離婚届不受理申出とは?提出方法や有効期限、申出後に離婚したい場合

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この記事では、この離婚届不受理申出に関して、制度の概要、その効力や有効期限、提出方法を解説していきます。

離婚は本来、夫婦の合意によって成立するものです。

しかし、離婚についての話し合いをしている最中に、夫婦の一方が勝手に離婚届を役所へ提出して、知らないうちに離婚が成立してしまっていた…というケースがしばしばあります。

このような不正な行為を阻止することができる制度が「離婚届不受理申出」です。

離婚届不受理申出ってどのようなもの?

離婚届不受理申出とは?

離婚届不受理申出とは、簡単に言えば、自身が知らない間に配偶者が提出する離婚届を受理しないように役所に申し出ることをいいます(戸籍法27条の2第3項)。この届出を事前に提出することで、離婚の合意がないにも関わらず配偶者が勝手に提出した離婚届が受理されることを防ぐことができます。

そもそも、離婚届を偽装して勝手に役所に提出することは犯罪に当たります。
離婚届を偽造した場合は有印私文書偽造罪(刑法159条1項)、偽造した離婚届を役所に提出した場合には偽造私文書行使罪(刑法161条1項)に該当します。

しかし、犯罪の成立とは別に、離婚届に記載事項がもれなく正確に記入・押印されている場合には、夫婦の一方が他方に無断で届け出た離婚届であっても受理されてしまいます
例えば「離婚条件が決定していないのに相手が勝手に離婚届を書いて提出してしまった」というような場合であっても、戸籍上は離婚が成立してしまうのです。

離婚届不受理申出を行っておけば、このように勝手に提出されてしまった離婚届が受理されることを回避することができます。

離婚届不受理申出は相手にバレる?

役所から相手に対して、あなたが離婚不受理届を提出したという連絡がいくことはありません。つまりそういった観点だと相手にバレることはありません。

相手が離婚届不受理申出の存在を知るのは、離婚届を提出して受理されなかった時です。

一方、相手が離婚届を提出した際には、不受理届を提出した人に通知されるようになっています(戸籍法27条の2第5項)。

したがって、離婚届不受理申出をしておくことで、万が一相手が勝手に離婚届を提出した際には、その事実を知ることができます。

離婚届不受理申出書の入手・記入・提出方法

入手・記入方法

離婚届不受理申出書は、各市区町村役場の戸籍係に常設されているものを入手するのが一般的ですが、各市区町村のホームページでダウンロードできる場合もあります。本籍地もしくは居住地の市区町村役場のホームページを確認することをお勧めします。

用紙を入手したら、氏名、住所、本籍、筆頭者の氏名、申立人の氏名・捺印、申立人の連絡先を記入します。

以下、札幌市の申出書です。
札幌市の申出書はダウンロード可能ですが、市区町村によってはこの書式を受け付けていないところもあります。二度手間になることを避けるためにも、できるだけ提出先の役所からもらった書類を使いましょう。

離婚届不受理申出書(札幌市役所HP)

提出方法

離婚届不受理申出は、原則として本人が本籍地のある市区町村役場の窓口に出向いて用紙を提出します。土日、祝日等の提出が可能かどうかは、各市区町村のホームページをご確認ください。

本籍地以外に、居住地等の市区町村役場に提出することも認められていますが、最終的に提出した書類は本籍地の役場に送付されるので、不受理届の受理まで時間がかかってしまうことになります。緊急の場合には、本籍地の役場に提出するようにしましょう。

また、どうしても本人が窓口へ出向けない場合には郵送による提出も認められていますが、不受理申出をする旨を記載した公正証書等を提出し、申出人本人による不受理申出であることを証明する必要があります。
郵送を受け付けていない市区町村もあるので、ご自身で確認することをオススメします。

提出時の必要書類

離婚届不受理申出を行う際の必要書類は、印鑑と本人確認書類です。

本人確認書類は、公的機関の発行した顔写真の添付された有効期限のある書類(運転免許証、パスポート等)でない場合、2点以上の掲示が必要になる可能性があります。
また、通常、印鑑は実印でなくても構いませんが、ゴム印は認められない場合がほとんどです。

離婚届不受理申出の有効期限と、申出後に離婚したい場合の取り下げ等

離婚届不受理申出の有効期限

離婚届不受理申出の有効期限は、以前は最長6ヶ月となっていました。
しかし、現在は戸籍法の改正により、平成20年5月1日以降に申出をしたものから、有効期限は無期限となっています。

申出の取り下げを行わない限り、配偶者だけでの離婚届提出はできません。

離婚届不受理申出をした後に離婚したい場合、取り下げできる?

一度は離婚届不受理申出をしたものの、その後やはり離婚したいと思った場合や、離婚について合意できた場合は、次の2つの方法があります。

  • 自分(不受理申出をした本人)が本人確認書類を持って離婚届を提出しにいく
  • 離婚届提出前に不受理申出を取り下げる

離婚届不受理申出は、申し出た本人が確認できない場合に離婚届を受理しない制度ですので、本人が離婚届を提出する場合は基本的には受理されます(市区町村によっては、その場で取り下げを求められる等、対応が異なる可能性もあります)。

また、自分で直接離婚届を提出しない場合には、事前に不受理申出を取り下げておきましょう。

離婚届不受理申出の取り下げは、不受理申出をした本人から本籍地または住所地(所在地)の市区町村に取下げの申請を行うことになります。申請用紙は、各市区町村の役場の窓口に設置されています。
取り下げの際の必要書類は離婚届不受理申出の際と同様で、印鑑と本人確認書類です。

離婚届不受理申出の前に受理されてしまった離婚届を無効にできる?

離婚届不受理申出前に離婚届が提出されてしまい、戸籍上の離婚が成立してしまった場合に、離婚届を無効にするためには、離婚届を提出した(元)配偶者に対して「協議離婚無効確認調停」を申し立てる必要があります。
また、元配偶者が既に第三者と再婚している場合は、元配偶者とその再婚相手に対して「婚姻取消し調停」も行う必要があります。

調停を行っても離婚の無効に関して配偶者の合意が得られず、それでも無効にしたい場合は、協議離婚の無効確認訴訟を申し立てることになります。
この訴訟で離婚が無効と判断された場合には、相手の合意がない場合でも戸籍を訂正することができます。

離婚届不受理申出がされていても離婚したい場合は?

離婚したい側の配偶者からすれば、離婚届不受理申出によって、全く離婚できないというのは困ってしまいます。

実は、離婚届不受理申出がされていても、離婚調停・審判や離婚訴訟の結果であれば離婚が可能です。
詳しくはこちらの記事で解説しています。

この記事では、離婚不受理届を提出されてしまったけれど離婚したい!という人へ、離婚不受理届を提出されたら離婚できないの…[続きを読む]

まとめ

離婚届不受理申出は、勝手に提出された離婚届が受理されることを防止できる制度です。今回は、離婚不受理届が何か、また相手にバレるかなど解説しました。

手続自体はシンプルなので、離婚届が勝手に提出されることを危惧している方は、離婚届不受理申出を行ってみてください。

また、ご自分や相手方の状況について不安がある場合や、離婚の話し合いがうまく進まない場合など、お困りのことがあれば一度弁護士に相談されることをおすすめします。

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監修
離婚弁護士相談Cafe編集部
弁護士ライター、起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)、行政書士資格者を中心メンバーとして、今までに、離婚に関する記事を300以上作成(2022年1月時点)。
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