離婚裁判の控訴とは?手続の流れや審理期間、逆転の可能性を解説

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離婚の話し合いや調停がうまくまとまらなかった場合、夫婦は離婚裁判の場で、離婚の条件について徹底的に争わざるを得ません。

親権、財産分与、養育費など、譲れない点が多ければ多いほど、離婚裁判は泥沼化する傾向にあります。

離婚裁判では判決が下されることになる以上、少なくともどちらか一方にとっては、判決の内容に不満が残ってしまうことも多いでしょう。
その場合は「控訴」という手続きによって、上級裁判所に対して改めて審理を求めることができます。

控訴審の進み方は、第一審とはかなり異なる部分があるため、実際に控訴を行う前に流れを把握しておきましょう。
この記事では、離婚裁判における控訴の流れ、判決が覆る可能性や、弁護士に依頼するメリットなどついて詳しく解説します。

離婚裁判における控訴について

離婚裁判でも、通常の訴訟と同様、当事者が判決内容について不満を持っている場合には「控訴」をすることができます。

まずは、控訴とはどのような手続きなのか、どのように控訴を申し立てればいいのかなど、基本的な事項を理解しておきましょう。

控訴とは?

日本の裁判所では、事件について慎重な検討を行い、できる限り不当な判決を排除するという観点から、「三審制」が取られています。

三審制とは、訴訟の当事者が望む場合には最大3回、裁判所における反復審理を受けられる制度のことです。

3つの審理の段階はそれぞれ「第一審」、「控訴審」、「上告審」と呼ばれています。
そして、第一審で下される判決に対して不服を申立て、控訴審における審理を求める手続きを「控訴」と呼んでいるのです。

離婚裁判では、家庭裁判所で第一審が行われ、途中で和解が成立しない限りは判決が下されます。
家庭裁判所の判決が下された後、判決に不服がある当事者は、高等裁判所に控訴してさらなる審理を求めることになります。

なお、離婚裁判の第一審判決に対する控訴は、控訴の利益がある限り、原告・被告のいずれの側からも行うことが可能です。

控訴を行う手続きの流れ

実際に控訴を提起する場合の、初期の手続きの流れについて解説します。

特に控訴を申し立てる側にとっては、法令で定められた各手続きの期限が存在するので、期限に後れないように必要な書類を提出することが大切です。

控訴状を原審の裁判所に提出する

控訴を申し立てる側は、原審(第一審)が行われた家庭裁判所に対して「控訴状」を提出します(民事訴訟法286条1項)。
(控訴審が行われる裁判所ではなく、原審である家庭裁判所に提出するというのがポイントです。)

控訴状の書式については、裁判所のホームぺージに記載例が載っていますので、参考にしてください。
【参考】裁判所HP:申立て等で使う書式例

控訴状の記載事項

控訴状に記載する事項として、主なものは以下のとおりです。

  • 控訴人の住所、氏名、連絡先
  • 被控訴人の住所、氏名
  • 原判決の表示(主文)
  • 控訴の趣旨(控訴人が求める判決主文)
  • 控訴の理由

上記のうち、「控訴の理由」については、本来は控訴人の主張を基礎づける事実を記載することになるのですが、実務上は、一旦期限内に控訴状を提出した後、追って控訴理由書を提出することによって追完するのが通常となっています。

控訴状の提出は、裁判所から第一審判決の判決書の送達を受けた日から2週間の不変期間内に行わなければなりません(民事訴訟法285条)。
この期間を過ぎると、当事者の責めに帰することができない事由により不変期間が遵守できなかった場合(民事訴訟法97条1項)を除き、一切控訴が受理されませんので注意しましょう。

控訴理由書を控訴審の裁判所に提出する

控訴状において、控訴の理由を具体的に記載しなかった場合には、追って控訴審が行われる高等裁判所に対して「控訴理由書」を提出する必要があります。

控訴理由書には、控訴人が求める判決を基礎づける具体的な理由を記載することになります。
この意味では、第一審において裁判所に提出する準備書面などと同じような位置づけと考えておけばいいでしょう。

控訴理由書の提出期限は、「控訴の提起後50日以内」とされていますので(民事訴訟規則182条)、提出期限に遅れないように準備しましょう。

控訴された側(被控訴人)は控訴答弁書を提出する

控訴を受ける側となった被控訴人は、裁判所が指定する期限までに控訴答弁書を提出します。

控訴答弁書には、控訴人の主張に対する被控訴人側の反論を記載します。
第一審の判決が妥当であると考えるのであれば、そのことを根拠づける理由について記載することになるでしょう。

控訴理由書と控訴答弁書が提出されれば、いったん両当事者の主張が出そろったことになりますので、ここから実際の控訴審における審理の手続きに進んでいきます。

控訴審で審理される内容とは?

控訴審では、第一審の審理の続きとして、引き続き口頭弁論を通じて事実認定を行うことになります。
また、控訴審の審理対象はあくまでも控訴人が不服を申し立てた事項のみです。

たとえば離婚裁判のケースで、第一審で財産分与と親権の2つが争いになっていたとします。
この場合の控訴審において、控訴人が「財産分与については争うが、親権については争わない」という内容の控訴申立てを行ったとすれば、控訴審の審理対象は財産分与のみとなります。

ただし、附帯控訴というシステムがあり、控訴人が争わない項目に関して、逆に被控訴人側が原判決に対する不服を主張し、自己に有利に変更を求める申し立てをすることはできます。
このように附帯控訴が申し立てられた場合には、その範囲で審理の対象が広がることになります。

離婚裁判の控訴審はどのくらいの期間がかかるの?

離婚裁判の控訴審には、いったいどの程度の期間がかかるものなのでしょうか。

離婚裁判は、第一審だけでも相当長期間に及ぶケースが多いため、控訴審にかかる時間も長いとなると、当事者も参ってしまうかもしれません。
この点はケースバイケースとしか言いようがないところですが、司法統計のデータも踏まえて大まかな目安を解説します。

控訴理由書を提出してから控訴審開始までの期間

控訴理由書を控訴裁判所に提出してから、第一回の口頭弁論期日が指定されるまでの期間は、おおむね2ヶ月程度というケースが多いです。

通常は、被控訴人側に控訴理由書に対する答弁書まで提出させたうえで,初回期日を迎えることになるため,控訴状提出から初回期日までは長めの期間がとられることになります。

控訴審開始から判決までの期間

口頭弁論は1回で終わることが多い

控訴審では、何度も口頭弁論期日を開催して審理を尽くす第一審とは異なり、口頭弁論は1回のみの開催となるケースが多いです。

平成30年の司法統計によると、高等裁判所において口頭弁論が開催された控訴審事件11,821件のうち、口頭弁論1回のみで終結した事件は実に9,229件(約78.1%)にのぼります。
【参考PDF】平成30年度司法統計「控訴審通常訴訟既済事件のうち口頭弁論を経た事件数 口頭弁論の実施回数別 全高等裁判所

これは、控訴審では第一審の判決がベースとなり、そこからの差分だけを審理するため、口頭弁論を何度も開催する必要性が乏しいためと考えられます。

受理から裁判終了までの期間

控訴審の受理から判決に至るまでの控訴手続き全体の期間についても、司法統計上のデータが存在します。
【参考PDF】平成30年度司法統計「控訴審通常訴訟既済事件数 事件の種類及び審理期間(当審受理から終局まで)別 全高等裁判所

上記のデータによると、人事を目的とする訴え(離婚訴訟はここに含まれます)の控訴事件数1,414件に対して、3~6か月で終結した事件が852件(約60.2%)、6か月~1年で終結した事件が258件(約18.2%)を占めており、ボリュームゾーンになっています。

したがって、控訴審はおおむね半年程度、長い場合でも1年程度で終局に至ることが多いと理解しておけばいいでしょう。

また、控訴審では、多くの場合、裁判所より双方に対して和解の打診があります。第1回目の口頭弁論期日において、審理は終結させ、判決期日も指定した上で、判決期日までの間に和解のための期日が数回入り、和解が試みられるという流れが一般的です(1,414件中、474件は和解で終了しています)。
上記のデータは、判決だけでなく和解についても含まれていますが、和解で終わる場合は一般的に判決より早い傾向にあります。

控訴審で判決が覆る可能性はどのくらい?確率は?

控訴審で、実際にどの程度の確率で判決が覆るのか、控訴人も被控訴人も気になるところだと思います。
この点についても司法統計のデータがありますので、詳しく見ていきましょう。

控訴で判決が覆った割合

平成30年の司法統計によると、人事に関する訴えの控訴事件のうち、判決に至った事件は835件です。

さらにこのうち、第一審判決の取り消し、つまり判決が少なくとも一部は覆った事件は238件(約28.5%)となっています。
一方、控訴が棄却されたのは586件(約70.2%)です。
控訴の判決割合
【参考PDF】平成30年司法統計「控訴審通常訴訟既済事件数 事件の種類及び終局区分別 全高等裁判所
上記のデータからは、控訴が棄却された割合の方が高いことは明らかであるものの、事案によっては覆る可能性もあるといえるでしょう。

ただし、控訴審では口頭弁論が1回しか開かれないことが多いこと、すでに第1審で一定の審理が尽くされていることから、第1審における主張立証の繰り返しを避け、争点に的を絞って、自分の主張を裁判所に対して整理してアピールすることが重要になります。
そのためには、弁護士と協力したうえで、口頭弁論に備えた周到な事前準備をすることが重要です。
 

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控訴を棄却された場合、最高裁に上告することはできる?

仮に控訴審でも控訴人の言い分が認められず、控訴が棄却された場合、制度上はさらに最高裁判所に対して不服申立てを行い、審理を求めることができます。

最高裁判所に対する不服申し立ての方法としては以下のように大きく二つあります。

  • 上告
  • 上告受理申立

上記、いずれか一つを行うことも、両方を行うことも出来るのですが、大変狭き門となっています。

そのため、離婚裁判における不服申立てにより審理をしてもらえる機会は、実質的には控訴審がラストチャンスであるという意識で臨むべきでしょう。

離婚裁判の控訴を弁護士に依頼するメリットと弁護士費用

離婚裁判の第一審判決の内容に不服があり、控訴を申し立てることを検討している場合は、早めに弁護士に相談することをおすすめいたします。

離婚裁判の控訴については、弁護士が豊富なノウハウを有していますので、依頼者としては以下のようなメリットを享受することができます。

メリット①|1回の口頭弁論で効果的に主張・立証を行うことができる

すでに何度か触れたとおり、離婚裁判において控訴を行った場合、控訴審において口頭弁論が行われるのは1回のみとなる可能性が高いでしょう。
したがって、限られた機会の中で効果的に主張・立証を行う必要があります。

弁護士は、裁判官にどのようにすれば控訴人の言い分が伝わるのかということも踏まえて、控訴理由書などを丁寧に作りこみます
主張・立証の機会が限られている控訴審では、弁護士の知恵を借りることの効果が大きいといえるでしょう。

また、相手方が弁護士をつけている場合は、特に弁護士に依頼されることをおすすめします。
繰り返しになりますが、事実上は控訴審がラストチャンスです。後悔のない訴訟にしましょう。

メリット②|第一審判決を細かく分析したうえで戦略を立てられる

控訴審では、第一審判決の結論と、それを基礎づけている理由に対する反論を行う必要があります。

その前提として、第一審判決の内容を細かく分析したうえで戦略を立てることが必須です。
しかし、判決文は長くて読みにくいうえに、どこに反論すべきポイントがあるのかを把握することは容易ではありません。

この点弁護士は、判決文を専門的に読解して、控訴審において反論すべきポイントはどこか、そのためにはどのような論理展開が考えられるかなどを検討してくれます。

メリット③|専門的な手続きをすべて任せることができる

第一審に引き続き、控訴審でも

  • 提出書類の準備
  • 申立ての手続き
  • 口頭弁論での主張立証

など、控訴人は専門的な手続きをこなしていく必要があります。

特に控訴審は、第一審とは勝手が違う部分も多くありますので、控訴に関する手続きなどを弁護士に一任することのメリットは大きいでしょう。

弁護士費用の相場は?

離婚裁判について控訴を行う場合、第一審と同じ弁護士に依頼をする場合であっても、控訴審については別料金として弁護士費用がかかるのが通常です。

具体的な弁護士費用の金額は、財産分与などの金銭請求が問題になっている場合にはその規模や、弁護士によって異なります。
例えば、着手金が30万、報酬金が経済的利益の10%のように定めていることもありますし、親権等は経済的利益ではないので、固定の報酬金を定めていることもあります。

したがってあくまでも目安になりますが、着手金・報酬金を合わせて30万円から100万円程度になるケースが多いようです。

なお、第一審と同じ弁護士に控訴審も依頼する場合には、弁護士費用について一定の割引が行われているケースもあります。
詳しくは弁護士に確認してみましょう。

まとめ

家庭裁判所で行われた離婚裁判の判決内容に不服がある場合には、高等裁判所に対して控訴の申立てを検討しましょう。

控訴審では多くの場合、口頭弁論が1回しか開催されないこともあり、限られた機会の中で効果的に主張・立証を行うことが大切です。
そのため、弁護士に依頼をして入念な事前準備を行いましょう。

また、控訴期間は第一審の判決書送達から2週間以内と決まっているので、期限を過ぎないように注意が必要です。

離婚裁判において控訴を検討している方は、とにかく早めに弁護士に相談することをおすすめいたします。

 
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