離婚の財産分与で借金があるときはどうなるの?債務超過の場合は?

★ お気に入りに追加
zaisannbunnyo syakkinn

夫婦が離婚をする場合、結婚している間に共同で作った財産を公平に分けることになります。

これを「財産分与」といいます。

しかし財産だけでなく、借金などの債務も存在する場合には、どのように財産分与を行うことになるのでしょうか。

財産を分けるのであれば、債務も分けなければ公平でないようにも思われるところです。

実際にはどのような処理がなされているのか、気になる方も多いでしょう。

そこでこの記事では、離婚時に債務がある場合に、どのように財産分与が行われるのかについて解説します。

借金は財産分与に影響するの?

まず、借金が財産分与の際に考慮されるのかどうかという点について解説します。

結婚生活に関連して負担した借金は財産分与において考慮される

財産分与の金額は、夫婦が結婚している間に行った経済活動の結果を総合的に考慮して決定されます。
この点、夫婦が共同で作った財産については、当然財産分与の対象となります。

一方で、債務についても、夫婦の共同生活に必要なものといえるのであれば、財産分与の際にその金額を考慮するのが公平でしょう。
そのため、夫婦の共同生活に役立てるために作った借金については、財産分与の際に考慮されることになります。

なお、結婚している夫婦の間では、どちらか一方の判断のみで借金をするというケースも見受けられます。
しかし、客観的に見て夫婦の共同生活に役立っていると認められる場合には、借金に同意していない側としても、借金から利益を得ていることになります。

このような場合には、相手の同意がない借金であっても、夫婦共同の借金として財産分与の際に考慮されます。

財産分与の考慮対象となる借金・ならない借金

借金が財産分与の際に考慮されるのは、夫婦共同の利益のために借金をしたと実質的に評価できる場合のみです。

そのため、明らかに個人的な原因で作った借金や、どちらか一方のみに帰属することが明らかな借金については、財産分与の際に考慮対象外となります。

財産分与の考慮対象となる借金

財産分与の対象となる借金の具体例を見ていきましょう。

まず、夫婦の生活費に充てるための借金は財産分与の考慮対象となります。

たとえば、

  • 衣食住に必要な費用
  • 医療費
  • 子供の学費
  • 適切な範囲の金額の娯楽費・交際費
  • その他家族が生活するために必要な費用

などに充てることを目的とする借金がこれに該当します。

また、夫婦共同の財産を取得することを目的とした借金も、同様に財産分与の考慮対象となります。

このような借金の例としては、

  • 住宅ローン
  • 車のローン

などが挙げられます。

 財産分与の考慮対象とならない借金

一方、夫婦の共同生活とは無関係に作った借金については、財産分与の考慮対象になりません。

典型的な例としては、以下のような借金が挙げられます。

  • 趣味や娯楽のための借金
  • ギャンブルを原因とする借金
  • 過度に高価な品物(嗜好品など)を購入するための借金

また、結婚する前から夫婦の一方が負担していた借金についても、原則として財産分与の考慮対象外となります。

ただし、結婚前から同居をしていて内縁関係が認められる期間があるような場合には、その期間中に負担した借金が財産分与の考慮対象となる可能性があるので注意しましょう。

借金がある場合の財産分与の金額の算定方法

実際に財産分与の金額を計算する際に、借金がどのように考慮されるかについて解説します。

家庭裁判所の実務上、

  • 資産が債務より多い場合(資産額>債務額
  • 資産が債務より少ない場合(資産額<債務額、つまりオーバーローンの場合)

で取り扱いが異なります。

それぞれの場合について見ていきましょう。

資産額>債務額の場合

資産が債務を上回っている場合には、まず資産額から債務額を差し引いた金額を算出します。

そして、夫婦間で決定した財産分与の割合に応じて、上記の金額を夫婦で分配します。

たとえば、以下のようなケースを考えます。

  • 資産総額1000万円
  • 債務総額500万円
  • 財産分与割合は2分の1ずつ
  • 資産と債務は現状すべて夫名義

この場合、まず資産総額から債務総額を差し引くことにより、財産分与の基準となる金額を算出します。

1000万円-500万円=500万円

財産分与割合は2分の1ずつですので、夫婦それぞれの財産分与による取り分は、

500万円×1/2=250万円

となります。

現状は資産・債務のいずれも夫名義なので、夫のところに差し引き500万円相当の資産がすべて帰属しています。

よって、夫は妻に対して、妻の取り分である250万円相当の財産を分与することになります。

 
Cafeおすすめ! 【東京都】
弁護士法人 浜松町アウルス法律事務所
弁護士法人浜松町アウルス法律事務所
弁護士法人 浜松町アウルス法律事務所 弁護士法人浜松町アウルス法律事務所

ご相談だけでも、「安心した」「解決の糸口が見えた」と思っていただけるよう心がけています。全国対応ですのでお任せください。

ご相談だけでも、「安心した」「解決の糸口が見えた」と思っていただけるよう心がけています。全国対応ですのでお任せください。

ご相談者様のお気持ちに真摯に寄り添い、「率直なご希望」をお聞きするよう努めております。正直なご要望をお伺いして、それに近づくためにはどのような選択肢があるのか、幅広くご提案させていただいています。
「どうしたいのか自分でもわからない」という方もぜひご相談ください。私どもと一緒に考えていきましょう。
お電話でのお問い合わせはこちら
050-1709-6142
[電話受付]平日 10:00~19:00
電話で相談する 弁護士詳細情報はこちら 弁護士詳細情報はこちら

資産額<債務額(オーバーローン)の場合

一方、債務が資産を上回っている場合(オーバーローン)の取り扱いについては、民法上は特に明文の規定がありません。

そのため、どのように財産分与を行うかについては、家庭裁判所における実務上の考え方が一つの基準となります。

家庭裁判所の実務としては、オーバーローンの場合には「資産ゼロ」とみなし、財産分与を行わないということが一般的です。

本来であれば、このような場合は「資産マイナス」であり、債務を含めたマイナスの資産を公平に分ける方が理に適っているようにも思われます。

しかし実務上は、オーバーローンの場合には財産分与を行わない取り扱いがなされており、この場合には債務の金額は財産分与に当たって考慮されないことに注意しましょう。

以上のことから、オーバーローンの場合には、夫婦のうち債務の名義人である側が、そのまま債務を負担し続けることになります。

オーバーローンが典型的に問題となるのは、住宅ローンが残っているケースです。

住宅ローンが残っている場合の持ち家の財産分与については、以下の記事もご参照ください。

関連記事
離婚の注意点!住宅ローンの残っている持ち家の財産分与まとめ
離婚時の住宅ローンの財産分与は複雑です。その他の財産分与の場合は折半にすればよいケースも多いですが住宅ローンの場合は…[続きを読む]

自営業の場合の財産分与の考え方について

自営業の方は、事業の運転資金として活用する目的で借金をする場合もあるでしょう。

事業目的の借金についても、財産分与の考慮対象となるかどうかの考え方は、これまで解説してきたところと同じです。

しかし、事業は離婚後も続いていくという性質上、どの程度借金が財産分与の考慮対象となるかについては特別の考慮を必要とします。

この記事では、自営業の方が負担する借金について、

  • 生活のための借金
  • 事業のための借金

の2つに分けて、財産分与の考え方を見ていきましょう。

なお、法人名義の資産と借金は原則として財産分与の対象外ですのでご注意ください。

また、自営業の方との離婚全般については、こちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事
rikonn zieigyou
自営業者の夫と離婚する際の注意点|財産分与や連帯保証はどうなる?
この記事では、事業に関する資産の財産分与がどうなるか、妻が夫の事業を手伝っていた場合はどうかなど、自営業の夫と離婚す…[続きを読む]

 生活のための借金は財産分与の対象となる

まず、生活のための借金については、自営業であるかないかで考え方に差はありません。

たとえば、食費・家賃・医療費など、夫婦の日常生活にかかる費用のための借金については、財産分与の際に考慮されます。

また、マイホームや車など、夫婦共同の財産を購入するための借金についても、やはり財産分与の際に考慮されることになります。

ただし、先にも解説したように、オーバーローンの場合には財産分与が行われないため、借金の金額は財産分与の際に考慮されません。

事業のための借金は実質的に判断

一方、事業のための借金といえるものとしては、たとえば以下のような費用に充てるための借金が挙げられます。

  • 事業の立ち上げにかかる費用
  • 材料費や食材費
  • 店舗の賃料
  • 人件費

事業の運転資金などに充てるために作った借金についても、財産分与の基本的な考え方としては、他の借金と同じです。

つまり、夫婦共同の借金といえるかどうかによって、財産分与の対象となるかどうかが変わります。

事業のために借金をした場合、その借金は事業の運転資金などとして使われます。
したがって、借金から利益を受けるのは事業自体であって、その利益は借金をした時点以降、完済するまで継続することになります。

このような観点からすると、事業のための借金が、財産分与に当たってどの程度考慮されるかを判断する際には、以下の点を検討する必要があります。

①財産分与を受ける側が、結婚している間に事業から利益を得ていたか

財産分与を受ける側が、婚姻中も事業から利益を得ていたといえる場合には、借金はその必要経費として、財産分与の際に考慮されるものと考えられます。

通常であれば、事業から得た収入が夫婦の生活費に充てられているでしょう。

したがって、夫婦が結婚している間は、財産分与を受ける側も事業から利益を得ているということが認められやすいです。

②財産分与を受ける側が、離婚後も事業に関与するかどうか

離婚時に事業のための借金が残っている場合、事業にとっては今後も借金の利益が残り続けることになります。

もし財産分与を受ける側が、離婚を機に事業から離脱する場合には、それ以降事業から利益を受けることができなくなります。このような場合には、離婚時点以降の期間に対応する借金については、財産分与にあたって考慮すべきではないといえます。

逆に、稀なケースではありますが、離婚後も元夫婦が共同で事業を営むという場合もあります。
このような場合には、離婚時点以降の期間に対応する借金についても、財産分与の考慮材料になるでしょう。

以上のように、自営業の方が事業のために借り入れた借金がどの程度財産分与の考慮対象となるかは、個別の事情によってかなり幅があります。

専門的な観点からの検討も必要なため、詳細は弁護士にご相談されることをおすすめします。

まとめ

離婚時に借金がある場合には、その借金が夫婦共同で負担した借金であると実質的に評価できる場合に限り、財産分与の対象となります。

財産分与を受け取る側としては、資産を上回る借金を負ってしまうことはありませんので、財産分与を請求すること自体は問題ないでしょう。

しかし、実際に財産分与の話し合いを行う際には、財産をどのように評価するかが難しく、揉め事になることもしばしばです。

そのため、早い段階から弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士は、財産分与などの離婚問題に関して豊富な知識と経験を有しており、依頼者の悩みを解決する方法をアドバイスしてくれます。離婚時の財産分与にお悩みの際には、ぜひ弁護士にご相談ください。

 
Cafeおすすめ! 【東京都】
弁護士法人 浜松町アウルス法律事務所
弁護士法人浜松町アウルス法律事務所
弁護士法人 浜松町アウルス法律事務所 弁護士法人浜松町アウルス法律事務所

ご相談だけでも、「安心した」「解決の糸口が見えた」と思っていただけるよう心がけています。全国対応ですのでお任せください。

ご相談だけでも、「安心した」「解決の糸口が見えた」と思っていただけるよう心がけています。全国対応ですのでお任せください。

ご相談者様のお気持ちに真摯に寄り添い、「率直なご希望」をお聞きするよう努めております。正直なご要望をお伺いして、それに近づくためにはどのような選択肢があるのか、幅広くご提案させていただいています。
「どうしたいのか自分でもわからない」という方もぜひご相談ください。私どもと一緒に考えていきましょう。
お電話でのお問い合わせはこちら
050-1709-6142
[電話受付]平日 10:00~19:00
電話で相談する 弁護士詳細情報はこちら 弁護士詳細情報はこちら
この記事が役に立ったらシェアしてください!