離婚後の養育費請求調停とは?流れや費用・聞かれることを解説
養育費について離婚後に取り決めるという場合には、家庭裁判所で行われる「養育費請求調停」の手続きを利用しましょう。この…[続きを読む]
養育費の支払い期間は、多くの親にとって気になる問題です。
支払い側にとっても、支払いを続ける期間がどのように決まるのか気になることでしょう。
そこで、この記事では以下の点について解説します。
また、成人年齢の引き下げと養育費請求の関連性についても考察します。
これにより、養育費の支払い期間についての疑問や不安を解消できるように詳しく説明します。是非、養育費に関する知識を深めて、より良い判断を下す手助けにしていただければ幸いです。
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支払の終期については、そもそも養育費の支払義務がいつまで続くのかが問題です。
法律では支払を終える時期や子どもの年齢は明確に定められてはいません。18歳までとか20歳までとかではないのです。
両親の合意で決める限り、いつまで支払うことにするのも自由です。
一般的には、子どもが精神的・経済的に自立可能とみなされる成年(20歳)に達する誕生日のある月までもらえるとされることが多いようです。ただ、成年も目安に過ぎません。
例えば、両親が特に大学への進学を望まず、本人にもその希望がない場合には、高校を卒業して就職した時点までとする例もありますし、両親が共に大卒で、子どもにも大学卒業を望むなら、大学を卒業する年の3月まで請求するとすることも多いです。
どちらとも言えない場合には、「高校を卒業する時点(18歳)で改めて協議する」としておくことも1つの方法です。
なお、民法改正によって、2022(令和4)年4月1日以降は満18歳が成年となる、成人年齢引き下げが行われました。
しかし、養育費の支払終期となる「精神的・経済的に自立可能な時期」は個別事案によって異なるので、成年年齢の改正は養育費の終期に影響しないという見解が裁判所サイトで公表されています。
【参考PDF】裁判所:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告の概要
例えば、子供に何らかの障がいがあり、成年を過ぎても経済的な自立は難しいという場合などは、理屈の上では養育費を支払う義務が継続し請求できます。
もっとも、成年である18歳~20歳となれば、子ども自身が親に対し扶養料の請求権を行使できますから、子どもの生活に必要な費用の請求が重複する可能性があります。
この養育費請求と扶養料請求には優劣関係があるわけではありませんが、義務者に二重に支出させる理由はありませんから、両方の金額を合わせて、子どもの生活に必要な金額の範囲で認められます。
実務では、裁判所に両方の申立てがなされた場合には、手続を一本化して審判し(併合と言います)、既にどちらかの支払義務が決まっているときは、その金額に加算するべき金額があるか否かを判断することになります。
養育費はいつまで支払うか、何歳まで請求できるかは、以下の3点の方法があります。
まず上記の通り、「夫婦間の話し合い」によって、いつまで何歳までを決めるかを決定することが重要です。
ただし、離婚を考える夫婦の場合、必ずしも話し合いが成功するとは限りません。
そのため、「調停」を通じて、調停委員や裁判官を仲介役として話し合いを行い、合意を形成します。
家庭裁判所の手続きに関する詳細は、別の記事に譲ります。
先にも少しご説明しましたが、いつまで養育費をもらうか、支払うかは自由に決められます。
ただ、例えば次のように、決め方によっては解釈が分かれたり時期が変動したりすることもあり、争いの原因にならないよう注意が必要です。
なるべく解釈の分かれないように決めましょう。
決め方 | 注意点 |
---|---|
大学を卒業するまで | 浪人・留年・留学して一般的な卒業年齢とは異なる場合、医学部のように6年間の場合など |
就職するまで | 新卒で就職できない場合に何年後まで支払うかなど |
このため、例えば大学卒業までの場合は「22歳に達した後、最初に到来する3月末日まで」のように具体的に定めるとよいでしょう。
子供の教育には想像以上にお金がかかるものです。
養育費算定表は、公立校で高校までの学校教育費を含めて算定している金額とされていますが、実際には足りないと批判されていますし、学校行事などで思わぬ支出が必要な場合があります。
そこで、定額の養育費とは別に、特別な出費が生じた場合の負担割合を決めておくことをお勧めします。
このような出費に備える意味で、毎月の養育費とは別に、ボーナス月には別途△万円を加算して支払うなどの約束をすることもよいでしょう。
あらかじめ決めておくことは義務者の立場からも計画的に資金準備ができるメリットがあります。
また、養育費算定表は公立中学、公立高校を前提としていますから、私立中学、私立高校への進学を希望する場合、超過する教育費用は、相手の承諾がない限り請求できません。
したがって、私立に進学する可能性がある場合は、これを前提として、私立校への入学が実現した場合の費用負担についても合意しておくべきでしょう。
なお、大学での教育費については、先に述べたように両親が大卒であるなどの場合は、調停・審判でも支払義務が肯定される傾向にあります。
養育費を受け取る側が再婚した場合でも、再婚したという事実だけでは養育費の金額を減らすことはできません。
しかし、再婚相手が子どもと養子縁組をした場合には、再婚相手にもその子供を扶養する義務が発生するため、養育費の金額を減額もしくは打ち止めできる可能性があります。
減額か打ち止めかは、養子縁組をした再婚相手の収入の多寡によって異なります。
また、支払い義務者が再婚した場合にも、上記と同様の考え方を取ります。
養育費と再婚の関係性について、詳しくは以下の記事をご参照ください。
離婚後に、支払い権利者(受け取る側)の収入が増えた場合には、養育費の減額が可能な場合があります。
支払い権利者の収入が増える具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
ただし、あらかじめ、将来的に支払い権利者に収入が見込めることを前提に養育費を決定していた場合には、減額を請求することはできません。
予測不可能な事態によって支払い義務者(支払う側)が減収した場合にも、養育費の減額が可能となります。
怪我や病気、リストラ、生活保護を受けるようになったなどの事態が考えられます。
また、物価や貨幣価値が大幅に変動し、相対的に支払い義務者の収入が減った場合も、養育費の減額を請求することができます。
子供が早期就職した場合には子供は扶養義務から外れますが、就職したからといって自動的に支払い義務がなくなるわけではありません。
まずは当事者間で養育費の減額もしくは打ち止めについて話し合う必要があります。
話し合いで合意が得られなかった場合には、事情変更が生じた(民法880条)として、養育費減額(免除)の調停を申し立てることになります。
このような場合にも、上と同様に当事者間の協議によって、養育費の減額もしくは打ち止めについて話し合って決定することになります。
合意が得られなかった場合には、事情変更がある場合の変更手続き(民法880条)にしたがって、調停を申し立てます。
調停や審判、裁判では、支払い義務者が養育費の期限延長に同意しているか、両親の学歴や収入等を総合的に考慮して判断がされます。
実際に、大学進学を理由に養育費支払い期間終期の延期が認められた裁判例も存在しています(東京高裁平成29年11月9日決定)。
今回は、養育費いつまで請求できるか・もらえるのか、18歳の誕生日までか、20歳までか、大学までか就職までか、再婚したらどうなるかなどを解説しました。
養育費は子供の成長には欠かせない、重要なものです。
支払いを滞納することのないよう、子供の事情や両親の事情に応じて、柔軟に変更しましょう。
養育費の終期についてわからないことがあれば、ぜひ一度弁護士にご相談ください。