離婚の手続きと準備・手順マニュアル(子どもあり&なし)

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法律上離婚が成立するためには、役所に離婚届を提出する必要があります。

裏を返せば、離婚届にハンコを押して提出さえすれば、離婚は成立するため、なにもそこに弁護士などを介在させたりする必要はないのですが、離婚問題で揉めている場合は、この離婚届の提出に至るまでにいくつかのハードルを超えていかなければなりません。子どもなしならまだしも子どもありだと尚更です。子どもの一生の問題でもあるからです。

そこで今回は、揉めている場合の離婚手続の進め方について解説したいと思います。

大まかな流れとしては、協議離婚、調停離婚、裁判離婚の順に進んでいきます。
多くの人は協議離婚で離婚しているため、ステップ3までが基本の流れ、ステップ4以降が話し合いがまとまらなかった場合ということになります。

ステップ1:相手に離婚の意思を伝える。

離婚するためには、まず相手に離婚したい旨の意思を伝えます。この段階ではまだ弁護士に依頼する必要はないため、まずは直接相手に離婚の意思を伝えましょう。

ただし、相手がDVをしているような場合は、直接離婚話を切り出す事は困難なため、そのような場合は至急弁護士に相談しましょう。状況次第ではDVシェルター(女性・母子への家庭内暴力の一時保護施設)などを紹介してもらって避難することも検討しましょう。

◆参考
DV男の特徴と離婚したくない被害者女性の心理まとめ

なお、離婚話を切り出した時の相手の反応次第で、離婚手続の争点は大きく変わります。

ステップ2:相手が離婚に反対した場合

離婚話を相手に切り出して、相手に反対された場合は、「離婚すること自体」が離婚問題の争点となります。その場合の対処法は以下の通りです。

方法1:夫婦間でじっくり話し合う

まずは相手を説得しましょう。ただし、特段相手に非がないにも関わらず離婚を迫る場合は、相手が反対してしまえば、たとえ裁判に訴えたとしても、離婚判決はもらえません。

状況にもよりますが、場合によっては相手に慰謝料を払って離婚をしてくれるようお願いしたり、相手に有利な財産分与を提案するなどといった譲歩が必要となってきます。

方法2:裁判で離婚する

例えば相手が不倫をしていたなど、相手側に離婚の原因がある場合については、たとえ相手が離婚に反対しても裁判によって強制的に離婚できる場合があります。ただし、離婚判決をもらうためには、法律に規定されている「離婚原因」が相手方になければなりません。

5つの「離婚原因・理由」とは

相手が離婚を拒否したとしても、次の「離婚原因」のいずれかに該当する場合は、裁判によって離婚判決を勝ち取って強制的に離婚ができます。この離婚原因は離婚問題を検討する上で最も重要なポイントとなりますので、よく確認しましょう。

1:相手に不貞行為があった場合:相手の不倫や浮気、その他性的な不信行為(例えば風俗不倫など)があった場合をいいます。

2:相手に悪意で遺棄された場合:悪意の遺棄とは、相手が勝手に家を出て行ったり、反対に相手に家から追い出されたりなどして同居ができない状況となり、生活の協力扶助がされない場合をいいます。

3:相手の生死が3年以上不明な場合

4:相手が酷い精神病で治る見込みがない場合

5:その他、婚姻の継続が困難な重大な事由がある場合

これらの5つが「離婚原因」となります。

原則として、これら5つのどれにも当てはまらないような場合は、たとえ裁判を起こしても相手が妥協してくれない限り離婚判決は出ないでしょう。法律の力で強制的に離婚するためには、これら5つのうちのどれかに当てはまる必要があるのです。

そのため、相手が離婚に反対していて、かつ、離婚原因にも該当しないような場合、現実的には離婚する事はかなり難しいということになります。

弁護士に離婚問題を相談すると、最初に必ず相手に「離婚原因」があるのかないのかを確認されるのはこのためです。

ちなみに、離婚裁判を起こすためには、この後に出てくる「調停」を先に利用しなければなりません。

ステップ3:相手と離婚条件を話し合う

相手に離婚話を切り出した場合、先ほどのように離婚に反対するか、離婚条件の話し合いに移行するかのどちらかとなります。

もしも、相手も既に愛情がなくさめている場合は、離婚すること自体ではなく、「離婚する際の条件」が離婚問題の争点となります。

【離婚する際の条件一覧】
相手方と協議しなければならない離婚条件は、主に以下の通りです。

1:財産分与

婚姻期間中に築いた財産をどのように分けるのかを話し合います。原則としては、夫婦平等に分ける事となります。

ただ、実務上はお互いが自分自身の口座情報やへそくりを開示しないことが多いため、適正な財産分与の妨げとなるケースがあります。また、住宅ローンが残っている場合は、その残債務についてもどうするか話し合わなければなりません。

■参考記事
離婚する際の財産分与のポイントとは?

2:養育費(子供ありの場合)

子供ありの場合はこれが重要です。未成年の子供がいる場合は、両親の年収、子供の年齢、人数などに応じて養育費の金額を決めます。なお、月額の養育費だけではなく、学校の入学金などまとまったお金が必要となった際の分担についても、事前に取り決めておく事が重要です。

■参考記事
知っておくべき養育費の決め方【2018年版】

3:親権

離婚届を出す際には、必ず子供の「親権」の所在を確定させなければなりません。

4:慰謝料

離婚の原因が浮気や不倫などの不貞行為であれば、その原因を作った側に対して慰謝料を請求する事が可能です。なお、不貞行為を理由に慰謝料を請求するためには、請求する側が不貞行為があったことを、証拠などを揃えて証明しなければなりません。

■参考記事
不貞行為(妻の浮気や旦那の不倫)の離婚慰謝料相場を計算しよう

5:面会交流

子供ありの場合は、子供と別れて暮らす方の親が、どのように子供と面会するのかについて取り決めます。これは、養育費をきちんと支払わせるためにも、定期的な面会交流は非常に重要となります。

具体的には、面会頻度、面会時間、面会場所、子供の受け渡し方法、連れて行かない場所など、面会交流の際の条件を細かく取り決める事で、離婚後のトラブルを防止することができます。

これらについて相手方と話し合います。この段階では裁判外での任意交渉ですが、お互いが直接話し合うと、感情論からケンカとなったり、話し合いが進まず平行線となることも多いため、基本的には離婚に強い弁護士を代理人として立てて交渉してもらう方が良いでしょう。

協議離婚だけで、まとまりそうな場合は裁判所の調停を利用せずに和解できます。詳しくは以下のページをご参考ください

■参考記事
協議離婚の進め方マニュアル2018【弁護士が代理交渉する場合】

ステップ4:調停離婚

話し合いがまとまらない場合は、裁判所の調停を利用する事となります。調停とは、家庭裁判所が双方の間に入って、適切な離婚条件の和解案を提示するなどして、お互いが納得の上早期に離婚できるようサポートしてくれる手続です。

離婚事案については、いきなり相手を裁判で訴える事はできず、まずは調停によって裁判所で話し合わなければなりません。これを「調停前置主義」と言います。

そのため、相手の態度に腹をたてていきなり訴状を裁判所に提出したとしても、裁判所から強制的に調停に付されることとなります。

なお、調停は弁護士を立てることもできますし、自分自身で対応することも可能です。

お互いに冷静な話し合いができている状態であれば、弁護士を立てなくても、裁判所の調停委員が公平中立な立場でアドバイスをしてくれますが、相手と揉めている場合や、相手が弁護士を立ててきたような場合は、こちらも弁護士で応戦しないと不利な条件で決着させられてしまう恐れがあるため注意しましょう。

もしも調停がまとまると、「調停調書」というものが裁判所によって作成されます。これは裁判における「確定判決」と同等の効力がありますので、万が一相手が調停調書の内容に応じない場合は、強制執行によって強制させることが可能になります。

調停がうまくいかず「不調」に終わった場合は、次のステップに移行します。

ステップ5:調停の費用と必要書類はどんなものがあるの?

調停の費用(印紙代など)

調停にかかる費用は比較的少なく、印紙代1200円と郵便切手予納の数百円程度です。そのため、弁護士に依頼しなければ比較的気軽に利用できるためお勧めです。

また、調停がまとまった時に作成される調停調書は、離婚協議書を公正証書で作った場合と同じ効力がありますので、調停成立後、改めて離婚協議書を作る必要はありません。

調停の必要書類

調停を申立てる際に必要な書類は以下の通りです。

1:離婚調停申立書
2:戸籍謄本(全部事項証明書といいます)
3:住民票(状況に応じて必要)
4:収入証明(養育費の算定に必要となります)

ステップ6:離婚裁判

調停でもどうにもならない場合は、いよいよ裁判によって白黒はっきりさせる事となります。裁判官がお互いの意見を聞いた上で、適切な判決を下しますが、よほどの事がない限りまずは和解により決着がつくよう、さまざまな助言がなされます。裁判までいくような場合は、弁護士を立てるのが一般的です。

これによって離婚判決が出たり、適切な離婚条件で和解すると、あとはその内容に従って財産を精算して離婚届を提出し離婚問題は終結します。

離婚手続の期間の相場はどの程度か?

離婚手続にかかる期間は、夫婦がどの程度揉めているのかによって変わってきますが、もしも訴訟まで発展した場合は、1年やそれ以上かかるケースもあります。反対に、両者が早い段階で妥協して合意すれば、『1ヶ月程度』で和解できるケースもあります。

ポイントとなるのは、弁護士の介入の有無です。

離婚協議は遺産相続や交通事故以上に感情的になりやすい傾向にあるため、弁護士を代理人とせずに離婚協議を行なうと、話し合いが進まなかったり、平行線のまま時間だけが過ぎるというケースがよくあります。

離婚協議というのは、すでに夫婦関係が破綻していることが前提であるため、そんな中、弁護士に相談せずに早期に解決するのはほぼ不可能と言っても過言ではないでしょう。

離婚問題を早期に解決したいと考えるのであれば、弁護士に相談する事こそが、一番の近道となるでしょう。

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