養育費相場の自動計算ツール【2024年版・新算定表対応】
養育費相場の自動計算シミュレーションツールは、「標準算定方式」に基づいて、状況に応じた養育費を試算するものであり、裁…[続きを読む]
そんなことで悩んでいる方もいらっしゃると思います。
そこで、今回は、養育費と住宅ローン双方を負担する場合、養育費を調整してもらうことはできるのかについて解説をしていきます。
目次
養育費とは、子どもの監護や教育のために必要な費用のことで、子どもを監護している親が、他方の親から受け取ることができるものです。
一般的には、離婚によって子どもの親権を取得した親が、他方の親から支払われるものです。
離婚により親権を失っても、子どもの血縁上の親であることに変わりはないので、その身分に基づく扶養の義務を根拠として、親権を有しない親が支払うことが必要と考えられています。
養育費に含まれるのは、一般的に子どもが社会的に自立するまでに要する費用であり、具体的には、衣食住に必要な経費、教育費、医療費が含まれるとされています。
逆に、私立学校の学費や留学費、クラブ活動費などは、一般的には養育費に含まれないとされており、親同士が合意していない限りは、除外されて計算されることとなります。
養育費は第一次的には、親同士の合意で取り決めることになります。どんな金額でも、権利者(受け取る方)と義務者(支払う方)が合意できればそれで問題ありません。
ですが、親同士で養育費の金額について合意ができないときには、家庭裁判所における調停や審判で取り決めることになります。
その際に、金額の基準とされるのが「養育費算定表」と呼ばれるものです。
養育費算定表は、権利者と義務者の年収、子どもの年齢、子どもの人数を基準として養育費の金額を算定し、これを表にまとめているものです。
調停では、この養育費算定表を基準に金額を加算すべき事情がないか、あるいは減額すべき事情がないかを検討しながら話し合いを進め、合意できれば調停が成立します。
調停で合意できない場合には、審判によって裁判所が養育費の金額を決めることになります。
離婚にあたり、例えば、妻が子どもの親権を取得し、夫が住宅ローンを支払う夫名義の住居に住み続けるというケースも少なからず見受けられます。
この場合、夫は養育費の支払義務を負い、金融機関に対して住宅ローンも支払うことになります。
夫としては、自分が居住しない家の住宅ローンを支払いながら養育費も支払わなければならないので、経済的に大きな負担を負うこととなります。そこで、住宅ローンを負担している分、養育費を減額できないかが問題となります。
結論をいうと、このような場合、住宅ローンを支払っていることは養育費の算定にあたり考慮され、減額されることとなります。
子どもにかかる費用のうち、「住」の部分を、養育費の権利者ではなく義務者が負担していることになるからです。
では、住宅ローンを養育費の義務者が負担している場合、養育費の金額は具体的にどのような計算で減額されるのでしょうか。
実は、この場合について確立した計算方法があるわけではありません。しかし、一般的には、①義務者の年収を計算する際に考慮する、または②算定表の金額から住居費(家賃)相当額を差し引くという方法が用いられています。
具体例として、②の方法で、以下解説します。
権利者の年収(給与)が200万円、義務者の年収(給与)が800万円、10歳の子どもがひとりいるケースでは、養育費算定表では、養育費は約8万円となります。この場合、裁判所が用いる統計資料においては、住居関係費は約2万2000円となるので、この分を義務者側がすでに負担しているとして差し引き、養育費を5万8000円と算定するのです。
義務者の月々の住宅ローンが仮に7万円だとしても、この金額を全額差し引くことは認められていません。
なお、上記の計算方法はあくまで一例であり、他には、近隣の賃貸住宅の家賃相場を考慮して養育費を減額する方法が採用されることもあります。
これまで述べてきたとおり、養育費の金額の取決めにあたり、住宅ローンを負担していることを考慮してもらうことはできるものの、住宅ローンの金額をすべて差し引いてもらうことはできません。
そうすると、実際に支払いが始まると、負担が重くて生活がままならない事態に陥ることも出てくる可能性があります。
その場合に採りうる手段として、養育費減額調停を起こすという方法があります。
これは文字通り、取り決められた養育費の減額を求めて裁判所に調停を起こすというものです。
ただし、住宅ローンと養育費の負担が厳しい場合、常にこの方法がとれるわけではないことに注意する必要があります。
養育費の減額請求が認められるのは、次の場合とされています。
以上の場合以外は、養育費の減額は認められません。
ですので、養育費の負担と住宅ローンの負担が重くなることが予測される場合には、離婚に際して、安易に自身が住宅ローンを支払う住居に権利者と子どもが居住するような条件を付けないようにすることが必要です。
養育費と住宅ローンの負担が重いからといって、養育費の支払いをストップすることは絶対にやめましょう。
養育費の支払いをストップすると、未納分について強制執行がなされ、給与や預金が差し押さえられてしまう危険があります。
養育費の未払いを回収するための給与差押えは、手取り額の2分の1まで可能なため、さらに生活が厳しくなります。
今回は、離婚に際して、養育費と住宅ローンの双方を負担することになった場合に、養育費の減額をしてもらえるのかといった点について解説をしてきました。
上記のとおり、減額が可能であるものの、住宅ローン分が全て対象になるわけではなく、また一度取り決めた養育費を減額してもらうことも難しいのが現実です。
離婚する場合には、離婚後の自分の生活をしっかりと考えて、無理のない条件にするよう注意することが必要です。