財産分与しなくてもいい?ギャンブルの借金や結婚前の財産証明について

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離婚をする際によくもめごとの種になるのが財産分与をどのように行うかという点です。

離婚する際に二人の貯金は夫婦で半分ずつに分け合うのが原則であることは一般的によく知られています。

しかし「本当に、すべての財産を折半しなくてはならないのか?」という素朴な疑問があるかと思います。今回は離婚時の財産分与について、ギャンブルでできた借金や結婚前からあった財産などを例として、実際の財産分与について詳しく見ていきます。

ギャンブルの借金は論外

たとえば、ギャンブルなどでできた借金は財産分与においては論外となります。

ギャンブルでの借金は家や車のローンなどとは異なり、結婚生活とは無関係であるため、離婚しても借金をした本人だけがそれを引き継ぐことになります。

浪費も論外

同様に、服や宝石を買いあさるなど、収入に見合わない個人的な買い物で作った借金も財産分与をせず、買い物をした本人だけが責任を負うことになります。

※このあたりは揉めがちでもありますが、しっかりと丁寧に協議離婚をすすめていけば円満に解決することができます。詳しくは「協議離婚の進め方マニュアル2018【弁護士が代理交渉する場合】」を後ほどあわせてご参照ください。

そもそも財産分与は本当にすべて折半か

本題に入る前に、財産分与を考える上でまず、大前提として「共有財産」と「特有財産」という概念を理解しておく必要があります。

共有財産とは

共有財産というのは文字通り夫婦が共有している財産なので離婚時には折半して半分ずつに分けなければなりません。

特有財産とは

しかし、それに対して、特有財産というのは夫あるいは妻の個人的財産であるため、離婚しても分ける必要がないというわけです。

「どちらか一方の財産が多くなったり少なくなったりするのは不公平ではないか」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかしこのような一見公平ではない分け方には大きな理由があります。

まずは財産分与の話になった場合、必ず行わなければならない「どれが共有財産で、どれが特有財産なのか」といった仕分け作業を通して、その理由を考えてみましょう。

共有財産を具体例で考えてみる

実際によくありがちな具体例で解説致します。

仮に、夫の名義で800万円、妻の名義で200万円の「貯金」が各銀行に預金されていたとします。

これらは個人名義のお金なので、それぞれの特有財産だと思う人がいるかもしれません。

しかし、実際は、貯金や保険金といったものは名義に関わらず、夫婦の共有財産とみなされます。

そのため、先の例では両方の貯金の額を足して500万円ずつわけあうのが原則となります。

カードローンから車のローン、年金なども共有財産

その他にも

・土地や建物などの不動産
・家財道具や電化品
・年金や退職金
・自動車
・美術品
・貴金属類

といったものはすべて夫婦の共有財産です。ちなみに、カードローン、家や車のローンなどの借金も負の共有財産として折半されることになります。

要するに、結婚生活中に得た財産の多くは共有財産とみなされるわけです。もちろんそれが折半になるかどうかの点については、例外もありますので注意してください。詳しくは「離婚の財産分与に不満!相手より多くの割合は要求できるのか?」の記事をあわせてご参照ください。

次に「特有財産」は何かについてご紹介致します。

特有財産にあたるものは何か

結婚生活中に得た財産が基本的に共有財産なのに対して結婚前から所有しているものは特有財産に分類されます。

婚姻前からあった貯金や借金などがそうです。もちろん、結婚前に購入した個人の所有物も特有財産とみなされます。

ちなみに結婚後に購入したとしても日常的に使用する衣類やバッグなどは個人の財産として認められ、共有財産には含めないのが一般的です。

別居中や相続・贈与の場合も

また、離婚はしていなくても「別居状態」になってから購入したものに関しては特有財産として認められます。

さらに、相続や贈与による財産はたとえ結婚後に得たものだとしても特有財産に分類されます。

共有財産というものはあくまでも夫婦の協力によって得た財産というのが建前なので、結婚生活の有無と関係なく得た財産に関してはカウントされないというわけです。

Q.親からの贈与はどうなる?不動産の頭金はどうなる?

結婚後に購入した不動産は基本的には夫婦の共有財産です。しかし、若い夫婦の場合だとどちらかの親がその頭金を出してくれるという親からの贈与のケースも少なくありません。

たとえば、3,000万円のマンションを購入する際に妻の父親から頭金500万円を贈与で出してもらったとします。つまり、マンションの購入費の内、6分の1を妻側が出しているわけです。

そして、離婚時に住宅ローンは完済しており、マンションの評価額が1,500万円になっていたとします。この場合、評価額の6分の1である250万円分が妻の特有財産となり、残りの1,250万円を共有財産とみなして2人で折半することになります。

証拠の保管が大切!特有財産の証明法

「しかし共有財産と特有財産の見分け方が分かったとしても、どうやって証明するの?」と思う方もいらっしゃると思います。

全くそのとおりで、問題はそれをいかにして証明するかです。

いくら「これは入籍前に購入したものだから私の特有財産だ」と主張してもそれを証明するものがなければ水掛け論になるだけです。その結果、離婚調停や離婚裁判ではこちらの主張が認められずに共有財産だと認定されるケースも少なくありません。

夫婦財産契約はダメ?

それを防ぐには確固とした証拠を用意する必要があります。その方法として最も確実なのが「夫婦財産契約」を結ぶことです。

これを締結すれば離婚してもどの財産が誰のものであるかを証明することができます。実際、海外では多くの人がこの制度を利用しています。

ただ、この契約は結婚前にしか結ぶことができないうえに、結婚前から財産分与の話をすると相手への愛情が疑われかねません。そのため、日本ではほとんど利用者がいないというのが実情です。

少ない証拠をかき集めるしかないか

現実的にはできることといえば以下のことぐらいです。

たとえば貯金が自分の特有財産だと証明するには結婚前の貯金通帳を引っ張り出してくることです。

銀行から取引履歴を出してもらうことも可能ですが、費用がかかるうえに5年を超える顧客データーは原則として保管されないことになっています。

また贈与や相続によって財産を得た場合はそれを証明する書類を作成しておくことが重要です。ただ、書面があればよいというわけではなく、法的にも効力を持つためには署名、日付、金額の記載など、いくつかの条件が必要になってきます。

弁護士相談がおすすめ

よく分からない場合は弁護士など、専門家に相談するのがよいでしょう。特有財産の証明は婚姻生活が長くなるほど困難になるものです。いざ離婚となったときに財産分与でもめないためにも特有財産の証拠となるものは大切に保管しておくようにしましょう。

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