離婚で父親は親権を取れる?母親が取れない事例・負ける場合を解説
「父親が親権を獲得するケース」について、理由や母親が親権を獲得できない、敗訴する場合、なぜ父親が親権を取りづらいのか…[続きを読む]
離婚時における親権の決定や後における親権変更は、子供の将来と福祉に大きな影響を及ぼす重要な決断です。しかし、子供の意思が親権にどの程度影響するのかについては、疑問や不安を抱える方々も多いことでしょう。
この記事では、離婚時における親権決定やその後の親権変更に関する情報を詳しく解説します。子供の意思は一般的に、年齢や成熟度によって異なる程度で考慮されますが、実際の裁判所の判断基準やケースによっても異なる点も注意が必要です。
親権の決定や変更においては、子供の最善の利益が最優先されます。そのため、子供の健全な成長や幸福を守るために、専門家のアドバイスや情報を活用することが大切です。記事では、子供の意思がどのように親権決定に影響するかを理解し、適切なアプローチを見つけるためのヒントを提供します。
離婚時に子供の未来を考える親御さんや、親権変更を検討する方々にとって、子供の意思を尊重しながらも最適な決定をするための情報が満載です。
目次
法律上、親権者を決定するためには、どのような要素を考慮すべきとされているのでしょうか。
たとえば、親権者を変更する際には以下が条件となります。
また、監護権者を決定する際には、下記とされています。
このように、子の親権者・監護権者を決定する際には、「子の利益」を基準として決定すべきというのが民法のルールです。
また「子の利益」であるかを決定する原則やポイントなどについては詳しくは下記ページもご参考ください。
親権者決定に関する4つの原則があるものの、原則は「具体的な事情」を総合的に考慮します。
そして、どちらの親に親権を与えるのが良いかが判断されることになります。
考慮要素の例としては、以下のものが挙げられます。
どの要素がより大きなインパクトを持つかは、子供の年齢によっても変わってきます。
特に、子供の年齢が低い段階では、これまでの監護状況が大きなウェイトを占めると考えられます。
一般的には子供が小さければ小さいほど、環境の変化に敏感であるとされているためです。
一方、子供が大きくなればなるほど、子供の判断能力が高まりますので、子供の意向がより重視されるようになります。
そうは言っても、親権者決定の際に子供の意思が重視されるのは何歳くらいからなのか、という疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。
そこで、親権者の決定に子供の意思がどの程度反映されるかについて、子供が親権を選べる年齢はいくつか、大まかな年齢別に見ていきましょう。
子供が10歳くらいまでの間は、まだまだ子供の判断能力は十分でないと考えられています。子供が親権を選べる年齢とは言いづらいでしょう。
言語能力がまだまだ幼い、0歳・1歳・2歳は当然のことです。
また、幼稚園や小学生低学年までの年齢である3歳・4歳・5歳・6歳・7歳・8歳などの子供も、一方の親から「自分と一緒にいたいと言いなさい」などと圧力をかけられた場合、本心とは違うことを言ってしまう可能性が高い年齢といえます。
そのため、子供が10歳くらいまでの場合は、親権者の決定に関して子供の意思はあまり反映されません。
そうすると、どちらの親がより長い時間子供を監護しているかということが大きなポイントとなります。
世間ではまだまだ母親がより長い時間育児に関与しているという例も多く、また母親優先の原則があることも考慮すると、母親が親権者となるケースの方が多いと考えられます。
子供が10歳を超えてくると、ある程度自分で自分の生きる環境を選ぶ力がついてくると考えられます。
子供が10歳から15歳未満の場合、法律上のルールで決まっているわけではありませんが、裁判所は子供の意見を聞き、判断の参考にする傾向にあります。
特に、子供の年齢が上がってくるほど、子供の意思が親権者の決定に反映される可能性が上がります。
しかしこの年代では、子供の意思は一つの考慮要素に過ぎません。
そのため「監護の継続性」や「経済状況」など他の要素も高い重要性を持ちます。
そのため、仮に子供の意思とは反対であっても、他の要素から客観的により良いと判断された親に親権が認められるケースも多いでしょう。
なお、両親間で監護の継続性や経済状況などの要素にあまり差がなく、子供としてもどちらでも良いという意思を持っている場合であれば、母親に親権が認められる傾向にあります(母親優先の原則)。
子供が15歳以上の場合、ほとんどは高校生(社会人もいるでしょう)には、一般的に十分な判断能力を備えていると考えられています。
そのため、親権者の決定に際しても、子供の意思が尊重される傾向にあります。
先にも解説しましたが、子供が15歳以上であれば、裁判や審判を行う際に、裁判所は子供の陳述を聞かなければなりません(人事訴訟法32条4項、家事事件手続法152条2項、169条2項)。
言い換えれば、15歳以上の子供の意思については、裁判所は親権者を決定する際に必ず考慮するということです。
もちろん他の要素が重要でないというわけではありませんが、15歳以上の子供については、親権変更などについて子供の意思が最大限尊重されるといえるでしょう。
離婚訴訟などで家庭裁判所が親権者を決定する場合、事前に家庭裁判所調査官による調査が行われます。
一般の方にはあまり馴染みのない存在かもしれませんが、
について解説します。
家庭裁判所調査官は、家事事件(離婚、親権者の決定など)に関して、親や子供などの関係者を調査し、裁判官が判断をするための材料を提供する役割を担っています。
家庭裁判所は、通常の裁判所とは異なり家庭の問題を取り扱いますので、家庭裁判所に要求される判断は繊細になります。
そのため、それぞれの家庭環境について「きめ細かい調査」を行うことが必要です。
家庭裁判所調査官は、家族の問題に寄り添った調査を行う専門官として、家庭裁判所において不可欠な役割を果たしているのです。
全員ではありませんが、臨床心理士の資格を持った人や心理学を学んできた人が多くいます。
離婚で親権が争われている場合、家庭裁判所調査官が調査で重視するのは以下のような点です。
親権者を決定する際に裁判所が考慮すべき要素のうち、その他の要素については、客観的な資料から大部分の情報を得ることができます。
しかし子の監護状況は、実際の生活を見てみたり、当事者と顔を合わせてインタビューをしたりしなければ実態を把握することは困難です。
そのため、家庭裁判所調査官の調査は「子の監護状況」を中心に行われ「子供の意思」についても、必要に応じて調査官から聞き取り等が行われます。
単純に「どっちの親と暮らしたい?」と聞くのではなく、子供の話し方や面会交流の観察、祖父母との面談など、場合に応じて適切な方法で子供の意思を酌み取ります。
家庭裁判所調査官の調査を受ける際に、実際の状況を取り繕うために嘘をついたりするメリットはありません。
家庭裁判所調査官は、相手や子供からも事情を聞くことになります。
当事者全員の話を総合すれば、嘘はほとんどの場合ばれてしまい、裁判所の心証も悪くなってしまうでしょう。
よって、家庭裁判所調査官の調査には最大限協力的な姿勢で臨み、誠実に質問に回答するべきといえます。
親権者を判断する際に重視される考慮要素は子供の年齢によって変化します。
子供が15歳以上であれば、子供の意思が大きく尊重されますが、15歳未満であればそれ以外の要素の重要性が高くなります。
一般的な傾向としては、母親に親権が認められる場合が多いようです。
ただし、それ以外の要素を考慮したうえで、結果的に母親に親権が認められるケースが多いと考えるべきです。
そのため、母親に虐待傾向があったり、ある程度年齢が高い子供が父親と一緒に暮らすことを望んでいたりする場合には、父親に親権が認められることもあります。
このように、親権問題についてはさまざまな考慮要素が存在しますので、裁判官や家庭裁判所調査官に対して、自分の主張を効果的に伝えることが重要です。
そのためには、弁護士に相談することがおすすめです。
弁護士は、どのような要素が親権者を決定する際に重視されているかを熟知しています。
そのため、依頼者が必要な情報を収集して、効果的に裁判官や調査官に主張を伝えるための大きな手助けとなるでしょう。
離婚問題や親権問題にお悩みの方は、ぜひ弁護士にご相談ください。