面会交流とは|ルール例・頻度・時間・破られた場合を解説!
離婚をして、親権者にならなかった方の親が子どもと定期的に会いたいと思った場合に行われれる面会交流。この記事では、面会…[続きを読む]
離婚をしても、親権者とならなかった親も、子供とまったく交流がなくなるわけではありません。
定期的に子どもと面会する権利があります。
その際に、夫婦間だけの話し合いでまとまらなかった場合、どのように面会するのかを取り決める調停を行うことになるわけですが、それを「面会交流調停」と呼びます。
そこで今回はこの面会交流調停の流れ、聞かれることや弁護士費用相場、調査官調査などについて詳しく解説します。
目次
面会交流権とは、別居している親子が会う権利のことです。日本では共同親権が認められていないため、離婚が成立すると父親か母親のどちらか一方にだけ親権が認められます。
そうすると子どもは親権のある親と同居することになり、親権を持たない親とは会えなくなってしまいます。しかしそのことは、子どもの福祉の観点からも望ましくありません。そこで、親権を持たない親が子どもと会う権利が民法766条で保障されているのです。
調停を申し立てる前に、夫婦間で面会をどのように行うのかを話し合います。面会をする場合には
などの内容についてです。話し合いによる面会交流のルールの決め方など、詳しくは下記ページをご参考ください。
本記事では、話し合いのフェーズは終わったものとして、「調停」に焦点をあてて解説します。
話し合いが不調の場合に、ようやく面会交流調停を申し立てることになります。
離婚の話し合いの場で面会交流の方法の取り決めを行わなかった場合、話し合いがまとまらなかった場合に行われるのが面会交流調停です。
この調停によって、具体的な面会方法が決められます。
もしも面会交流調停でも取り決めがまとまらなかった場合には、流れとしては、その後に裁判所の「審判」によって取り決めが行われることになります。
面会交流調停の多くは離婚調停の際に行われるため、弁護士費用は離婚調停の費用の中に含まれていることが多いでしょう。
その場合、費用の相場としては離婚調停全体の平均価格としておよそ35~40万円程度になります。面会交流調停のみを行う場合には離婚調停よりも争点が少なくなるため、一般的には離婚調停よりも安い費用で依頼することができます。
その場合、着手金や報酬額も含めて20~30万円程度が平均相場です。ただし、この金額はあくまでも一般論であり、実際にどれくらいの費用がかかるかは一概にはいえません。
依頼する弁護士や調停にかかる時間、かかる負担によってはより高額になることもあります。
「面会交流調停」を裁判所に申し立てることになった場合の、基礎知識を解説します。
調停の場所は申立者が相手方の住所地のある裁判所か、あるいは互いに合意した裁判所へ申し立てを行うことで始まります。
調停で何より重要視されるのは、子どもの意向や福祉です。そのため期日や時間、頻度、場所なども子どもに負担がかからないことを最優先として進められます。
必要書類としては面会交流調停申立書とその写し、未成年者の戸籍謄本が挙げられます。
申立書には事情説明書と調停に関する進行照会書が付随しています。
これらもしっかり記入しておく必要があります。申立書は裁判所のホームページからダウンロードすることが可能です。
なお、必要な費用として子ども一人につき収入印紙1200円分と、連絡用の郵便切手を用意する必要があります。
面会交流調停で聞かれることとして、これまでの経緯や現在の家庭の状況、また親と子供との関係等が聞かれるほか、流れとして希望する面会交流の条件などが聞かれます。
調停で取り決めされる条件としてまず挙げられるのは、会う回数です。
一般的には月に1回程度の場合が多く見られます。
なお、面会回数は1年以上の間隔を空けて設定することはできません。
会う時間の取り決めも行います。
子どもが小学校低学年ぐらいまでであれば2時間、それ以降は半日や一日という設定が多いです。
子どもの受け渡し方法の取り決めも行います。
面会の間は必ず両親が付き添うなど、子どもが幼少期の間には特に大事なポイントです。
受け渡し方法については、後に事件やトラブル、最悪のケースとしては無理心中につながりかねない事柄ですので、とりわけ両親の関係がよくない場合には細かい部分まで具体的に決めることを念頭に置きましょう。
面会を拒否できる場合についての取り決めを行います。たとえば子どもが病気の場合などが考えられます。
そのほか、面会時の費用負担や連絡方法、学校行事や誕生日の際にどう過ごすかといった細かい部分について話し合われることも多いです。
家庭裁判所の調停・審判で面会交流を決める際は、家庭裁判所の「調査官」という専門の職員が、子どもの心情・意向・生活状況などをよく調査します。
調査官は、行動科学(例えば心理学や社会学)など専門的な訓練を受けた裁判所の職員で、その調査内容とこれに基づく意見は、調停・審判においてとても重視されます。
通常は、調査官の意見が決定的な役割を果たすと言っても過言ではありません。
この、調査官による調査のひとつに「試行的面会交流」というものがあります。
試行的面会交流とは、調査官や双方代理人弁護士の立ち会いの下で、試しに面会交流をやってみることです。親子が長期間会っていない場合や、面会交流が子供に与える影響等に不安がある場合に行われることがあります。
調査官は、自ら観察した、あるいは双方代理人弁護士から報告された、この試行的面会交流における子どもの様子等を踏まえ、面会交流の取決め案を裁判官に進言することになります。
状況によっては養育環境などへの調査官調査が行われたり、実際に面会交流の試行期間が設けられたりする場合があります。
そのような調査を通じて、面会交流を実施しても問題が起こらないかどうかが判断されます。
基本的に面会交流調停では、親権を持たない親と子どもとの面会をどう実施するのかという方向で進められていきます。
しかし、面会交流権があっても面会交流が認められないこともあります。
たとえば非親権者が過去に子どもに対して暴力を振るっており、今後も同じことが発生する可能性が認められる場合です。
ただし、このケースは危険度がかなり高いときのみであり、再び暴力を振るう可能性が低い場合や、子どもの側がトラウマを持っていない場合には、面会交流が認められることが多いです。
そのほか、子どもが10~12歳以上である場合には、子どもの意思が重要視されます。もしも子どもが「会いたくない」といって面会交流を望んでいないのであれば、裁判所であっても無理やりに面会交流を強制することはできず認められない場合が多いです。
離婚した両親の関係が悪化している場合、面会交流調停で取り決めをしたにもかかわらずどちらかが取り決めを守らないということがあります。
この場合、まずは裁判所に訴えることによって履行勧告が行われます。当事者同士の話し合いではまとまらなくても、裁判所からの要求ということであれば聞いてもらえる可能性があります。
手軽で使いやすいため、メリットが高い制度です。ただし、履行勧告に強制力はありませんので注意が必要です。無視される可能性もあります。
履行勧告や面会交流調停のやり直し以外の方法として裁判所に「強制執行」を申し立てる方法もありますが、面会交流でこの方法が行われることはあまりありません。
また、強制執行で無理やり子どもとの面会を実現させることは、子どもに精神的な苦痛を与えてしまう結果にもなりかねないので注意が必要です。
今回は、面会交流調停の流れ、弁護士費用相場、必要書類、聞かれることなどを解説しました。
面会交流調停といってもそもそもどのようなことを取り決めたらよいのか分からないという人や、相手側が調停に応じてくれないといった人も多いでしょう。
子どもに会わせてもらえないという人や、その逆に子どもが会うことを拒否しているのに裁判所が理解してくれずに困っているという人もいるかもしれません。そのような面会交流に関するトラブル、また万が一の無理心中のような大きな事件に対応するためにも、面会交流調停に臨む際には離婚問題に強い弁護士に依頼するのがおすすめです。
弁護士であればその事案に応じた適切な手続きを利用し、適切な内容の面会交流方法を提案してくれます。
まずは離婚問題に積極的に取り組んでいる弁護士を探し、相談してみてはいかがでしょうか。