家庭裁判所での手続きの流れと用語|調停・審判・訴訟の違いは?
本記事では家庭裁判所が取り扱う「家事事件」がどのようなものであるかについて、離婚を例としてご説明します。[続きを読む]
子供の引渡しに関する問題は、離婚や別居などでのトラブルでしばしば起こります。特に、連れ去りなどのケースでは引渡し審判が行われることがあります。本記事では、子供の引渡し審判における強制執行の重要性と、その際に知っておくべき法的な知識を解説します。
引渡し審判は、子供の親権や面会交流の実施などを取り決めるために行われるもので、一方の親が子供を引き渡す義務を持つ場合があります。しかし、引き渡しの合意が得られない場合や連れ去りが起こった場合には、裁判所の介入が必要となります。
強制執行は、裁判所の判断に基づいて子供の引き渡しを強制的に行う手続きです。これには警察や強制執行官を介することがあり、親権者の協力が得られない場合でも子供の権益を保護する手段となります。
連れ去りなどの状況での法的対応は複雑ですが、法的な手続きを適切に行うことで子供の安全や権益を守ることができます。引渡し審判や強制執行に関する知識を深めることで、適切なアクションをとる際の指針を得ることができるでしょう。
目次
離婚時には「子の監護者としてふさわしい」と判断された方に、親権が与えられ子供と住むことができます。
しかし、離婚前の別居中に親権が獲得できなかったにもかかわらず子を連れ去り、親権者に引き渡そうとしない妻や夫がいます。
「子の引き渡し調停」は、親権者以外の親が子を囲い込んでしまったときに効力を発する調停です。
家庭裁判所に申し込むことで、自分のもとに子を取り戻すきっかけとなります。
なお、子の引き渡し調停は離婚時だけに適応されるものではありません。たとえば、別居中の夫婦の場合であっても子の生活環境が望ましくないと思えば、子の引き渡し調停を申し立てられます。そして、調停の結果に必ず夫婦は従わなくてはいけません。
子の引き渡し調停は、子の父母、いずれかが家庭裁判所に申し立てて開かれます。
必要書類としては、
などです。
ただし、調停内容によっては他にも資料を請求される場合があります。たとえば、子の引き渡しを要求する理由で、相手の経済状況を申し立てるのであれば「経済状況を証明できる資料を提示」しなくてはいけません。
申し立てに手数料はかかりませんが、1,200円分の収入印紙を買います。
子が複数いる場合は、人数分の収入印紙を買いましょう。
基本的にはこれだけの手続きと書類で引き渡し調停は実現しますが、多くの親は弁護士を雇って調停を有利に進めようとします。
まず、申し立てを棄却されないために「相手が親権者に相応しくないとする根拠」を集めておきましょう。「
相手が「子に虐待を行っている」「育児放棄が目立つ」などの理由があれば、調停も有利に進められます。
子供の連れ去りが起きた場合、親権者でない親でも「子の引き渡し調停」を申し立てることは可能です。
ただし、「親権のない親と子が一緒に暮らす」という状況を裁判所は認められません。そのため、親権者から子を引き渡してもらうためには「親権者の変更」も同時に調停する必要があります。裁判所は親権者の
などさまざまな側面を考慮し、親権を変更するべきかどうかを決定します。
子の引き渡しにおいては、離婚前に調停のほかにも裁判所に審判をあおぐパターンがあります。
調停とは、裁判所の仲介によって「夫婦が話し合い」を進めていく場です。
裁判所は話し合いが円滑に行われるよう振舞ってくれますが、原則として意見は挟みません。
話し合いはあくまでも夫婦間、あるいは代理人間で進んでいきます。そして、双方が納得できるポイントを探るのが調停です。
審判は裁判所に問題の決定権があります。
裁判所は証言や証拠などを考慮して、離婚問題が解決にいたるための決定を下します。
時には夫婦が納得できないような決定もありえますが、裁判所の決定には法的な執行力があるために拒否はできません。
たとえば、裁判所が親権者を定めたら、もう一方はすみやかに子を引き渡す義務があります。
そのため、調停で問題が解決しない場合に、審判へと発展することも珍しくありません。
子供の連れ去りがあり、その後の子の引き渡しは時として急を要する重大な問題となる流れも発生しがちです。
たとえば、子と同居している親がDVを振るっている場合、そして、それが明らかな事実である場合、調停結果を待っている暇はありません。即刻、子を安全な場所に保護する必要が生まれます。
権利者を守るために、調停や審判の終わりを待たずとりあえずの決定を下すことを「保全処分」と呼びます。
調停や審判は決定まで長引くこともあるので、保全処分を強制執行してもらえれば子を危険な環境から救い出せるでしょう。
ただし、保全処分はあくまで「仮処分」なので、調停の結果次第では流れで状況が再びくつがえるケースもありえます。
また、裁判所は保全処分について非常に慎重です。よほどの確証がない限り保全処分には動かず却下されるため、保全処分に頼るだけではなく調停や審判を早く終わらせることを忘れないようにしましょう。
子の引き渡しにおいて、すべての夫婦が弁護士を雇うわけではありません。
しかし、弁護士を雇うとさまざまなメリットが発生するので、権利を通す可能性を上げたいなら弁護士をつけるのがおすすめです。
まず、弁護士は必要なアドバイスをくれます。過去の事例を参考にして、依頼者が有利な立場になるよう働きかけてくれます。
また、早く調停を終わらせたいなら弁護士がいた方が効果的です。弁護士は調停や審判の問題を端的に表すスキルに長けています。
離婚前の調停の時間は短くなりますし、弁護士がいれば法的な手続きで手間取ることも少なくなります。
申し立ての書類を弁護士に代行してもらうだけでもかなり時間は削減できるでしょう。
子の引き渡しは一刻を争う問題になりかねないため、早急に解決する策をとるのがおすすめです。