新型コロナウイルスで増加するDV被害|対処方法と相談窓口を紹介!

新型コロナウイルス感染拡大の伴い増加したDV被害。
「コロナDV」という造語が出現するほど大きな社会問題であり、事態は深刻です。
DV被害を受けているけれど、外出が憚られる状況で、相談をすることもできず逃げ場がない…と感じている人も多いのではないでしょうか。
DVは許されざる行為です。被害者が泣き寝入りするようなことは、あってはなりません。
そこで今回は、コロナウイルス禍で増加するDV被害の原因と対処方法について解説していきます。
目次
そもそもDVってどのようなものがあるの?
家庭内暴力(Domestic Violence)の略称であるDV。この呼び名は世間的にもかなり定着しています。
しかし、
「酷い言葉はたくさん浴びせられるけど、暴力は受けてない…これってDV?」
「子供が授からないことを私のせいにして責めてくる…どうしたらいいの?」
といったように、直接的な暴力がない場合に自分がDVを受けているのかどうかの判断を行うことは難しいことです。
そこで、ここではDVに含まれる3つの暴力について解説します。
まず、3つのいずれにも共通して見られる特徴として、次のようなものがあります。
- 家庭内で行われており他の人に見つかりにくいため、長期に渡り繰り返し行われる傾向がある
- DVをする旦那は、暴力を振るった(暴言を吐いた)後はすぐに優しくなる傾向にある
もし、自分も被害者かもしれない…と感じた場合には、この記事の最後で紹介する相談窓口を利用しましょう。
身体的暴力
DVと聞いた時に1番に頭に浮かぶと考えられるものは、身体的暴力です。
物を投げつける、腕をひねる、突き飛ばす、首を絞める、引き摺り回すなどの行動が挙げられます。殴るそぶりをするだけでもDVの対象です。
身体的暴力の場合には、被害者の体に傷やアザが残るため、比較的被害を発見しやすい傾向にあります。
しかし、人によっては、服で隠れる部分を殴られる、後が残らない程度の暴力を振るわれるなど、第三者になかなか気が付いてもらえないケースもあります。
精神的暴力
直接的な暴力はないものの精神的に追い詰めるもの、精神的暴力です。
大声で怒鳴る、何をいっても無視をして口をきかない、人前でバカにする、お金を渡さないなどが挙げられます。家では「犬」と呼ばれる、日常的に「死ね」と言われる、「人間のクズ」といった人格否定の言葉を浴びせられるなど、これらは全て精神的暴力に該当します。
精神的暴力の多くは、言葉によって精神的な苦痛を負わせるものです。
身体的暴力とは異なり、証拠が残りにくいため第三者にもなかなか気が付いてもらうことができす、被害者は一人苦しむことが多いです。中には、精神的暴力が原因でPTSDを患ってしまう人もいます。
性的暴力
「性」に関連する嫌がらせ、性的暴力です。
性行為の強要、避妊に協力しない、中絶の強要、見たくないのにポルノビデオを見せるなどが挙げられます。また、子供が授からないことを妻のせいにする、浮気をしていた当事者が自分の浮気を許すように強要することも該当します。
性的暴力は、精神的暴力同様に、証拠が残りにくいため第三者に気が付いてもらうことは難しいです。更に、「性」に関することであるため、他人に相談することも難しいといった問題点があります。
コロナウイルス感染拡大に伴いDVが増加する4つの理由
最初に述べたように、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、DV被害も増大しています。
また、これまでDVがなかった家庭でも新たなDVが発生しているケースもあります。7月には、アントニオ・グテーレス国連事務総長が、DVの世界的なDVの急増に警鐘を鳴らす発表を行うという事態も発生しました。
では、具体的にどのような原因があって、コロナウイルス感染拡大とともにDVも増加してしまったのでしょうか。
ストレスのはけ口不足
まず挙げられるのが、ストレスのはけ口不足です。
コロナウイルス感染拡大の影響は計り知れず、私たちの生活は様々な部分で変化を強いられました。収入の低下による生活不安や在宅勤務への移行、常々感染リスクに晒されていることなど、多くの国民が適応に苦しみ、ストレスを抱えています。
普段であれば、会食や飲み会、レジャーなどを通してストレスを発散することができますが、今は外出自粛制限は解けたものの、大人数での会食や飲み会は憚られる状況が続いています。
この結果として、将来の不安や新しい生活様式への適応の難しさからくる行き場を無くしたストレスのはけ口が、家庭内の弱者に向けられてしまうのです。
在宅勤務の増加
先ほども述べましたが、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、多くの会社が在宅勤務を取り入れました。
夫婦双方が在宅勤務となった場合、夫婦が家に一緒にいる時間が増えます。すると、今まではあまり顔を合わせないからうまくいっていた夫婦の場合、顔をあわせる時間が長くなったことによりストレスがたまってしまいます。その結果、DVに発展してしまうのです。
更に、今までは仕事の時間はDVを避けることができていたような場合には、在宅勤務になったことによりDVを避けることができなくなり、被害が深刻化してしまいます。
このように、在宅勤務の増加は、DVの増大に大きく影響しています。
将来への不安
新型コロナウイルス感染拡大は、経済を止め、人々の将来を大きく変えました。長引く休業要請や、お客さんの減少により、従業員の解雇や廃業をせざるを得なくなった会社は多くあります。
その影響は大きく、職を失う、会社が休業になる、給与が出ない、リストラで解雇されたなど、日々の生活に大きな不安を抱えている人も少なくありません。また、自営業であれば、いつ廃業に追い込まれるかわからないといった不安を抱えているでしょう。
このような収入の不安定や将来への不安は、夫婦の不満を募らせる原因となります。
その結果、口論が耐えなくなり、最終的にDVに発展してしまうのです。
逃げ場がない
外出自粛は多くの地域で解除されましたが、今なお、外出は感染リスクを伴う状況が続いています。また、感染が拡大している地域からの他県への移動は控えるように警鐘が鳴らされています。
このように現在は、DVがあるからどこかへ避難、というのは難しい状況にあります。
コロナウイルスの終息も読めないため、いつになったら避難できるのかも定かではありません。通常であれば、DV被害者の多くは実家に帰ることで被害を回避しますが、現段階では感染リスクを考えると、安易に帰省を決断することは憚られます。
更に、旦那が在宅勤務の場合には、旦那はずっと家にいるため、相談しようにも電話をかけることは難しいです。結果、なかなかSOSを出すことができず、一人で苦しんでしまうのです。
逃げ場がないことは、DV被害を回避することの大きな障害となり、被害の拡大に繋がってしまいます。
コロナDVを回避する方法とは?
DVは、生命の危険にもつながる行為です。
「自分が悪いのかな…」「コロナでストレスが溜まっているだろうししょうがない」といった発想で、我慢を続けることは、より自体を悪化させる可能性があります。
しかし一方で、一時的な感情に任せて離婚を決断することは、後々の後悔が懸念されます。
ぜひ、これから説明する3つのDV回避方法を試して、DV被害を少しでも回避しましょう。
一緒にいる時間を減らす
まずは、一緒にいる時間を減らしてみましょう。
最近では、緊急事態宣言も解除され、徐々に外出が可能になってきています。過度な外出は感染リスクを伴うためあまりお勧めはできませんが、少し外に出る、一人で買い物に行くなど、物理的にパートナー間の距離を取るように心がけましょう。
また、家の中でも工夫次第で、一緒にいる時間を減らすことができます。例えば、起床時間と就寝時間をずらす、食事をバラバラにとるなどです。
一緒にいる時間を減らして、顔を合わせる回数を少なくすることで、DVを回避することができるでしょう。
一人で悩まずに相談する
DV被害は1人で悩んでいても、解決の糸口が見えてくるものではありません。相談窓口への電話相談でも、実家のご両親や友人に相談でも、どのような形でも良いので周りの人に相談し、1人で悩むことはやめましょう。
旦那が在宅勤務で、相談窓口に電話しにくい場合には、SNSやメール等で相談を受け付けているものを利用することをお勧めします。
この後、相談先を4つご紹介しますので、ご自分の状況にあわせて検討してみましょう。
実家等に避難する
新型コロナウイルスの影響で、現在は実家に帰りにくい状況が続いています。
しかし、DVがひどい場合は、自分や子供の身の安全や平穏な生活には替えられないこともあるでしょう。
身の危険を感じるようなときは、実家等への避難も検討しましょう。
大切なのは安全な場所に滞在し、命を守ることです。
DV被害はどこに相談すればいいの?
DV被害の回避方法の部分で、相談窓口への連絡を推奨しました。
現在は、24時間対応の相談窓口も開設されており、困った時にはいつでも連絡を取ることができます。
ここでは、DVの被害を相談できる4つの機関を紹介します。ご自身の状況にあった相談先を見つけて、ぜひ連絡してみてください。
DV相談+
DV相談+は、ご自身の最寄りのDV相談支援センターにつながる窓口です。内閣府が令和2年4月20日より運用を開始しました。
「これはDVなの…?」「今すぐに家から出たいけどどうしたらいいの…?」など、DV全般について幅広い相談を受け付けています。専門の相談員と一緒に、ご自身の受けている様々な暴力について、今後の対応を考えることができます。
電話、メール、チャットでの相談を受け付けているため、旦那さんが在宅勤務で家にいる場合であっても、メールやチャット機能を使うことで相談をすることが可能です。電話、メールでは24時間、チャットは12:00-22:00に相談を受け付けています。
10カ国程度の外国語による相談にも対応しているので、日本語に苦手意識のある方でも安心して利用することができます。
【参考】DV相談+
弁護士
弁護士には、DVで離婚したい、避難中に養育費を請求したいが話すのが怖いといった法的な解決、また、今後の離婚を見越した中長期的な解決に関して相談することができます。
弁護士に相談することで、DVの判断、今後の対応についての助言、別居のサポートや離婚を考えている際の離婚交渉など、今後の生活に関して様々な部分でサポートをしてもらうことができます。
更に、離婚に伴うお金や親権などの問題について、弁護士が代理人となり手続きを進めてくれるので、相手方に会うことなく解決することもできます。
DVは非常にセンシティブな問題ですので、やはり同性の弁護士に相談したい方も多いでしょう。
女性の弁護士が在籍している事務所もありますので、女性の方はこのような事務所をに相談されることをお勧めします。

- 全国対応
- 初回相談無料
- 土日対応可能
警察
DV加害者に対して、適当な処分を行う機関が警察です。DVによって命の危険を感じるなど、緊急の対応を必要としている場合には、ためらわずに警察に連絡することをお勧めします。
誰かに助けて欲しいけど、いきなり警察に相談するのは少しハードルが高い…と思う人は#9110で、全国共通で警察の相談窓口に繋げることが可能です。
ここでは、犯罪や事故の発生には至っていないけれど、ストーカーやDV、悪質商法など警察に相談したいことがある時に、使用できる警察相談専用窓口です。
相談業務を専門に担当する「警察安全相談員」などの職員が、相談者のプライバシーの保護や心情・境遇に配慮しながら相談に対応してくれます。また、相談内容に応じて関係する部署が連携して対応し、指導、助言、相手方への警告、謙虚等、相談者の不安を解消するために必要な措置を講じてくれます。
配偶者暴力相談支援センター
配偶者暴力相談支援センターは各都道府県、各自治体が設置しているものです。
DV全般の相談を受け付けており、その活動内容は以下のようなものです。
- 相談や相談機関の紹介
- カウンセリング
- 被害者および同伴者の緊急時における安全の確保および一時保護
- 自立して生活することを促進するための情報提供その他の援助
- 被害者を居住させ保護する施設の利用についての情報提供その他の援助
- 保護命令制度の利用についての情報提供その他の援助
平成31年4月1日時点では、全国287箇所に設置されています。
【参考PDF】配偶者暴力相談支援センター 所在地一覧
直接センターに伺って相談することもできますが、DV相談ナビ0570-0-55210(ここにでんわ)に電話することで、最寄りの配偶者暴力相談支援センターに繋げてもらうこともできます。
まとめ
新型コロナウイルスの影響により、ストレスを募らせている人は多く、コロナDVは深刻な問題です。
被害を受けている場合には、一人で悩まずに相談機関やご両親に相談しましょう。
感情的になって即座に離婚を決意したり、我慢をし続けたりしても、状況は悪転してしまう可能性が高いです。
今回の記事を参考に、DV被害を受けていたり、離婚を検討したいと考えている人は、ぜひ一度弁護士に相談してみてください。