審判離婚とは?|成立する場合や手続きの流れを解説

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sinnpann rikonn

夫婦が離婚をしようとする際には、双方の意見がどの程度対立しているかによって、さまざまな手続きが行われます。

円満離婚であれば話し合いや調停で済む場合もありますし、対立が激しければ離婚訴訟に発展する場合もあります。

一方、あまり多くはないケースですが、「審判」の手続きにより離婚が成立することもあります。
審判は多くの方にとってあまりなじみのない手続きかもしれません。

審判離婚は、どのような場合に成立するのでしょうか?
また、審判離婚はどのような手続きにより行われるのでしょうか?

この記事では、こうした疑問点を踏まえて審判離婚について詳しく解説します。

審判離婚についての基礎知識

まずは、審判離婚についての基本的な知識を押さえておきましょう。

  • 審判離婚とはどのようなものか
  • どのような場合に認められるのか
  • 調停や訴訟との違いは何か

などについて、以下で解説します。

 審判離婚とは|2つの条件

審判離婚とは、夫婦間での離婚調停が成立しない場合に、家庭裁判所が職権で離婚を認める旨の決定をすることをいいます

離婚に関する審判について、家事事件手続法284条1項は次のように規定しています。

第284条1項(調停に代わる審判の対象及び要件)
家庭裁判所は、調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、職権で、事件の解決のため必要な審判(以下「調停に代わる審判」という。)をすることができる。ただし、第二百七十七条第一項に規定する事項についての家事調停の手続においては、この限りでない。

つまり、この規定によれば、離婚に関する審判が下されるのは、以下の2つの要件を満たす場合ということになります。

  1. 離婚調停が成立しないこと
  2. 家庭裁判所が、当事者双方の衡平に配慮し、一切の事情を考慮した上で、事件解決のために審判を下すことが相当と判断すること

特に2の要件との関係で、具体的にどのような場合に審判が下されるのかについては、次の項目で解説します。

審判の結果について、夫婦双方に異議がなければ、審判の内容どおりの条件で離婚が成立することになります。

 審判離婚が成立する場合の具体例

離婚に関する審判は家庭裁判所の職権による判断により行われます。

では、具体的にどのような場合に審判が行われるのかということを見ていきましょう。

夫婦の間で、離婚に関する重要な条件について意見のズレがないとき

審判の内容については、当事者に不服がある場合には異議申し立てをすることにより、離婚訴訟で引き続き離婚を争うことが可能です。

つまり、たとえ家庭裁判所が審判を下したとしても、当事者が異議申し立てをする可能性が高い場合には、審判を下すことが事件解決には繋がりません。

したがって、家庭裁判所が離婚に関する審判を行うのは、当事者から異議申し立てがなされる可能性が低い場合、すなわち夫婦間で離婚に関する重要な条件について概ね意見が一致している場合に限られます。

たとえば、少なくとも以下の各点については、夫婦間で意見が一致している必要があるでしょう。

  • 離婚をすること自体
  • 子の親権をどちらが持つか
  • 財産分与、慰謝料、婚姻費用、養育費などの金銭的条件
    (完全に一致していなくても可)

何らかの些細な問題で調停が不成立となってしまうとき

家庭裁判所が離婚に関する審判を行うのは、離婚調停が不成立になる場合に限られます。

離婚に関する条件面について、大筋では夫婦間で合意できているのに離婚調停が不成立になってしまうのは、たとえば以下のような場合が考えられます。

  • 夫婦のどちらか一方が、病気である、外国人のため帰国しなければならないなどの理由により、調停に出席できなくなってしまった場合
  • 金銭面や子どもとの面会交流などの点で、夫婦間でわずかな意見の対立があり、家庭裁判所の判断に委ねる意向を双方が示している場合
  • 婚姻関係が破綻していて、当事者の一方が調停に出席しない場合(この場合はひとまず離婚のみを認める審判を行い、その他の条件面は後日調停などで決定されます。)

このように、審判離婚が成立するのは、夫婦間で離婚に関する大きな意見の違いがないにもかかわらず、些細な問題のために離婚調停が成立しないケースに限られます。

実際には、夫婦間で離婚に関する大きな意見の違いがない場合には離婚調停が成立するケースが多いので、審判離婚が成立するケースはあまり多くありません。
2017年の調査「離婚の種類別にみた年次別離婚件数及び百分率」では、審判離婚は離婚全体の約0.4%です。

審判離婚と調停離婚・裁判離婚の違いは?

審判離婚は、調停離婚や裁判離婚と同様に、夫婦が離婚をするための手続きの一つです。

では、審判離婚はどのような点が調停離婚や裁判離婚と異なるのでしょうか。

審判離婚と調停離婚の違い

審判離婚が調停離婚と大きく異なるのは、夫婦双方が審判の内容に必ずしも同意していなくても成立する可能性があるという点です。

調停離婚の場合も、家庭裁判所により、夫婦双方に「調停案」が提示されます。
しかし、この調停案について夫婦双方が明示的に同意をしなければ、調停離婚が成立することはありません。

一方、離婚に関する審判は、家庭裁判所が職権で離婚に関する解決基準を示し、当事者からの異議申し立てがなければそのまま確定するという性質のものです。

つまり、夫婦が積極的に審判の内容に同意していなくても、異議申し立てさえ行われなければ、審判離婚は成立します。

審判離婚と裁判離婚の違い

審判離婚と裁判離婚は、どちらも裁判所が離婚に関する解決基準を示すという点で共通しています。

一方、審判離婚と裁判離婚は、不服申し立ての手続きが異なります。

審判離婚の場合、審判に不服がある当事者は、家事事件手続法に基づく「異議申し立て」の手続きにより不服を申し立てる必要があります。
つまり、比較的簡単な手続きで審判離婚は覆されます。

一方、裁判離婚の場合、判決に不満な当事者が不服を申し立てるには、「控訴」「上告」の手続きによるという違いがあります。

審判離婚の流れとは?|必要書類についても解説

審判離婚が成立して確定するまでに、どのような流れをたどるかについて解説します。

審判が確定した後は、住所地である市区町村の役場に書類を提出する必要があるので、その際の必要書類についても紹介します。

 離婚調停が不成立となる

審判離婚が成立するための前提として、離婚調停が不成立に終わることが必要です(家事事件手続法284条1項)。

つまり、当事者である夫婦は、家庭裁判所に対して最初から審判離婚を求めるのではなく、あくまでも離婚調停の場で話し合いを進めた結果として、審判離婚が成立することがあると考えてください。

調停に代わる審判が行われる

離婚調停が不成立になった場合で、夫婦間で離婚の重要な条件について意見のズレがなく、異議申し立てがなされる可能性が低いと認められるときは、家庭裁判所により「調停に代わる審判」が行われます。

審判では、離婚を認めること、および離婚に関する条件が示されることになります。

審判に不服がある際は、審判書を受け取ってから2週間以内に異議申し立て

もし審判に不服がある場合には、審判書の謄本によって審判の告知がなされた日から起算して2週間以内(必着)に、家庭裁判所に対して異議を申し立てる必要があります(家事事件手続法286条1項、2項、279条2項、3項)。

審判に対する異議申し立ては、家庭裁判所に対して、審判書の謄本を添付した異議申立書を提出することにより行います。
【参考PDF】異議申立書の書式(裁判所HP)

当事者から適法な異議申し立てがあった場合には、審判はその効力を失います(家事事件手続法286条5項)。

なお、異議申し立てが不適法として却下された場合には、申立人は「即時抗告」の方法により、却下の審判を争うことができます(家事事件手続法286条4項)。
即時抗告の申し立て期間は、異議申し立て却下の審判書を受け取った日から起算して2週間です(家事事件手続法86条)。

審判の確定

離婚に関する審判が行われた後、異議申し立て期間である2週間が経過した場合、審判は確定し、当事者は審判の結果に従うことになります(家事事件手続法287条)。

離婚のための必要書類の提出

離婚の審判が確定した場合、住所地の市区町村役場で離婚の届出を行う必要があります。

なお、審判離婚では、通常の協議離婚とは異なり、離婚の届出は夫婦の一方のみで行うことも可能です。

提出が必要となる書類は以下のとおりです。

必要書類 注意事項・詳細説明
離婚届 ・市区町村役場の書式を用いて離婚届を作成、提出する。
相手方の署名・押印や証人は不要
離婚の審判書の謄本 ・離婚に関する審判が言い渡された後に家庭裁判所から郵送されるもの。
審判確定証明書 ・異議申し立て期間が経過して審判が確定した後、家庭裁判所に「審判確定証明書」の発行を申請・取得する必要がある。
戸籍謄本 ・本籍地以外の役所で離婚の届出を行う際には、戸籍謄本を1通提出する。

上記の書類が市区町村役場に受理された場合、審判離婚成立となります。

調停を飛ばして最初から審判を申し立てられる?

審判手続きでは、当事者の合意によることなく、家庭裁判所が解決基準を示してくれます。

そのため、「調停を飛ばしていきなり審判を申し立てた方が、離婚問題を早く解決できるのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。

この点、離婚自体の争いは、家事事件手続法244条に定める調停・審判事項に含まれます。
したがって手続き上は、調停を飛ばしていきなり審判を申し立てることも可能です。

しかし、調停を行うことができる事件について、家庭裁判所に家事審判事件が係属している場合には、家庭裁判所はいつでも職権で事件を調停に付すことができるものとされています(付調停。家事事件手続法274条1項)。

多くの場合、離婚についてはまず調停手続きの中で夫婦間の話し合いを尽くさせることが望ましいと考えられています。

そのため、調停を飛ばしていきなり審判を申し立てたとしても、たいていの場合は付調停によって調停手続きへと差し戻される可能性が高いといえます。

ただし、夫婦の一方が明らかに調停に応じない場合や、一度調停で解決せずに取り下げた場合など、調停に付しても調停が成立する見込みがないときは、家庭裁判所の判断により、例外的にそのまま審判が行われることもあります。

まとめ

審判離婚は珍しいケースではありますが、些細な障害によって離婚調停が成立しない場合には、家庭裁判所の職権で審判離婚が認められることもあります。

離婚に関する手続きの一つとして、理解しておくのがよいでしょう。

離婚については、話し合いや調停・審判・訴訟などさまざまな手続きが関係してきます。
どのように離婚の手続きを進めるか、どのように配偶者側と交渉をするかなど、注意すべき点も多いところです。

そのため、離婚問題を抱えている方は、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士は、離婚手続きについて専門家として深く理解していますので、スムーズに手続きを進めるためのサポートをしてくれます。

また、配偶者と交渉を行う際にも、条件面などに影響するポイントを押さえたアドバイスを受けることができます。
弁護士は交渉の矢面にも立ってくれるので、依頼者の精神的な負担の軽減にも繋がるでしょう。

離婚問題にお悩みの方は、ぜひ弁護士にご相談ください。

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ご相談だけでも、「安心した」「解決の糸口が見えた」と思っていただけるよう心がけています。全国対応ですのでお任せください。

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