養育費の未払い回収に強い弁護士7選【2023年最新版】
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共働き世帯の増加は、一方の配偶者の収入を知らない、相手の収入が分からないという状況が増えている原因の一つです。共働きの場合、生活費や子供の費用に十分な余裕があるため、お互いの収入に関する具体的な情報を知らなくても、生活を維持することが可能です。
しかし、離婚の際には状況が変わります。特に養育費の計算においては、配偶者それぞれの年収が非常に重要です。
子供の養育費は、両親の収入に基づいて決定されるため、年収は養育費の基本的な要素となります。他の要素も考慮されますが、収入は養育費を決定する際の主要な基準です。大まかな数字ではなく、具体的な収入を知らないままだと、実際に養育費を受け取る際に損失を被る可能性があります。
子供のためにも、夫または妻の具体的な年収を正確に把握することが重要です。相手の収入が分からない場合でも、給料をごまかしている場合でも、適正な養育費を受け取るために調査を行い、適切な金額を確保することが必要です。
この記事では、離婚と養育費の計算方法、相手の収入を知る方法を解説します。
なお、養育費の未払い回収に強い弁護士も併せてご利用ください。
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目次
ところで養育費の相場は、いくらくらいになるのかご存知でしょうか?
夫婦によって、事情が異なるため相場なんて分からないのでと思う方もいれば、5万円くらいかな?と具体的な金額を考える方もいるかと思います。
家庭裁判所が公表している「養育費算定表」を使いつつ、以下の情報が分かれば、おおよその養育費を計算することができます。
実際に算定表を使って、夫が「年収は550万」と申告した場合と「年収は400万」だと過少申告した場合の、養育費を算出してみましょう。
まず「夫の年収550万で、妻は250万円。10歳の子どもが1人」で妻が引き取るケースを算定表で確認します。
義務者の550万円と権利者の250万円が交差するところをみてみると、「4~6万円」が相場となります。
次に「夫の年収400万で、妻は250万円。10歳の子どもが1人」で、妻が引き取るケースを確認します。
条件的には、年収だけが異なるわけですが、相場は「2~4万円」となります。
上記の計算を比較すると、年間で最大48万円の差(=72万-24万)が出てしまいます。
もし旦那が嘘をついていた場合、給料ごまかしなどを考えると、このように大きな損をすることになります。
支払う側の年収によって養育費の金額は大きく上下してしまいますので、年収は正確に把握しておくことが得策です。
次に具体的な年収の調べ方と、基本となる年収の考え方を抑えます。その後、協議離婚(夫婦間での離婚の話し合い)における年収の調べ方をご説明します。
そもそも「年収」とはどのようなものを指すのでしょうか。
ひょっとすると「手取り」給与12ヶ月分のことを指すと考える方が多くいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし実は、これは正確ではありません。一般的には、年収=手取りという考え方でも問題ありません。
ただ、養育費の計算をする場合は、間違いとなります。
養育費における年収とは、原則として「税金等が控除される前の総収入」のことを指します。具体的には、源泉徴収票の「支払い金額」の欄に記載されているものが年収となります。
もっとも、これは給与所得者であるサラリーマンを前提に捉えたものです。フリーランスや個人事業主等の自営業者の場合は控除された後の金額が年収となります。具体的には、「課税される所得金額」が年収です。
給与所得者と自営業者では、年収の観念が異なるため、注意するようにしましょう。
このように、年収とは、原則として税金が控除される前の総収入のことです。手取り収入ではないので、この点を勘違いしないようにしましょう。
それでは具体的に相手の収入がわからない場合、どのようにして年収を調べればよいのでしょうか。
これから離婚を考えている、あるいは夫婦で離婚の話し合い中であるという場合には、相手の「課税証明書」を取得することで、正確な年収を知ることができます。
課税証明書とは、各自治体で課税した住民税の額を証明するものです。前年の1月始め〜12月末日までの所得に基づき計算された住民税の額が記載されています。
この課税証明書には、住民税の額だけではなく、収入金額が記載されているため、年収を知ることができます。所得金額の記載もありますが、こちらは税金控除後の金額となりますので間違えないようにしましょう。
結論から申し上げると、基本的に、課税証明書の発行を本人以外がする場合は、「委任状」が必要となります。
しかし、例外的に同じ世帯(同居の家族)であることが証明できれば、委任状なしで発行してもらえることがあるようです。
最近では、プライバシーの観点から、原則として夫婦や親子であっても委任状が必要とされていますが、市役所に提出する場合、年金、勤務先の扶養確認などで使用する場合は、同居の証明ができれば委任状なしでも対応してくれるケースがあります。
養育費の計算で必要というのは口外せずに、勤務先の不要確認などで必要と記載・説明すれば大丈夫でしょう。委任状以外で必要になるのは下記の証明書2つとなります。
ちなみに、課税証明書以外にも「所得証明書」というものもあります。
課税証明書は課税額が記載されており、前年の所得内容を記載しているものですが、基本的には同じようなものです。課税証明書が所得証明書を兼ねている自治体が多くなっていますが、別になっているケースもあります。取得する際は、基本的にどちらでも大丈夫ですが、念のため取得しておいてもよいでしょう。
このように、相手の課税証明書を取得することで、正確な年収を把握することができます。もっとも、別居期間が長く、住所が異なる場合などは取得が難しくなります。
ひょっとするとサラリーマン家庭の場合、課税証明書より源泉徴収票のほうが馴染みがあるかもしれません。これを見れば、年収を把握できるはずですが、源泉徴収票ではダメなのでしょうか?
まず、課税証明書と源泉徴収票の違いを簡単に言うと、下記のとおりです。
「まったく同じような気がする」とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。
しかし源泉徴収票は「その会社で」取得した収入のみが記載されている点が異なります。
つまり、副業や他の会社で働いている場合には、その収入に関しては記載がないのです。課税証明書は、すべての収入がわかるが、源泉徴収票ではその会社で得た収入のみがわかるという違いがあるのです。
つまり、夫(妻)が確実に会社でしか収入を得ていない場合には、源泉徴収票でもすべての年収がわかるため、源泉徴収票でOKです。しかし、会社以外にも収入があるかもしれない場合は、課税証明書の方が実際の年収を把握できることになります。
また、源泉徴収票が手元にある場合はよいですが、ない場合には相手に源泉徴収票をもらってくることを依頼しなければいけません。発行自体が相手に知られてしまうことを避けたい場合には、難しいでしょう。
このように、源泉徴収票では不十分なケースもあります。できる限り課税証明書を取得するようにしましょう。
次に協議離婚の時点で話がまとまず、離婚調停や審判に進んでしまった場合についてご紹介致します。
夫婦のみの話し合いで離婚が進まない場合、調停離婚を選択する方も多いでしょう。
この時点で、相手の年収がわからない場合、養育費を求めたくてもどれくらいが適正かわからず困ってしまいます。
このようなケースの場合、調停では、調停委員にお願いして、相手の収入証明を提出するように説得してもらうことができます。
離婚調停では、離婚の可否のみを話し合うのではなく、養育費や慰謝料、財産分与などのお金に関する問題も話し合うのが通常です。仮に両者の年収がわからない場合には、このようなお金の問題も仮定で話し合うことになってしまうため、収入証明などの提出を促すことはよくあります。
もっとも、調停委員による説得があったとしても、相手はこれに応じる義務がありません。あくまで任意の提出ということになるため、相手が頑なに拒否する場合は、相手の性格な年収は知ることが難しくなります。
このように、調停では調停委員にお願いするという方法がありますが、相手の出方次第では難しいかもしれません。
では、相手が収入証明を提出しない場合、調停はどうなるのでしょうか。
仮に、調停委員による説得を拒んだ場合には、養育費に関する問題については解決することが難しくなります。
相手の申告した金額等から収入を推測して、養育費を見積もるしかありません。権利者側としても、「相手の申告する収入が実際と異なる」と感じ、養育費が少ないと考える場合には、調停内の結論に同意する必要はありません。この場合は、調停不成立となり、離婚や養育費に関する結論が出ないままとなります。
調停の次の段階としては、審判や裁判があります。
しかし審判であっても、相手が収入証明の提出を拒んだ場合には、相手の収入が把握できないのです。この場合は、審判決定が出されないケースもあるようです。もっとも、相手の主張から推測し、決定が出されるケースもあります。
このように、調停・審判ともに、推測で養育費が決定される可能性はありますが、これに同意できない場合は、調停不成立、審判無効の結果となってしまいます。
では、源泉徴収票すら出さない相手に収入証明を出させる方法は、もはや用意されていないのでしょうか。
実は、相手に拒否されてしまった場合でも、強制的に収入証明の提出を促すことができる方法もあります。それは「調査属託の申立て」という方法です。
これは、本人に対して文書の提出をお願いする方法ではなく「会社や銀行などの収入を把握している機関」に対し、収入証明の提出をお願いする方法です。調査属託以外にも、弁護士照会という方法でも、収入証明を取得できます。
ただし、これができるのは離婚裁判になったときです。離婚裁判になった際に、弁護士側から裁判所に調査属託をお願いすることになります。もっとも、相手の勤めている会社すらわからない場合には、厳しくなります。会社もわからない場合には、興信所などに依頼することで、まずは勤務先を把握することになります。
このように、裁判の場合は調査属託で相手の年収を把握することが可能となります。
なぜ夫は年収を申告したがらないのでしょうか。
年収を申告したがらない理由は、ズバリ養育費を多く支払いたくないからです。これは、給与所得者でも自営業者でも同じです。
具体的には、以下の心理が考えられます。
しかし、養育費とは、未成熟な子どもに対し支払われる監護費用です。親は離婚しても成熟するまで子どもに対する扶養義務を負っていることから負担しなければいけません。子どもが大人になるまでの義務を果たすことは親として当然のことです。
義務者の方は、相手に対する感情よりも子どもに対する義務を優先しましょう。経済的事情がある場合は、相手とじっくり話し合って解決することが大切です。権利者も子どものために、できるだけ相手と冷静に話し合い、正確な年収を聞き出すようにしましょう。
自営業の場合、年収をごまかしてしまうケースも少なくありません。では、なぜ年収をごまかすのでしょうか。
サラリーマンなどの給与所得者の場合、税金は会社で計算され、各自治体に提出されることになります。自分で計算する方は通常いないため、渡された手取りの金額=給料と考える方も多いでしょう。
しかし、自営業者となると話は別です。自営業者は税金控除前の総収入を自分で把握しています。その上で、確定申告の際に、総収入や経費、税金の額などを自分で計算している方も多いのです。税理士に任せている方も多いですが、簿記などの知識があれば自分で処理できるため、収入や税金に関してもきちっと把握しています。
そして、自営業者にとってなんとかして抑えたいのが税金です。税金の額が大きくなれば、収入減に直結するため、収入自体を少なく見せようとする人もいます。もちろんこれは違法となりますので、やってはいけないことですが、実態としては税金の額を低く抑えるため年収をごまかしてしまうケースもあるのです。そのため、自営業者の場合は、年収の把握が難しくなるケースもあります。
最後に、 夫(妻)が調停や裁判で虚偽の収入証明等を提出した場合に、成立する可能性のある罪についてご説明します。
課税証明書は、市長村が発行する公的な証明書であるため、これを偽造した場合には、公文書偽造罪が成立する可能性があります。
公文書偽造罪とは、刑法155条1項に、「行使の目的で、…公務員の作成すべき文書…を偽造…した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。」と規定されています。仮に、課税証明書の一部を書き換えたり、文書全体を偽造した場合には、この罪が課される可能性があります。
課税証明書自体を偽造することはかなり難しいですが、仮にこれがあった場合には公文書偽造罪となります。また、実際に行使した場合には、同行使罪(158条1項)もう成立します。
他方、源泉徴収票を偽造した場合には、私文書偽造罪(159条1項)が成立する可能性があります。
源泉徴収票は、公の機関が発行する者ではなく、会社が発行するもののため、「私文書」という扱いになります。仮に、内容等を偽造した場合には、「行使の目的で、…事実証明に関する文書…を偽造し…た者」となり、「三月以上五年以下の懲役」が課される可能性があります。また、これを実際に行使すると、同行使罪(161条1項)も課されます。
では、調停や裁判等でも文書の真正が問題になることはあるのでしょうか。
まず、離婚調停では、基本的に書類が真正なものかが問われることは、ほとんどありません。基本的に調停や審判では、提出されたものを材料として、話し合いが進められていくことになります。
離婚裁判でも、こちらから「偽造だ」と主張し、証明しない限り正しいものであるとの前提で審理進んでいくことになります。
そのため、仮に偽造されていると信じる場合は、弁護士等に相談し、訴訟戦略を考えていかなければいけません。
このように、文書が虚偽であると信じる場合には、自分からそれを主張しなければいけません。この場合自分1人で、訴訟をこなしていくことは難しくなりますので、弁護士に相談してください。
専門家である弁護士とともに、正確な収入をつきとめ、適正な養育費をもらえるようにしましょう。