離婚裁判|弁護士費用や期間など、押さえておくべきポイントを徹底解説

離婚裁判 弁護士費用

離婚裁判を検討している方にとって、弁護士費用が気になる方も少なくないかと思います。

離婚問題に関連して弁護士に相談を考える多くの方々は、弁護士費用について不安を感じていることでしょう。

離婚裁判では、協議や調停とは異なり、相手方も多くが弁護士を雇うことが一般的です。そのため、自身も弁護士に頼もうと考える人々が多いのですが、費用のことが心配になるのは無理のないことです。

本記事では、離婚裁判に関連する費用や弁護士費用の一般的な相場、無駄にならないためのポイント、支払いが難しい場合の対処法、そして弁護士費用を誰がどのように負担するのかについて、弁護士費用はどちらが払うのか、わかりやすく解説いたします。

離婚裁判の弁護士費用のみ知りたい方は「離婚裁判における弁護士費用の内訳と相場」からお読みください。

離婚裁判で必要な費用2種類

離婚裁判では、主に訴訟費用と弁護士費用の2種類が必要になります。
なお、そもそも離婚裁判とはどのようなものか、流れ等を知りたい方は、こちらの記事をお読みください。

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①訴訟費用

離婚裁判を申し立てる際に必要になるのが、訴訟費用です。

訴訟費用は、主に①手数料(収入印紙代)②郵便切手代があり、訴えを提起する際にはこれを裁判所に納める必要があります(※)。

※このほか、証人尋問を行う際の旅費日当などがかかる場合もありますが、離婚裁判ではこうした証人尋問を行うことはあまり多くありません。

②弁護士費用

次に、弁護士に離婚裁判を依頼した場合に発生する弁護士費用が発生します。

詳しい金額の相場については「離婚裁判における弁護士費用の内訳と相場」でご説明しますが、弁護士費用は、相談料、着手金、成功報酬、日当・実費の4種類に分けられます。

離婚裁判に必要な訴訟費用の内訳

離婚裁判での訴訟費用はどの程度必要なのでしょうか。

金額は、離婚と同時に請求する内容や慰謝料の請求額によって幅がありますが、最低でも13,000円が必要です。
以下では、その内訳について解説していきます。

手数料(収入印紙代)

まずは、裁判所に訴えを提起する際の手数料となる、収入印紙代です。

離婚裁判において、離婚のみを請求する場合の手数料は13,000円です。
また、離婚請求と同時に慰謝料請求をする場合には、慰謝料請求の手数料か離婚自体の手数料か、いずれか金額の大きい方の手数料が必要です。

この他に、財産分与を請求する場合には1,200円、養育費を請求する場合には子供一人あたり1,200円と、その請求する項目ごとに金額が加算されていきます。

慰謝料請求の手数料(収入印紙代)

慰謝料請求は、訴額(請求額)に応じて手数料も異なるので注意が必要です。
例えば、慰謝料を300万円請求した場合の手数料は2万円、慰謝料を500万円請求した場合の手数料は3万円です。

具体的な金額については、以下の表からご確認ください。
【参考PDF】裁判所HP:手数料額早見表

手数料計算の具体例

では、具体的な事例を参考に、手数料がいくらになるのか確認していきましょう。

<例>離婚と財産分与、子供一人の養育費に加えて、慰謝料500万円を請求した場合

この事例の場合、上記「手数料額早見表」から慰謝料請求の手数料は3万円で、離婚請求自体の手数料より慰謝料請求の手数料のほうが高くなりますから、計算のベースは3万円です。
これに、財産分与や養育費請求の手数料も加えると、次のようになります。

30,000円(慰謝料請求)+1,200円(財産分与請求)+1,200円(子供一人分の養育費請求)=32,400円(合計手数料)

郵便切手(予納郵券)

離婚裁判を提起する際には、裁判所からの書類の郵送用に郵便切手も提出する必要があります。

郵便切手代は6,000円とされていることが多いですが、裁判所ごとに多少金額が異なる場合もあるため、訴状を提出する家庭裁判所に確認することをおすすめします。

離婚裁判の弁護士費用の内訳と相場

離婚裁判を提起する上での心配事の一つに、弁護士費用がどのくらい必要か、ということがあるのではないでしょうか。

大まかな相場から言えば、離婚裁判における弁護士費用は60〜100万程度です。

しかし、実際には弁護士費用に統一基準はなく、依頼する弁護士、法律事務所によってその金額は異なります。相談時や依頼時に、具体的に何にどの程度の費用がかかるのか、弁護士にしっかり確認するようにしましょう。

以下では、冒頭でお伝えした4種類(相談料、着手金、成功報酬、日当・実費)の弁護士費用の相場を解説していきます。

ただし、弁護士事務所を選ぶ際には、こうした弁護士費用だけでなく、ご自分と弁護士の相性や、弁護士の信頼性などを十分考えるようにしましょう。

弁護士費用の安さだけを考えると、結局あとから別の弁護士に相談したり、思うような結果にならないこともあります。

相談料

まず最初に必要となるのは、弁護士への相談料です。
弁護士に「こういうことで困っている」と相談してアドバイスをもらうとき、主に時間単位でかかる費用です。

相談30分あたり5000円程度が相場です。

初回相談無料という弁護士事務所もありますし、自治体や法テラスの無料相談会などもありますので、まず相談だけしてみたいという方はこうした無料相談を活用するのもよいでしょう。

着手金

着手金とは、相談の結果、正式に弁護士に依頼する場合に発生する料金のことをいいます。

金額は事務所によってかなり幅がありますが、20万〜40万円程度と考えておきましょう。

ただし、離婚裁判で争う内容によって金額が変わる場合もあるので、弁護士に相談した際に見積もりを出してもらうといいでしょう。
また、着手金については、裁判の結果が希望通りでなかった場合や、途中でその弁護士への依頼をやめた場合であっても返金を求めることはできないので注意が必要です。

成功報酬(報酬金)

成功報酬とは、依頼した問題が解決した際に支払う費用のことです。弁護士事務所の料金体系や、裁判の判決内容によってその金額は異なります。

離婚裁判では、離婚成立や離婚阻止など、ご自分の希望通りに問題が解決した場合、弁護士に30万~50万円程度の成功報酬を支払うことになります。
また、裁判により慰謝料や財産分与などの主張が認められた場合、その経済的利益の10〜20%が成功報酬として加算されます。

成功報酬に関しても、その金額は弁護士事務所によって異なるので、弁護士に相談した際に見積もりを出してもらうことをおすすめします。

日当・実費

弁護士費用の中には、弁護士が事務所を離れて活動する際に発生する日当や、訴訟費用を弁護士が立て替えていた場合に発生する実費も含まれます。

日当は、証拠収集や調査による出張があったときや、場合によっては裁判の期日出廷などで発生します。

実費は、手数料や収入印紙代などを弁護士が立て替えていた場合のほか、必要な交通費等も含まれます。

控訴した場合の弁護士費用はどうなるの?

離婚裁判が一審では終わらず、二審(控訴審)までかかってしまうケースもあります。
このような場合、訴訟活動が増えて期間も長くなるため、通常は弁護士費用も追加で必要になります。

ただ、裁判が長期化することは、弁護士費用だけでなく精神的負担の増加にも繋がります。
ご自分で控訴する場合だけでなく、相手方から控訴された場合も含めてどうするのが最善かよく考え、方針を弁護士にも相談するようにしましょう。

離婚裁判を弁護士に依頼するメリット2つ

これまでご説明してきたように、弁護士に離婚裁判を依頼するのは安くはありません。
「離婚裁判を有利に進めるために弁護士に依頼したいけど、予算的にも弁護士に依頼するのは厳しい…。」と思う方もいらっしゃると思います。

とはいえ、弁護士に依頼するのは金額なりのメリットがあります。
ここでは、離婚裁判を弁護士に依頼した際の2つの大きなメリットをご紹介します。

メリット①:法的な主張・立証や知識の心配がなくなる

離婚裁判は、協議や調停などの話し合いとは異なり、お互いに書面で主張を出し合い、証拠に基づいて立証する形になります。

裁判で離婚が認められるためには民法上の離婚原因が必要ですし(民法770条1項)、慰謝料請求であれば不法行為に基づく損害賠償請求について法律の要件を満たしていることを主張・立証しなければなりません。
養育費や親権ともなると実務的な知識と視点がなければ主張・立証は非常に難しいです。

こうした主張・立証は、基本的にすべて書面で行う必要があり、知識と経験が必要になります。
弁護士がついていてくれれば、弁護士にご自分の希望を伝えておけば、こうした主張・立証等の訴訟活動を一任することができます。

自分も相手方も弁護士がついていなければ裁判官が双方をサポートしてくれることもありますが、離婚裁判では殆どの人が弁護士に依頼します。
弁護士に依頼しない人は約2%にすぎません(平成30年度司法統計)。
【参考PDF】裁判所HP:平成30年度司法統計 第65表

自分だけ弁護士なしというのは、実際の訴訟活動的にも心理的にも厳しいものがあります。
本来であれば認められるものも、適切な主張・立証なしでは認められません。

この訴訟活動と主張・立証を適切に任せられるという点が、弁護士に依頼する最大のメリットでしょう。
ただし、もちろん弁護士の力量や経験の差が出る部分でもあるので、弁護士選びは慎重に行いましょう。

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メリット②:現実的な訴訟遂行を任せられる

離婚裁判は、通常の裁判と同様、基本的には平日に行われます。
書面を提出するとはいえ基本的には法廷に行く必要がありますが、平日仕事をしている方や子供の面倒をみなければならない方など、現実的にはなかなか裁判所に行く時間は取れないでしょう。

弁護士に依頼することで代理人として出廷してもらうことができますし、もちろん上記の書面に基づく主張・立証も行ってくれます。

離婚裁判は月1回程度のペースで半年~2年ほどかかるため、この間仕事を何度も休んだり子供の預け先を探すのは大変です。
毎回自分が出廷するとなれば心理的な負担も大きいでしょう。

弁護士に依頼することでこうした現実的な負担を軽減し、自分は私生活に集中することができます。

もちろん、これら2つの大きなメリットの他にも、ご自分の気持ちを相談できたり、状況に変化があったときの対応を相談できたりと、様々なメリットがあります。
離婚裁判を弁護士に依頼するのは安くはありませんが、ご自身の希望を実現に近づけるためには、とても有効な選択肢と言えるでしょう。

離婚裁判の費用を支払えない場合はどうしたらいいの?

そうは言っても、「高額な弁護士費用を支払うのは厳しい」「離婚裁判を申し立てられたけど、金銭的に弁護士に依頼するのはちょっと…。」という方も少なくないでしょう。

しかし、こうした弁護士費用や訴訟費用が払えないからといって、離婚裁判を諦める必要はありません。

まとまった費用を用意できなくても、少しずつ弁護士費用を返済していける制度があります。

「日本司法支援センター(法テラス)」の民事法律扶助による立て替え制度では、一定の要件を満たすことで弁護士費用を立て替えてもらうことができます。利用者は、立て替えてもらった弁護士費用を、毎月分割で返済していくことになります。

ただし、この制度を利用するためには、収入や資産、裁判勝訴の見込みなど、利用のための条件を満たす必要があります。また、法テラスの制度が利用できるのは、法テラスと契約している弁護士に依頼した場合のみです。

また、訴訟費用の支払いが厳しいという方は、訴訟費用の納付を一時猶予してもらえる「訴訟上の救済」という制度もあります。お近くの裁判所へお問い合わせください。

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離婚裁判で必要な費用に関するよくある質問

裁判費用は誰がどちらが払う?

裁判の費用は誰がどちらが払うのか気になるかも多いようです。

訴訟を起こす段階では、原告側が訴訟費用を負担します。

その後、判決確定後に、敗訴した当事者が訴訟費用を負担することになります(民事訴訟法61条)。

一部敗訴(一部勝訴)の場合にはどうなる?

ただし、一部敗訴(一部勝訴)の場合には、裁判所の裁量により各当事者の訴訟費用の負担割合が決定されます(民事訴訟法64条)。

この場合には、敗訴した側の負担が重くなることが通常です。裁判費用を誰が払うかという疑問に関する一番大きなポイントと言えます。

実際には、慰謝料額などが100%認容される全面勝訴はあまりないため、裁判所の裁量により訴訟費用の負担割合が決定されるケースが多いです。

弁護士費用は誰がどちらが払う?

また「弁護士費用」は誰がどちらが払うかは、上記とは別の問題です。

弁護士費用に関しては原則として自己負担です。

ただし、慰謝料などに加えて弁護士費用を請求して認容された場合には、認容額の1割が弁護士費用として相手の負担とされる場合もあります。

例えば慰謝料200万円が認容されたとき、弁護士費用20万円があわせて認容される、というイメージです。

まとめ

今回は離婚弁護士の離婚裁判費用、どちらが払うか、誰が払うかなど解説しました。裁判が、もちろん弁護士なしでも行うことができます。

しかし、勝つためには、最終的な判決を下す裁判官を説得するための専門的な法律知識と経験が不可欠です。
また、裁判所の手続きは平日の昼間に期日が設定されることが多いため、仕事をしている場合には負担が大きくなります。

弁護士に依頼する費用はかかりますが、特に離婚裁判というご自身の生活に密接な問題では、弁護士に依頼するメリットは非常に大きいと言えます。

離婚裁判を行うべきか、申し立てられたらどうするか等、まずは弁護士に相談して今後の方針を考えてみましょう。
もし依頼する必要がなければ、それほど費用はかかりません。

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執筆・監修
服部 貞昭
ファイナンシャル・プランナー(CFP・日本FP協会認定)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
東京大学大学院 電子工学専攻修士課程修了
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