モラハラ夫の原因と心理|生い立ちや父親や母親のせい?

モラハラ(モラル・ハラスメント)の加害者である夫から受ける精神的な虐待で苦しんでいる妻は多くいます。夫からの言葉の暴力や支配的な態度、経済的な制裁など、様々な形でモラハラが行われます。

モラハラ夫の背景にある原因は一概には言えませんが、幼少期の経験が影響していることが指摘されています。

また夫の心理としては、妻を自分の所有物と捉え、支配しようとする強い願望があります。

今回は、モラハラ加害者の夫の原因と心理について解説致します。

モラハラ夫・モラハラ加害者は幼少期・生い立ちが原因?

モラハラ夫の母親から影響|マザコン傾向?

モラハラ夫にマザコン傾向が多いという指摘があります。

たとえば、母親からの過剰な関わりを常に受けて育ってきました。母親はモラハラ夫をいつまでも子供扱いし、自立心を育てることができませんでした。そのため、夫は母親への過剰な愛着と依存を持ち続けています。

モラハラ夫の母親は、夫を自分の所有物のように考え、過剰に庇護したがります。夫もその庇護欲求に応えることで、母親の愛情を確保しようとします。その結果、夫は母親に強く依存した状態が続きます。

母親に過剰に愛された結果、女性を自分の所有物のように見なす傾向があり、それが妻に対して加害者として支配的態度へとつながっている可能性があります。

モラハラ夫の父親から影響|男尊女卑意識

モラハラ夫には、父親から男性優位の考え方である「男尊女卑」意識が根強く影響を与えていることが多くみられます。

この男尊女卑意識は、幼少期、父親からの家庭環境の中で形作られてきたものです。

特に、過保護で甘やかされた育て方をされると、子どもは特別視され、自己中心的な価値観を植え付けられがちです。そうした環境下では、男性は家長的存在として権威があり、女性は男性に従属するべき存在という、旧来の性別役割分担観が無意識のうちに刷り込まれてしまうのです。

男尊女卑意識を持つモラハラ夫は、妻を自分より下位の存在とみなし、妻の人権や尊厳を軽んじる態度に出ます。

例えば、夫婦げんかになった際、自分には非はないと考え「すべて妻が悪い」と責め立てるのが典型的な振る舞いです。自分の思い通りにならないと、妻への罵声や暴力に及ぶ場合も多々あります。

過剰な期待や要求を受けてきた

モラハラ夫には、親からの過剰な期待や要求の影響が見て取れる場合があります。

親は子どもに過剰な期待を寄せ、コントロールして、子どもの存在価値を、親の期待に応えられるかどうかに置いてしまうのです。そのため、期待に応えられなかった子どもに認知の歪みが生じます。

例えば、他者を貶めて自己防衛する心理が生まれる可能性があります。妻など身近な相手を貶めることで、自尊心を保とうとするのです。

期待に応えられなかった自分を合理化するため、妻に非があるように見せかける行動に出ます。

例えば、妻が家事や育児を少しでも手抜きしただけで、激しく責め立てるといった具合です。

モラハラ夫は謝罪も反省もせずに、すべての非を妻の責任に転嫁することで、親からの過剰な期待に応えられなかった自分を正当化しようとします。

他者への共感性や対人スキルの未発達

モラハラ夫に多く見られる特徴として、他者への共感性や対人スキルの未発達が挙げられます。この背景には幼少期の愛着形成の問題が潜んでいると考えられています。

愛着形成とは、乳児期から幼児期にかけて、世話をする大人(主に親)との親密な関係を通して、信頼関係を築いていく過程のことです。しかし、この時期に親からの適切な愛情を受けられなかった場合、愛着障害が起こり、他者への共感性が低下してしまう可能性があります。

具体的には、虐待を受けたり、親の不在が続いたり、情緒的に不安定な親に育てられたりすると、子どもは親や他者を信頼できない経験を積み重ねてしまいます。その結果、他者の気持ちを推し量る力が育たず、相手の立場に立って考えることができなくなってしまうのです。

さらに、そうした環境で育つと、円滑なコミュニケーション能力や対人スキルも身につきにくくなります。健全な人間関係のモデルがなく、人とうまく関わる機会が少なかったために、大人になってからも人付き合いが苦手になってしまうのです。

モラハラ夫の心理とは

妻は自分の所有物で、意見を軽んじても良い

モラハラ夫には、妻を自分の所有物と見なし、妻の人格や意見を軽んじる強い傾向があります。

そもそも妻を対等なパートナーとは考えていません。夫は自分が家長的存在であり、妻は自分に従属するべき下位の存在だと思い込んでいるのです。そのため、妻の意見や主張は軽く見なされ、受け入れられることはありません。

妻が自分と異なる意見を言おうものなら、「おまえに何がわかる」と一蹴されてしまいます。

自分の価値観や常識が絶対的に正しいと信じており、それに反する妻の考えは間違いだと決めつけるのです。

自分を表したい・自分に注目を浴びせたい

モラハラ夫には、自己中心的な性格傾向が顕著に表れており、何よりも自分を誇示し、注目を浴びることを優先する姿勢があります。

彼らは自分こそが中心であり、他人の気持ちや立場を考えるという発想自体がありません。自分の欲求や利益が最優先事項であり、妻の要求や主張は受け入れられません。むしろ、妻の要求には反発し、否定的な態度で臨みます。

一方で、自分を賞賛したり、注目の的にしてくれる相手には過剰に接しすぎる面もあります。自分の素晴らしさをアピールし、周囲から賞賛されたいという欲求が常にあるのです。職場や友人関係でも同様に、自分を誇示し、注目を浴びたがる行動をとります。

しかし、自分への批判や非難があると、そこで過剰な反応を示します。些細な指摘にも過敏に反応し、大袈裟に怒りを顕にします。なぜなら、自分が完璧だと思い込んでいるため、批判は全く受け入れられないのです。

失敗が許せない

モラハラ夫の中には、完璧主義者で細かいことにもこだわる傾向のある人が多くいます。そのため、妻の些細な失敗さえも決して許すことができません。

彼らは自分なりの理想や価値観を強く持っており、それに反するものは受け入れられません。家事や育児などにおいても、自分の理想とする状態からわずかでも逸脱していれば、すぐに妻を責め立てるのです。

例えば、部屋の掃除が自分の基準に達していないと感じれば、完璧を期すあまり「こんな掃除の仕方じゃダメだ」と怒鳴りつけてしまいます。料理の味付けが少し違っていたら、「おまえの料理は不味い」と罵倒します。子育ての方法一つとっても、自分の理想とは異なれば許容できないのです。

さらに清潔好きだったり、生活環境の些細な変化にも過剰に反応したりするモラハラ夫もいます。例えば、机の上の書類の配置が少し変わっただけで激怒したり、換気扇にほこりがたまっているだけで大騒ぎになったりします。

自分が傷つくことへの強い恐れ

モラハラ夫は、自尊心が非常に脆弱です。幼少期に親から十分な愛情を受けられなかったり、過剰な期待を押し付けられたりしたためです。そのため、他者から非難されたり批判されたりすると、それが自分への攻撃だと過剰に受け止めてしまいます。

例えば、妻が「この料理は少し塩分が多いかも」と言っただけで、モラハラ夫は「自分の作ったものを完璧だと思ってないんだ」と受け止め、激しく反発します。小さな指摘さえも、自分を全否定されていると感じるのです。

このように、何でも自分に対する攻撃だと過剰に解釈するのは、幼少期の傷つき体験が原因だと指摘されています。モラハラ夫は、再び傷つきたくない、拒絶されたくないという強い恐れを抱えています。

そのため、妻に対して自分の価値観を押し付け、支配的な態度に出てしまうのです。それは自分を守る防衛本能から来ています。

妻の意見を受け入れず、従わせようとするのも、自分が傷つかない立場を保とうとするためです。

まとめ

今回は、モラハラ夫の背景には、幼少期の傷つき体験や性格的な問題、家庭環境の影響など、様々な要因が複雑に絡み合っていることを解説しました。

一部同情の余地もあるものの、そうした背景があるからといって、モラハラ行為を正当化することはできません。

妻一人でモラハラ夫と向き合い続けるのは、精神的・肉体的にも大きな負担となります。早期に専門家に相談し、適切な支援を求めることが重要です。モラハラは深刻な人権侵害であり、第三者の介入を求めて、被害から妻自身を守ることが何より優先されるべきでしょう。

妻には非はなく、加害者であるモラハラ夫の問題です。自分一人で抱え込まず、専門機関に相談し、安全が確保された環境で対応策を立てていくことをお勧めします。一人で我慢を強いられるよりも、早めに外部の支援を求めることが賢明な選択になるでしょう。

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執筆・監修
服部 貞昭
ファイナンシャル・プランナー(CFP・日本FP協会認定)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
東京大学大学院 電子工学専攻修士課程修了
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