離婚と調停・審判|家庭裁判所に行く前に知っておくべき離婚用語

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離婚を成立させるためには法律にもとづいた手続きが必要となります。しかし、いざ離婚の手続きを始めようと思っても、法律の専門知識がないため、困ってしまっている人もいることでしょう。

そこで、離婚を扱う「家事事件」とは何かを中心に、また、家事事件の解決に向けた手続きの際に知っておきたい家事事件の分類や種類、用語について解説します。

民事事件と家事事件の違いとその管轄

民事事件はニュースなどでも良く聞く言葉だと思います。一般的に第三者との間に起きた問題を扱う事件のことです。たとえば、交通事故や労働などの契約問題といったことがあります。

そして「家事事件」とは、家族や親族との間で起こった家庭内の問題について法律のもとで取り扱っている事件のことをいいます。民事紛争のトラブルに関する事件には民事事件だけではないのです。一例として、家事事件には親族間で起こる相続問題や、夫婦間の離婚問題といったことが該当する事件などがあります。

当事者間だけで話し合いによって問題を解決することができればベストですが、中には解決できない問題もあります。家族間だからこそ、感情的な対立が起こりやすいということもあるのです。

また、離婚の場合であれば、子どもの親権や養育費、離婚後の面会といった問題について、離婚後に約束通り実行されないというトラブルを防ぐことも必要となります。そのためにも、家事事件として扱い、後見的な存在として裁判所が間に入った手続きにより解決へと向かうことが求められることもあるのです。離婚は家事事件であるため、管轄は家庭裁判所の取り扱いとなります。具体的な手続きについては自分で行うことも、弁護士などの専門家を付けて行うことも可能です。

審判事件と調停事件の2種類があります

家事事件と一言でいっても大きく2つの事件に分類されます。

1つが審判事件、もう1つが調停事件です。審判事件とは、その名のとおり、家事事件のうち、審判手続きによって解決を目指す事件をいいます。

離婚の管轄である家庭裁判所の調査官が調査で知った事実や、紛争中の当事者が提出した書類などをもとにして、裁判官が判断を下し、「審判」と呼ばれる決定を行うのです。一方、調停事件とは、裁判官と2人以上の調停委員によって調停委員会を構成し、当事者に助言を行ったり、あっせんを図ったりすることで双方合意の解決を目指す事件をいいます。

調停委員会は当事者となる双方から意見や事情を聴取し、双方が納得できる方法を探ることで解決へと向かえるようにサポートを行っています。

甲類と乙類。審判事件の種類

家事事件の1つである審判事件は事案の内容によって、さらに2つに分けられています。

2つの種類のうち、特に当事者間に争いがない事件が「甲類」と呼ばれる事件です。甲類事件では審判の方法のみで審理する事件となっています。

対して、話し合いがなければ解決をすることができない事件が「乙類」と呼ばれる事件です。乙類事件は、当事者が審判の申し立てを行った場合でも、家庭裁判所裁判官の判断により調停での解決を試みることが可能となっています。

また、当初は調停での申し立てであっても話し合いが難航して調停不成立となったときには、審判手続きを行うこともできます。審判事件の具体的な事案で見れば、たとえば、

・氏や名の変更
・特別代理人選任
・死後離婚

といったことは一般的には甲類の扱いです。また、

・養育費や面接の交渉
・離婚後の財産分与にかかわってくるような処分
・親権者の変更
・遺産分割といった事案

であれば乙類に該当します。

特殊調停とは?調停事件の種類

審判事件と同様に、調停事件も事案により3つの種類に分けられます。

まず、1つ目は「乙類調停」です。乙類調停の事件とは、審判の種類の1つである乙類事件について調停により解決を図る方法です。

・養育費や面接の交渉
・離婚後の財産分与にかかわってくるような処分
・親権者の変更
・遺産分割

などについての問題を解決するために行われます。最初は当事者から調停として申し立てられても調停で話し合いが解決しなかった場合には審判として扱うことが可能です。また、当事者から審判として申し立てられた事案であっても、裁判官の判断で調停に方法を変えて解決が試みられることもあります。

次に、調停事件の2つ目の種類として挙げられるのが「特殊調停」です。

特殊調停とは、当事者間で審判を受ける合意が成立していて、特に争う意思がない場合に行われます。家庭裁判所が双方の合意が正当であることを調査の上、確認することで審判が行われるのです。

たとえば、

・協議離婚の無効確認
・嫡出否認
・認知

といった事案があります。

そして、3つ目の種類となるのが、家事事件のうち、乙類調停と特殊調停にあてはまらない「一般調停」の事件です。離婚のほか、夫婦関係の円満調整といった事案も該当します。

解決しないなら裁判・人事訴訟

上記の通り離婚を成立させるにあたり、夫婦間の合意がなかったり、裁判所が認める特別な理由がなかったりする場合には、まず、家庭裁判所での家事調停を行う必要があります。

しかし、家事調停で離婚が成立しなかった場合には、次の手段として裁判によって解決を図ることとなるのです。

離婚訴訟のような家族間における争いについて解決することを目的とした訴訟は「人事訴訟」と呼ばれています。人事訴訟は、民事訴訟の一種です。人事訴訟では未成年の子どもや離婚後の親権の決定について、離婚とともに解決したいという場合でも申し立てすることができるようになっています。

また、加えて養育費や財産分与についても同様に申し立てが可能です。さらに、離婚にかかわる慰謝料を請求したいという場合にも申し立てすることができるようになっているのです。

人事訴訟を起こす場合には、民事訴訟と同じように答弁書の提出や口頭弁論といった手続きが必要となります。ただし、民事訴訟とは異なる点もあるのです。たとえば、

・家庭裁判所に選任された参与員が証拠調べや和解を試みる際に立ち会ったりする場合があり
・家庭裁判所の調査官が子どもの親権者指定のために子どもに面接をし、調査を行ったりすることもあり

などです。

調停委員、即時抗告、付帯処分とは?知っておきたい専門用語

調停委員になるには

調停を行う際に裁判官とともに調停委員会を構成する人員として「調停委員」と呼ばれる人をご紹介しました。しかし、大切な離婚問題にかかわる調停委員とはどのような人であるのか気になる人もいることでしょう。

調停委員会を構成する調停委員とは、一般の市民の中から選ばれた人たちです。社会生活における知識や経験が豊富な人や、専門的な知識を持っている人で、原則40歳以上70歳未満の人が選ばれています。たとえば、地域で幅広い活躍をしていた人、弁護士や医師などの専門家などが選任されます。

即時抗告

また、審判事件で受けた審判に不服があると相談したら、「即時抗告」の申し立てをするようにといわれることがあります。即時抗告とは、決定を急ぐ事件において、一定の期間内に行わなければいけない抗告です。抗告とは裁判所による審判に対して不服の申し立てを行う方法をいいます。

審判事件の審判に不服があった場合には2週間以内に申し立てをしなければいけません。ただし、事件によっては即時抗告ができないものもあります。

付帯処分

訴訟を行う際には離婚の決定と合わせて親権や財産分与などの申し立てをすることができることを説明しました。そして、このように、離婚と離婚にかかわる処分などを、あわせて審理することができることを専門用語で「附帯処分」といいます。

附帯処分は書面で別途申し立てを行うことが必要です。

申し立て不要のものも?対象にならないものもある?附帯処分をする際の注意点

離婚訴訟で行う附帯処分では、一般的に親権者や養育費、財産分与、慰謝料のほか、年金の分割といったことを申し立てることもできます。

そして、通常の附帯処分の申し立ては当事者自らの申し立てが必要です。ただし、親権者の指定については、子どもが未成年である場合に限って申し立てがなくても裁判所の職権で申し立てが促される場合もあります。また、附帯処分の申し立ては事実審の口頭弁論が終結するときまでに行うものであるため、それ以降の申し立ては対象外となることも知っておき、期限に注意しておくようにしましょう。

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