セックスレス離婚で慰謝料はもらえるの?判例と相場を元に解説!
セックスレスによる苦痛で離婚を考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。 この記事では、セックスレス離婚の際に…[続きを読む]
夫婦の中には、
「相手のセックスレスが今後改善すると思えないから離婚したい」
「相手を性的対象に見れない、性交渉に誘われるのが苦痛」
といった悩みがある方もたくさんいらっしゃいます。
近年では、こうしたセックスレスで離婚を考える夫婦が増えています。
そこで今回は、セックスレスが離婚の理由になるのか、解説も含めてご紹介します。
セックスレスは、とてもデリケートな問題です。
そのため、一方がセックスレスを深刻に受け止めているのにも関わらず、もう一方は「離婚をするほどではない」と考えているケースもあります。
お互いにセックスレスが原因で離婚を考えている場合はスムーズに離婚が成立する可能性もありますが、片方が離婚を考えていない場合は揉めてしまうケースが多いのです。
そこで、セックスレスでの離婚は可能なのか、セックスレスの定義なども含めてお話ししましょう。
日本性科学会では、以下のような状態をセックスレスの定義としています。
特別な事情がない中、合意した性交やキスやペッティングなどが1カ月以上ない、今後も長期的にないと予測できる状態
1カ月と聞いて、「え?!そんなに短い期間でもセックスレスの対象なの?」と驚かれる方も多いでしょう。
お互いが、セックスレスでも構わないというのであれば、さほど夫婦生活上で問題にはなりません。
そのため実態では、セックスレスの夫婦は想像よりもはるかに多いのです。
しかし、どちらか一方が性交を望んでいるのにも関わらず、相手が拒否をし続けるという状態であれば、離婚のように大きな問題になってしまいます。
では、セックスレスを理由として離婚は可能なのでしょうか。
結論から言えば双方が認めている(合意している)状況であれば可能です。
協議離婚や調停離婚であれば、どんな理由であっても双方が納得している状況であれば、離婚をすることが可能です。
しかし、どちらかが納得がいかず、裁判へ…となると話は変わっていきます。
離婚裁判の場合、離婚の原因が「法定離婚事由」に当たらなければ離婚が認められません。
詳しくは、後にご紹介する「裁判で離婚が認められるようにするには?」で解説していきます。
そもそもどうしてセックスレスが起きてしまうのでしょうか。
セックスレスになりたくてなったという夫婦は少ないでしょう。
セックスレスになってしまう要因として主に4つのものが考えられます。
それぞれ見ていきましょう。
一緒に生活をする上で、性交渉をしたいという気持ちが薄くなったというケースも多いです。
仕事や育児で疲れ、そういった行為自体が面倒に感じてしまうケースや、そもそも性交渉自体が好きではないなどといった理由で、セックスレスになる夫婦は少なくありません。
中には、セックスレスを解消するために性交渉をしようと意識するだけで、ストレスに感じる方もいます。
新婚時代はセックスレスとは程遠かった関係も、子供ができ、生活環境が変わったのと同時に、相手に性欲を感じなくなるというケースもあります。
特に、子供が生まれると妻は「母親」になり、夫は「父親」になります。
お互いの立場が変わり、意識も変わった結果、性の対象としては見れなくなってしまうのです。
また、歳を取ることでお互いに体形などが変わってしまい、セクシャルな魅力を感じなくなってしまった、肉体的なつながりよりも精神的につながっていることで満足してしまうといったことも多いです。
現代では共働き世帯が増加し、妻・夫共に共有する時間も少なくなっています。
そのため、性交渉をする時間を取ることもできず、いつの間にかセックスレスになっているというケースも少なくありません。
それに子育てが加わることで、性交渉よりも日々の生活に時間がとられ、よりセックスレスに拍車をかけている要因でもあります。
歳を取ることで、自然と性的機能が衰えてしまったためにセックスレスになってしまう夫婦もいます。
また、セックスレスになってしまうきっかけの一つとして、女性は産後や生理の前後でホルモンのバランスが崩れてしまい、性交へ意識が向きづらくなるということも考えられます。
前述のように、さまざまな理由からセックスレスになってしまう夫婦は多くいます。
セックスレスになってしまった夫婦であっても、2人で改善しようと協力できるのが理想的です。
しかし、セックスレスを理由に離婚を望む場合、一方だけが努力している状態が続いている、改善を強要されて互いの意思のすり合わせができないなどといったケースがほとんどでしょう。
そんなケースになってしまうと協議離婚や調停離婚では収まりつかず、裁判になるのです。
ただ、裁判になってしまうと調停や協議離婚とは違い、離婚の事由として「セックスレス」は認められないことがあります。
そこで、裁判でセックスレスが離婚事由として認められるケースと、認められないケースについてお話しします。
裁判になってしまうと、法定で定められている離婚事由に該当すると判断されない限り、離婚が認められません。
セックスレスが原因で離婚を希望した場合、民法770条1項5号の「婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたるかが問題になります。
ただ、セックスレスといっても人それぞれ状況が違うため、
などといったものが、離婚事由に該当するかどうか判断材料として使われます。
そのため、日記などセックスレスの状況がわかるようなものを記録しておくようにしましょう。
では、どういったケースが離婚事由に該当すると判断されるのか、具体的に確認していきます。
離婚事由に該当すると判断されやすいものとしては、
といったものが挙げられます。
夫婦関係を修復しようとしても相手が協力的でない、不貞行為が原因でセックスレスになってしまったなどといった場合、これ以上の婚姻関係を続けるのは難しいです。
また、セックスレスが及ぼす影響によって仲が険悪になり修復が困難になった、精神的な苦痛が大きいなどと判断された場合も、裁判でも離婚が認められることがあります。
もし裁判で争うことになった場合、セックスレスが与えた影響やこれ以上婚姻関係を続けるのが難しいことを主張をするようにしましょう。
逆に、認められないケースとして
といったものが挙げられます。
セックスレスの夫婦の中には、それでもいいと思い、どちらも関係を改善しようとせずに長年過ごしてきたという方もいます。
また、病気やケガなど身体的な理由や、仕事などで性交渉をする時間もなかった場合などは、セックスレスは離婚事由として認められません。
セックスレスによって、心に深く傷をつけられることもあります。
中には、ずっとトラウマとして心に傷を抱えていく方もいるほど、セックスレスを理由とした離婚はデリケートです。
そのため慰謝料をもらいたいと考える方も少なくありません。
では、セックスレスが原因での離婚の場合は、慰謝料は請求できるのでしょうか。
慰謝料を請求できるかどうかは、起因や離婚に至るまでの過程が大きく影響します。
夫か妻のどちらかに原因があると明確である場合は、慰謝料の請求はできるでしょう。
しかし、セックスレスは夫婦間の問題であり、どちらに責任があるのか判断するのは難しいケースも多いです。
そのため、慰謝料を考えた場合は、日記など離婚に至るまでの記録や証拠を集める必要があります。
そういった証拠によって、慰謝料を認められたケースもあるので、希望を捨ててはいけません。
セックスレスが原因で離婚をする場合に慰謝料を請求できるのかについては、以下の記事でもっと詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
セックスレスは、夫婦のデリケートな問題なので、人に相談しにくく抱えこんでしまう方も多いです。
その結果、精神的にも追い込まれ、離婚を考えてしまう方は少なくありません。
セックスレスで悩んでいる方は、まず素直に相手と話をすることが大切です。
セックスレスは、ただ「したくない」のではなく、他に理由がある可能性も考えられます。
話し合うことで、相手の気持ちや自分の気持ちを理解し、改善に向かうかもしれません。
場合によっては、一度別居をするなど冷却期間を置くことも検討しましょう。
ただし、別居についてはやり方によって自分が悪い立場になる可能性もあるので、よく検討してから行うようにしてください。