表れとして、子供と同居していない親が同居している親(親権者)に対して支払うものです。

夫婦間の扶養義務は、それぞれの収入などの経済状況に応じて負担するものと考えられており、その考え方は離婚した後も同様です。

そのため、離婚後にどちらかの経済状況や家庭環境が大きく変化した場合には、離婚時に取り決めた養育費の金額の変更が認められることもあり得ます。

もし養育費の支払いが困難な状況に陥ってしまった場合には、養育費の免除や減額が認められるケースに該当しないか検討してみましょう。

養育費の免除が認められる可能性がある場合

養育費の免除が認められる可能性があるケースは以下のとおりです。

支払義務者が無収入になった場合

養育費の支払義務者が無収入になってしまった場合、元夫婦間の経済状況のバランスを考慮すると、支払義務者側に養育費の支払いを強制する根拠に乏しい状況といえます。

無収入になった原因や無収入の期間なども考慮されることにはなりますが、やむを得ず長期間無収入となっているという事情があれば、養育費の支払いが免除される可能性もあるでしょう。

なお、生活保護を受給している場合に、生活保護費が収入としてカウントされるかどうかについては争いがあります。

生活保護は本人の最低限の生活を保障するために必要な金額として支給されるものなので、養育費の算定上考慮すべきでないという見解もあります。

詳細は弁護士に質問してみましょう。

親権者が再婚して、再婚相手が子供と養子縁組をした場合

親権者が再婚して、再婚相手が子供と養子縁組をした場合、再婚相手も新たに親権者となります。
再婚相手が親権者となる一方で、養育費の支払義務者は親権者ではなく、子供に対する経済的な扶養義務を負っているにとどまります。

この場合は、親権者である親と再婚相手が第一次的な扶養義務を負い、養育費の支払義務者は第二次的な扶養義務者ということになります。

したがって、親権者が再婚相手との家庭に子供を養育するために十分な経済力がある場合には、養育費の支払いを免れることができる可能性があります。

なお、親権者が再婚をしたとしても、再婚相手と子供が養子縁組を行わない場合には、再婚相手は子供の親権者とはなりません。この場合には、養育費の支払義務者は依然として第一次的な扶養義務者ですので、養育費の免除は認められません。

子供が成人年齢に達した場合など

子供が親権者の扶養を脱したと認められる状況になれば、養育費の支払義務者の側も扶養義務から解放されます。
では、いつのタイミングで子供が親権者の扶養を脱したことが認められるのでしょうか。

一般的には、親は子供が成人年齢(現在は20歳)に達するまで扶養義務を負うということがよく言われていますが、必ずしもそうとは限りません。

たとえば子供が4年制大学に通っている場合には、22歳程度まで親の扶養義務は存続すると考えることが合理的です。
また、子供が20歳に達していない場合であっても、結婚や就職などにより独立した場合には、親の扶養義務は消滅すると考えられます。

このように、子供が親権者の扶養から脱したかどうかは、具体的な事情を総合的に考慮して判断されます。

なお、2022年4月より、法律上の成人年齢が18歳に引き下げられることが決まっています。
このことが親の扶養義務の存続期間に影響を与えるかどうかは定かではありません。

しかし上記のような事情を考慮すると、成人年齢はあくまでも一つの目安に過ぎず、具体的な事情による総合判断という考え方には変わりがないものと考えられます。

養育費の減額が認められる可能性がある場合

養育費の減額が認められる可能性があるのは、以下のようなケースです。

支払義務者の収入が減少した場合

養育費の支払義務者の収入が減少した場合には、元夫婦間の経済状況のバランスが変化し、支払義務者側が支払うべきと考えられる養育費の金額は減少します。

したがって、支払義務者の収入が減少した場合には養育費の減額が認められる可能性があります。

親権者の収入が増加した場合

親権者側の収入が増加した場合にも、同じく元夫婦間の経済状況のバランスが変化し、支払義務者側が支払うべきと考えられる養育費の金額は減少します。

したがって、親権者の収入が増加した場合には養育費の減額が認められる可能性があります。

支払義務者が再婚し、子供ができた場合

養育費の支払義務者が再婚をして、再婚相手との間に新たに子供をもうけた場合、養育費の支払義務者が扶養すべき子供の人数が増えることになります。

その場合、支払義務者の扶養能力が分散しますので、養育費の減額が認められる可能性があります。なお、その際には再婚相手の経済能力についても考慮されることになります。

養育費の免除・減額が認められない場合について

養育費の免除や減額は、あくまでも元夫婦間の経済状況のバランスを客観的に比較することにより認められる可能性があるものです。

よって、上記の観点とは関係がない事情を理由に養育費の免除・減額を主張しても、認められることはありません。以下、養育費の免除・減額が認められない例について解説します。

面会交流が拒否されたことのみを理由とする場合

面会交流が拒否されたことを理由として養育費の支払いを拒否するというケースがしばしば見受けられますが、これは適切ではありません。

面会交流をするかどうかは元夫婦間の経済状況とは全く関係がなく、また面会交流は養育費支払いの交換条件ではないのです。

面会交流を拒絶されている場合には、養育費の不払いで対抗するのではなく、面会交流調停を申し立てるなどの方法をとるべきでしょう。

 借金など他の債務が原因で養育費が払えないという場合

借金など他の債務を作ったことが原因で養育費を支払えないとしても、それは支払義務者の個人的な事情に過ぎません。

大きく収入が減っているなどの事情がある場合には別ですが、そうではなく借金の金額が多く返済負担が重いというだけでは、養育費を減額する理由にはなりません。

なお、仮に支払義務者が破産をした場合であっても、養育費の支払義務は免責の対象外とされていることに注意が必要です。

 養育費の免除・減額を認めてもらうための手続きとは?

養育費の免除・減額を請求したい場合に、どのような手続きを取るべきかについて解説します。

まずは相手と直接話し合う

法的な手続きを取る前に、直接の話し合いにより問題を解決できるのであればそれに越したことはありません。

交渉の材料として、収入が減ったなどの事情がある場合には、源泉徴収票などの証拠を用意しておくと良いでしょう。

話し合いが成立した場合には、合意内容を書面の形で残しておきましょう。
口頭での約束で終わらせてしまうと、後々トラブルを招く可能性があるので注意が必要です。

養育費減額調停・審判

もし話し合いで解決できない場合には、裁判所に養育費減額調停を申し立てましょう。

養育費減額調停では、調停委員が元夫婦の間に入って交渉を仲介してくれるので、直接の話し合いよりも解決・合意に繋がりやすいといえます。

調停手続の中では、調停委員が両当事者に対して調停案を提示することになります。
その際、収入の減少や生活環境の変化などを証明する証拠を準備する必要があります。

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養育費減額調停が成立しない場合には、審判手続に移行します。

審判手続でも引き続き調停成立が目指されますが、不成立の場合には裁判官が審判を下し、養育費の適切な金額や支払い期間を示すことになります。

審判にも不服な場合

養育費減額の審判にも納得できない場合、即時抗告という手続きを取ることができます(家事事件手続法156条4号)。
ご自分で行うのは難しいため、弁護士にご相談されることをおすすめします。

まとめ

養育費を支払わない場合、遅延損害金が膨らんでしまい、また最悪の場合強制執行により財産が強制的に処分されてしまいます。

もし養育費の支払いが難しいという場合には、免除や減額が認められる可能性があるので、早めに弁護士に相談してください。

弁護士は、依頼者の具体的な事情をもとに、養育費の免除や減額が認められるかどうかを検討し、どの手続きを利用すべきかについてのアドバイスをしてくれます。

養育費の支払いに困ってしまった場合には、ぜひお気軽に弁護士にご相談ください。

 
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