財産分与の請求には2年の期限|時効?除斥期間?期限を過ぎたら?

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離婚をする際には、結婚している間に夫婦が共同で作った財産について、財産分与を行って分けあうことになります。
特に夫婦のうち収入が低い側にとっては、生活のためにも財産分与を受け取るのは重要なことでしょう。

しかし、財産分与の請求には期限があることに注意が必要です。
離婚後長く時間が経過してしまうと、財産分与の請求ができなくなってしまうので、弁護士に相談して早めに請求の準備をする必要があります。

この記事では、

  • 財産分与請求の期限
  • 期限の性質(時効と除斥期間の違い)
  • 財産分与請求の期限を過ぎてしまった場合の対処法

などについて、法律的な視点からわかりやすく解説します。

離婚後の財産分与請求には期限がある

協議上の離婚か、裁判上の離婚かを問わず、離婚をした夫婦の一方は、相手方に対して財産分与の請求をすることができます(民法768条1項、771条)。

もし財産分与の協議が調わない場合や、協議をすることができない場合は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができるものとされています(民法768条2項)。

しかし、家庭裁判所に対する処分の請求は、離婚の時から2年以内しかできないものとされています(同項ただし書)。

つまり、離婚から2年経ってしまうと、原則として財産分与を法的な手続きで争う手段がなくなってしまうということです。

財産分与請求の期限は時効ではなく除斥期間

なお、「離婚の時から2年」という期限は、「時効」ではなく「除斥期間」とされています。
時効と除斥期間の違いについては、次の「除斥期間とは?」で解説します。

除斥期間経過後も任意の財産分与は有効

離婚の時から2年の除斥期間が経過してしまったとしても、相手が任意に財産分与に応じてくれた場合には、その財産分与は有効です。

したがって、除斥期間が経過してしまった場合であっても、相手に対して財産分与をしてもらえるように交渉することは無駄ではありません。
また、もしご自分で交渉するのが難しい場合は、弁護士に相談してみるのもおすすめです。

除斥期間とは?時効との違いを解説

「除斥期間」という言葉は、時効に比べて耳にする機会が少ないかもしれません。

除斥期間は、時効と同様に、一定の期間が経過すると権利を主張することができなくなるという制度です。

権利が行使されないまま長期間放置されていると、当事者間の法律関係は不安定な状態が続いてしまいます。
このような不安定な状態を解消するために、除斥期間の制度が設けられています。

しかし除斥期間は、以下の点で時効とは異なります。

  • 除斥期間は停止・延長できない
  • 除斥期間は援用が不要
  • 除斥期間には遡及効(そきゅうこう)がない

財産分与に関して、家庭裁判所に処分の請求をする際には、こうした除斥期間の特徴を踏まえて、期限内に請求を行えるように準備する必要があります。

除斥期間は停止・延長できない

これが最も重要なポイントです。

時効については、裁判上の請求・強制執行・仮差押えや仮処分・債務の承認などの一定の事由が発生した場合、「完成猶予」や「更新」が認められます。

時効の完成猶予とは、時効期間の進行が一時的にストップすることをいいます。
また、時効の更新とは、時効期間の進行がリセットされて、ゼロから数え直しになることをいいます。

しかし除斥期間については、時効の完成猶予や更新のように、期間の進行を停止したり、延長したりすることは認められていません。

したがって、「離婚の時から2年」という財産分与に関する処分請求の除斥期間については、必ず離婚から2年で経過してしまうということに注意が必要です。

除斥期間は援用が不要

時効によって権利の取得や債務の消滅を主張するためには、「時効が完成しました」ということを相手に対して宣言する必要があります。
これを時効の「援用」といいます。

時効制度は、時効の恩恵を受けるかどうかについて、恩恵を受ける人の意思を尊重するという理念が含まれています。
そのため、時効の援用が必要とされているのです。

これに対して除斥期間の制度は、純粋に不安定な法律関係を早期に確定させるという趣旨から設けられており、恩恵を受ける人の意思は考慮されません。
そのため、除斥期間の経過については援用が不要とされています。

除斥期間には遡及効がない

遡及効は財産分与の請求では基本的に問題にはなりませんが、簡単に解説しておきます。

時効の効力は、その起算日にさかのぼるものとされています(民法144条)。

たとえば、XがYに対してお金を貸していた場合を考えます。

その後返済期限になっても、XはYに請求せずに5年間が経過して消滅時効が完成し(民法166条1項1号)、Yが消滅時効を援用したとしましょう。
このとき、Xは最初からお金を貸していなかったことになります。

これを時効の「遡及効」といいます。

しかし、除斥期間については時効とは異なり、遡及効が認められていません。

除斥期間が経過しそうな場合の対処法は?

もし、離婚から2年の除斥期間が間もなく経過しようとしていて時間がないという場合には、どのように対処すればよいのでしょうか。

速やかに財産分与請求調停を申し立てる

この場合、家庭裁判所に対して、とにかく速やかに財産分与請求調停を申し立てることが重要です。

除斥期間が経過する前に財産分与請求調停の申立てが受理されれば、財産分与について争うための調停の場を確保することができます。

調停の申立てを行うためには、法律に則った手続きを踏む必要があります。
そのため、すぐに弁護士に相談をして、調停を申し立てる準備に着手しましょう。

相手の財産の調査などは調停を申し立てた後で行う

「相手がどのくらいの財産を持っているかはっきりわからないのに調停を申し立てて大丈夫なのか?」という疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、除斥期間を経過してしまうと財産分与請求調停を申し立てることができなくなり、財産の調査などを行っても徒労に帰してしまいます。

そのため、まずは調停の申立てを除斥期間内に間に合わせることが何よりも先決です。
相手の財産の調査などは、調停の手続きの中で行うこともできますので、調停の申立てを優先させましょう。

除斥期間が経過してしまった場合は?

もし財産分与を受けられることに気づくのが遅かったり、相手の財産が後から判明したりして、財産分与請求調停の除斥期間を経過してしまった場合には、どうすればよいのでしょうか。

家庭裁判所の財産分与請求調停は利用できない

先ほど解説したように、除斥期間の進行を停止したり、除斥期間を更新したりすることはできません。

したがって、離婚時から2年の除斥期間を経過してしまった場合には、家庭裁判所の財産分与請求調停は利用できません。

任意の財産分与について相手と交渉する

除斥期間の経過により財産分与請求調停が利用できなくなったとしても、相手が任意に財産分与に応じてくれれば、その財産分与は有効です。

相手としても、離婚したとはいえ今後あなたと円満な関係を続けていきたいと考える場合には、財産分与の交渉に応じてくれるかもしれません。
そのため、相手に対して任意に財産分与をしてくれるよう交渉することも一つの手段です。

財産隠しなどがあった場合には、通常の訴訟で争う

離婚時の財産分与について話し合う際には、夫婦はお互いの財産についてすべて開示し合わなければ、正しい財産分与を行うことができません。

それにもかかわらず、一方が相手に対して財産を意図的に隠したような場合には、財産を隠された側はより少ない金額の財産分与しか受けることができなくなります。
この場合、本来得られるはずだった財産分与の金額との差額を損害として、財産を隠した側に不法行為(民法709条)が成立します。

また、本来行われるべきだった財産分与と実際の財産分与の差額については、財産を隠した側が法律上の原因なく保持している利益といえますので、財産を隠された側は不当利得(民法703条)として返還を請求することもできます。

このように、相手に財産隠しなどがあった場合には、不法行為または不当利得に基づき、損害賠償や利益の返還を請求することができます。

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なお、不法行為・不当利得に係る債権の消滅時効期間は、それぞれ以下のとおりです(2020年4月1日施行の新民法のルールによります)。

消滅時効期間
不法行為 被害者が損害および加害者を知った時から3年(民法724条1号)
不当利得 債権者が権利を行使することができることを知った時から5年(民法166条1項1号)
または
権利を行使することができる時から10年(同項2号)
のいずれか早く経過する方

財産分与の時効(除斥期間)が近いときは弁護士に相談しよう

離婚時から2年の除斥期間が経過すると、財産分与調停が利用できなくなってしまいますので、速やかに調停の申立てをする必要があります。
もし財産分与調停の除斥期間が迫っているという場合には、すぐに弁護士に相談しましょう。

また、除斥期間が過ぎてしまったという場合にも、不法行為や不当利得に基づく請求を行うことができるかもしれません。
まずは弁護士に相談をして、どのような方針で相手に財産分与の請求を行うかの方針を立てるのが賢明です。

いずれにしても、財産分与の問題を抱えている方は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士は依頼者の希望に沿って、離婚・財産分与の問題を解決するために尽力してくれます。

ぜひお気軽に弁護士にご相談ください。

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