不妊離婚|もう治療で疲れた、離婚したい!慰謝料の理由になるか。
近年、不妊治療の困難さが離婚の原因として取り上げられるケースが増加しています。
このような状況では、円満な解決が難しい場合があり、特に慰謝料の問題で争いが生じることがあります。今回は、Yahoo!知恵袋やガールズちゃんねるなどで話題の、こうした不妊と離婚、離婚したいと感じた時、妊活うつ、もういらないと感じたら、そして慰謝料に関連する法的な側面を解説します。
目次
夫が妻が不妊離婚したい。慰謝料が発生する基準とは
離婚慰謝料とは、夫婦のどちらか一方が相手から耐えがたい精神的苦痛をこうむった際、補償として請求できるお金のことです。
慰謝料を払ったからといって必ずしも離婚するとは限りませんが、多くの夫婦は慰謝料のやりとりが発生した時点で関係を続けるのが困難になります。
男性であっても女性であっても、不妊が慰謝料の理由になるかどうかを考える際、まずは「離婚慰謝料の基準」を理解しておく必要があります。
財産分与や養育費とは別でもらえる
離婚において発生するお金の問題には、そのほか「財産分与」「養育費」などが挙げられます。
しかし、慰謝料はこれらのお金とは別に支払われるお金です。
そのため、多く財産分与するから「慰謝料は払わなくていい」という言い分は通りません。
しかしそもそも「不妊」を理由に離婚することは可能なのでしょうか。実は「離婚届だけ出せば離婚成立」と考えていらっしゃる方もいますが、そう簡単ではありません。
そもそも男性も女性も不妊を離婚の理由にできるか
離婚したい場合には「夫婦生活を継続するのが難しい状態」を事由として挙げなくてはいけません。
そのため、不妊が夫婦にとってどれほど大きな問題なのかが重要になってきます。たとえば、結婚前に「子どもはいらない」という取り決めが夫婦間で交わされていたのなら、不妊は離婚事由として適切と呼べないでしょう。
「子どもは必ず作る」という意志が夫婦で共有されており、そのうえで妊娠ができなかった場合は離婚事由にできます。
また、不妊をパートナーに黙って結婚していたときにも、離婚事由には含められるでしょう。
ただし、不妊は本人の意志だけでどうにもならない問題であり、離婚事由の筆頭に挙げることを心情的に躊躇するケースは少なくはないですし、離婚の理由としては認められません。
妻への妊活ストレスで離婚慰謝料はとれるのか?
妻の不妊に対して慰謝料を請求することは、一応「可能」です。
ただし、実際に慰謝料を支払ってもらえるかどうかはケースバイケースでしょう。
たとえば、「不妊であることが分かっていながら、結婚のときに隠していた。そのため、子どもを期待してしまった」というなら、「夫婦関係の継続が困難」な事由にあてはまります。また、夫が精神的苦痛を受けたともいえるでしょう。
しかし、子どもがいない夫婦は決して珍しい事例ではないため、離婚調停や裁判になっても司法がどう解釈するかは断言できません。
ただし、不妊について言葉の暴力を受けたなどの事実があるなら、慰謝料が請求できる確率は高まります。
つまり不妊そのものではなく、不妊の結果「DVをされたり」「別居したり」などを原因として離婚し、慰謝料も請求するという形です。
DVについては「妻からの暴力|逆DVを受けたら?暴言やモラハラに夫が取るべき対処法とは」なども後ほどあわせてご参照ください。
2人目が不妊のケースで離婚できる?
すでに子どもがいて、2人目をつくろうとしたのに妊娠できなかった夫婦も意外と多いです。
そんなとき、「2人目の不妊」が離婚事由になるかどうかも難しいところです。絶対に認められないわけではありませんが、多くの場合は離婚事由に相当しないと結論づけられるでしょう。なぜなら、最初の子どもがいる夫婦について、法律的にはその子どもの福祉が優先されています。
子どもが心身の健康を保証され、経済的にも不自由なく暮らしていく環境を考えれば、「まだ妊娠もしていない2人目」を離婚事由にはしにくいのです。
ただし、2人目の不妊について夫婦関係がこじれた際、「性格の不一致」が生まれたとして離婚事由とすることは十分に可能です。
不妊疲れや妊活によるうつについて
不妊治療を続けていると、「不妊疲れ」「妊活うつ」にかかる女性がいて、「もういらない」と思う人もいるのです。
そんなとき、離婚慰謝料の根拠として「不妊疲れ」や「不妊うつ」を挙げることは可能です。
ただし、精神的苦痛が夫によるものとの証拠を提出できるようにしましょう。不妊についてひどい言葉をかけられたり、不妊治療を強制するような行為があったりすれば、より慰謝料は請求しやすくなります。
男性が不妊治療を行っている場合もありますし、妻の不妊に付き添っているうちに心を病む男性もいます。
まとめ
不妊と離婚については法的な問題は難しい点があります。
まずは離婚問題に強い弁護士に相談をするのが無難と言えます。