面会交流を子供が拒否!嫌がる子供の意思を尊重できるのか年齢別解説

- 面会交流を子供が拒否している場合どうしたよいの?親としては子供に会いたい。
面会交流とは,子供を養育していない方の親が子供と面会を行うことです。
しかし4歳から中学生、高校生ぐらいの精神的に敏感な時期にいる子供たちは、時に面会交流を拒否してしまうことがあります。
子供が会いたくないと言ったらどうすべきなのでしょうか。
子供が面会交流を拒否してしまうと、どう対応すれば良いのか悩むことがありますよね。
この記事では、子供が嫌がる理由や年齢別の気持ちを理解し、尊重する方法について解説します。子供の意思を大切にしながら、良好な関係を保つためのアプローチをご紹介。
お子さんの成長段階に合わせて、円満な面会交流を築くためのヒントを見つけてみましょう。
目次
子供が嫌がる場合、原則として会わせる必要があるか
離婚によって子供と離れて暮らしている親(非監護親)には、子供と交流をする権利があります。
これは、非監護親が持つ親としての子供に会いたいという気持ちを権利にしたものであると同時に、子供が持つ親から愛情を受けられる権利に寄与するものでもあります。
ですから、子供が会いたくないといっている場合にも、子供に親子の交流の大切さを解いて面会交流をするように促し、非監護親に会わせる必要があるのです。
面会交流と子供の意思と年齢
子供の意思が尊重される場合があり
面会交流はあくまで子どものための制度です。そのため、基本的に子どもの利益にならないような面会交流は禁止されることになります。
面会交流が子どものための制度である以上、面会交流を行うにあたっては、子どもの意思が尊重される場合があります。
例えば、子どもの都合がつかない場合、子どもが面会を嫌がっている場合、などには面会交流を拒否できることがあります。
審判の場合|高校生など15歳以上
まず、子どもが高校生など15歳以上のときの「審判」では、必ず意見を聴取しなくてはならないと定められています(家事事件手続法152条2項)。
審判の場合|10歳以上の小学生・中学生
上記の通り、15歳以上と定められてはおりますが、実際には、子どもの利益確保の観点から、小学生や中学生など10歳程度以上の場合は意見を聴取しています。
また、これに満たない年齢の場合でも、事案に応じて子どもの意見を聴くようにしています。
調停の場合
上記は審判の場合でしたが「調停」の場合は、子どもの意見を聴取するかどうかは、事案によります。
現実的にはケースバイケース
ただし、聴取した子どもの意見を、どの程度考慮・尊重するかは別問題です。
その子どもの意見内容や事案次第でケースバイケースですが、おおむね中学生以上では子どもの意見に従う傾向にあります。
これに満たない子どもは、同居している親の顔色を窺うなど、親の意見に影響されやすいこともあって、子どもの意見は調査官・裁判官の判断資料のひとつにとどまることが多いです。
ただし、中学生以上といっても、自分の置かれた状況を十分に理解して意見をはっきり言える子どもばかりではなく、その子の成長度合いは様々ですから、一律に機械的な対応をしているわけではありません。
面会交流と子供の本当の気持ちとは
子供が非監護親に会いたくないといっている場合、監護親としてはそれが本心からの言葉であるのかについてよく考える必要があります。
子供は親をよく見ており、親が子供をどう思っているのかもよく考えています。
例えば「自分が非監護親と会うことを、監護親はよく思わないのではないか」と子供が考えてしまうこともあるのです。
その結果、本当は非監護親に会いたくても、会わないほうがよいと子供が考えているケースもあります。
また、子供は非監護親と接する時間が短いのですから、子供から見える非監護親の姿は、監護親が非監護親をどのように思っているかに大きく左右されます。そのため、監護親が非監護親をよく思っていない場合、子供も非監護親をよく思わないようになりがちです。
それが行き過ぎると、非監護親への悪い印象が膨らんで、自分の敵だと思いこむようになってしまいます。
改善方法
自分が非監護親に愛されていると感じることができれば精神の健全な成長につながるでしょう。
面会交流は、非監護親が持つ子供と会いたいという思いを形にした権利であると同時に、子供が持つ親から愛情を受ける権利を実現するものです。
子供が非監護親をどう思っていても非監護親は子供を愛しています。面会交流は子供に非監護親が自分を愛していることを確認させる機会でもあるのです。
ですから、子供が会いたくないといっている場合でも、よく説得して面会交流を実現させるべきというのが原則となります。
子供が会いたくないと言ったら、虐待がないか調べる必要はあり
子供が嫌がる場合・拒否する理由は何か
子供が会いたくないと言ったら、非監護親が子供を虐待していないかは確認する必要があります。
離婚の際に虐待の事実に気づいていれば、そもそも面会交流は認められません。
しかし、監護親の気づかないところで非監護親が子供を虐待する場合もあります。
子供は親を心配させまいと隠し事をしたり、自分が怖い目や酷い目にあったことを恥ずかしいと感じたりしがちです。
その結果、自分からは虐待されていることを告白できずに、ただ会いたくないと繰り返すだけになってしまうケースがあります。
ですから、どんなに説得しても子供が非監護親に会いたくない場合には、その理由を丁寧に聞き出してあげることが必要です。
虐待などの理由があって会いたくないといっていることがわかれば、面会交流という約束ごとを破棄することができます。
再度の調停
面会交流の条件を決めたときから事情が変わっている場合や、そのときには知らなかった事実が後から判明した場合には、裁判所で面会交流の調停をすることができます。
ここで、虐待の事実などの面会交流が子供にとって有害であるという理由が明らかになれば、非監護親がいくら面会交流を希望したとしても、裁判所の判断で面会交流は認めないという審判がなされます。
以上のように、面会交流が子供にとって有害になる場合には、子供の意思や気持ちとは無関係に、例外的に拒むことが可能となります。
会わせないとどうなるか
子供の意思などと正当な理由がないのにも関わらず、相手に合わせないとどうなるのでしょう。
親権者の変更
子供を養育・監護している親(監護親)は、仮に子供が会いたくないといっていたとしても、それを説得して面会交流を実現させなければ、約束ごとを破ることになります。
この場合、約束ごとを破るような人間は監護親としてふさわしくないとして、裁判所から「親権者の変更」をする決定が出されることもあります。
お金の支払い命令・差し押さえ
また、離婚する際に面会交流の条件を裁判所で決めていた場合には、非監護親は裁判所に訴えて強制的に面会交流を実現させることができます。
強制的といっても、力づくで会わせるのではなく、監護親に対して面会交流を1回拒むごとにいくら支払うように命令が出されます。
監護親の経済力によって命令される金額は異なりますが、1回拒むごとに100万円支払うように命令されたケースもあります。
もし面会交流を拒否したうえで支払い命令にも従わなければ、銀行口座の差し押さえなどを受けます。あくまでも、約束ごとはきちんと守ることが原則ですから、破ってしまえばペナルティが生じることになります。