別居中の妻の心理とは|妻の気持ちと夫にできることを解説
突然家を出ていった妻。理由も分からず、途方に暮れているという人もいるのではないでしょうか。この記事では、妻が別居を決…[続きを読む]
夫(妻)との結婚生活はもうこれ以上続けられない…!
こんな悩みをお持ちの方はいらっしゃいませんか?
今回は、配偶者との離婚を考え、別居に関する様々な悩みを持っていらっしゃる方に、別居と離婚の関係性から別居する前の大切なポイントまで、期間平均は?1年、3年、10年、何年で別居から離婚できるか、話が進まないか拒否されるか、成立するか、一から詳しく解説していきます。
目次
離婚を視野に入れている場合、離婚へ向かう第一歩として「別居」を考える方が多くいらっしゃいます。
では、実際に別居だけを理由として離婚することはできるのでしょうか?
「別居」は民法770条1項で定められている離婚の要件のうち、5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当すると考えられます。
民法第770条第1項
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。五.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
夫婦は民法752条において「夫婦は同居し、互いに協力し、扶助しなければならない。」と定められています。
つまり、婚姻関係にある夫婦には原則として「同居義務」があるのです。
こうした同居義務違反にかかわらず別居することは、本条5号で離婚が認められやすくなる理由の一つになります。
ただ、同居義務違反については、「悪意の遺棄」によって自分方に不利に働く可能性もあります。この点については後ほどご紹介いたします。
一定期間別居することによって、離婚を認めてもらいやすくなるのは確かですが、何年別居すれば離婚できるか?という明確な基準はありません。話が進まないケースも多いからです。
ただ期間平均の目安として、夫婦関係が破綻していると認められる期間としては、基本は「5年」前後だと考えてください。
もちろん各々の事案によって様々で、同居していた期間と相対的に考えられることが多く、最低でも何年かというと2年間の別居は必要です。
そのため、別居期間1年はまだ短めですし、3年なら離婚できる可能性はあります。
10年とか30年は長すぎるので、そもそももうずっと離婚しない可能性すらありそうです。
また、別居の期間は離婚が認められる要素の一つにはなりますが、別居するに至るまでのいきさつや、別居中のお互いの行き来の状態なども含め、最終的には総合的に判断されることが多いです。
また、年数が経過する中でお互い気持ちも変わっていきます。
有責配偶者とは、不倫や暴力などによって結婚生活の破綻をつくり出した配偶者のことです。
原則的に、有責配偶者からの離婚請求は認められません。
ただ、以下のような要件を満たせば、有責配偶者からの離婚も認められるケースもあります。
先ほど説明しましたように、同居義務違反は自分に不利に働くことがあります。それに関係してくるのが「悪意の遺棄」です。
民法第770条1項2条において、「配偶者から悪意で遺棄されたとき」に「離婚の訴えを提起することができる」と定められています。
夫婦は共同生活を行い、互いに助け合って生活しなくてはならないという同居義務があるにも関わらず、正当な理由なしで別居を強行した場合や婚姻費用を分担しないときなどは「悪意の遺棄」とみなされ、離婚の原因となるのです。
もし、この「悪意の遺棄」に該当するような別居方法をとってしまうと、自分からは離婚請求ができなくなると同時に相手方から慰謝料請求がされたり、婚姻費用の分担で損をしてしまいます。
では具体的にはどのような時に「悪意の遺棄」が成立し、同居義務違反となるのでしょうか?
典型的な例は以下のとおりです。
「悪意の遺棄」を回避するためにも、別居をしたいと考えている場合には事前にその旨を相手方に伝え、別居中の生活費についてある程度の話し合いを行い、合意を得たうえで開始するのが理想的だと言えるでしょう。
ただし、DVを理由に別居したいと考えている場合などには同居義務違反にはあたりません。
DV被害にあっている場合には、相手との話し合いをするのではなく、相手に気づかれないように家を出ないと危険です。
また転居先を相手に知られないよう気をつけなくてはなりません。
DVが理由で別居を考えている場合には、絶対に一人で抱え込まず、警察や配偶者暴力相談支援センター・弁護士などにできるだけ早く相談するようにしましょう。
では、別居開始後の生活費や住民票の移動など、日々の生活の諸事情はどうなるのでしょうか?
「婚姻費用」とは、共同生活を送るために必要となる費用(生活費)のことです。
婚姻関係にある夫婦は、この婚姻費用を分担する義務があり、この義務は離婚が成立するまで続きます。
そのため、別居中であっても収入が低い側が高い側に対して婚姻費用を請求することができます。
婚姻費用の相場は、お互いの年収や子供の有無によって異なりますので、夫婦間で話し合って決定しましょう。
夫婦間での話し合いが難しい場合や、相手が支払いをしないような場合には、家庭裁判所において婚姻費用分担調停をすることになります。
家庭裁判所での調停・審判によって婚姻費用分担が定められた場合には、もしも相手が約束を守らず支払わなかった場合に、差し押えによって婚姻費用を回収することが可能です。
原則として居住地を変更する場合には、住民票を移動させなければなりません。
もしも住民票を移動させなかった場合には、住民基本台帳法に反したこととなり、5万円以下の過料(罰金のようなもの)が科されるケースもあります。
後々離婚を視野に入れている場合には、住民票を移動させることで住民票を移動させた日付けが別居期間開始の証拠とすることができます。
また、別居に伴い子供を転校させる場合には、転校手続きで住民票が必要となりますし、公営住宅を借りることも可能になります。
住民票を変更しないと、子供が別居先の学校に転入できなかったり、自分宛の郵便物が受け取れないなどのデメリットもありますので、住民票は必ず移動するようにしましょう。
子供を転校させたくない場合には、住民票を移したことで学区外となってしまっても継続して通えるよう、学校に直接相談してみましょう。
次に、別居するという覚悟が決まった場合、気をつけておかなければならない大切なポイントをまとめておきます。
離婚前に別居する場合には、別居前に入念な準備をしておくことをおすすめします。
しっかりと準備をしておくことで、別居後に離婚裁判となった場合にも、慌てることなくスムーズに手続きを進めることができるでしょう。
具体的な準備の内容は以下の通りです。
財産分与の準備として、相手の収入や名義の財産を把握することが必要となります。
以上の書類は離婚することになった場合、財産分与を行ううえで必要となりますが、別居中に入手することは難しくなります。
そのため、別居する前にコピーなどを行い、控えておくようにしましょう。
もうこれ以上いっしょには生活ができない…と急に家を飛び出してしまっては露頭に迷うことになってしまいます。
別居の意思を固めたら、まずは安全に住むことができる場所を確保することが大切です。
婚姻費用分担義務があるとはいえ、別居後に離婚することを考えている場合には、離婚後も安定した生活が送れるような準備をしておくことが必要です。
別居を開始する前に、予めアルバイト・パート先など勤め先を見つけたり、生活費の目処を立てておくことで、別居後に慌てなくてすむでしょう。
さらに、別居をすると母子手当や児童手当などの公的扶助を受け取ることができる場合もあります。自分がどのようなお金を受け取ることができるのかもしっかりと把握し、経済的な見通しを立てておくことが大切です。
お子さんがいらっしゃる場合には、まずは子供を別居先に連れていくか、それとも配偶者の元に置いていくか決めなくてはなりません。
子供の親権について夫婦間で合意が成立している場合には、離婚後に親権を持つ者がいっしょに住むことが多いですが、親権について争いがある場合には、勝手に子供を連れて出ていくと、連れ去りと見なされてしまう可能性があります。
そのため、離婚するまで夫婦のどちらが子供の監護者となるのか話し合うことが大切です。
夫婦間での話し合いで解決しない場合には、家庭裁判所において監護者指定調停を行うこととなります。
子供の監護者となり別居先に連れていくことが決定したら、別居中の学校はどうするのか、転校をする場合には転校先を見つけ、どのような手続きをとるのかなどの準備も必要です。
別居後に離婚を考えている場合には、離婚裁判において不利にならないような生活を心がけなくてはなりません。では具体的に、別居中にはどのような点に気をつけて生活すれば良いのでしょうか?
特に離婚前の別居中における不倫・浮気が不貞行為と見なされるかどうかは、不倫などの行為を行った時期によります。
基本的には、婚姻関係が破綻する前から継続していた関係であれば、不貞行為と見なされますが、すでに婚姻関係が破綻した状態でスタートした関係であれば、不貞行為とは見なされません。
そのため、別居後すぐに不倫をしてしまうと、別居をする前から既に関係が存在していたことを疑われ、不貞行為と見なされてしまうこともあります。
別居後の離婚裁判を有利に進めるためにも、別居後すぐの不倫は避けるようにしましょう。
また、別居後に離婚をする際には、子供に関しての話し合いや、財産分与など経済的な話し合いなど、新たに決めなくてはならないこともたくさんあります。
そのため別居を行い離婚の準備をしている最中に、もしも無断で離婚届が提出されてしまった場合、手続きが非常に煩雑となります。
もちろん配偶者が無断で離婚届を提出してしまった場合には文書偽造の犯罪となりますが、一度離婚届が提出されてしまうと、離婚を無効とするためには、裁判所で調停や訴訟を行うことが必要になってきます。
相手方に自分の署名・捺印がしてある離婚届を渡してしまった場合には特に注意が必要です。
そのため、万が一相手が離婚届を出してしまう場合に備えて、市区町村役場に離婚届不受理申出をしておくのも一つの手です。
今回は、ずっと離婚前に別居することを考えている方向けに、別居と離婚に関する様々なポイント、何年で離婚できるか、拒否されるか、成立するか、1年、3年なのか10年、30年なのかをご紹介してきました。
相手に不貞行為などの理由がなく、別居のみを離婚の理由とするときは、別居の状況も加味して総合的な判断が行われますので、必ずしも別居の期間だけを理由に離婚できるわけではありません。
また、DVを受けているなど特別な理由がない状態で勝手に家を出てしまうと、「悪意の遺棄」をしたと判断され離婚する時に不利になってしまう可能性もありますので、冷静によく考え、できる限り話し合いを行なってから別居をするようにしましょう。
実際に別居をする際には、各々のケースによって考えなくてはならない点や準備が必要なものは様々です。
そのため、別居や離婚を考えていらっしゃる方は一人で抱え込まずに、実家や信頼できる友人、専門的な知識と経験を持つ弁護士に相談することをおすすめいたします。