なぜ離婚協議書は公正証書で書くべきか?その理由と内容
この記事では、なぜ離婚協議書は公正証書で書くべきか?その理由と内容について、解説いたします。[続きを読む]
離婚問題、離婚調停で弁護士は必要なのでしょうか。それとも行政書士に依頼したいとお考えの方はいらっしゃるでしょう。
なぜなら法律問題を迅速かつ確実に解決するには、法律の専門家に相談するのが安心でし、弁護士よりは安い印象もあります。
弁護士・司法書士・行政書士といった各種士業は、それぞれ業務範囲に違いがありますので、ご自身のニーズに合わせて依頼先を選定することが大切です。
特に、費用の安さに惹かれて行政書士への依頼を検討する方もいらっしゃるかと思いますが、業務範囲の制限があることには十分注意する必要があります。
この記事では、不倫や離婚事件の相談先として考えられる弁護士と行政書士との特徴や違い、弁護士が必要か、離婚協議書や注意点などについて解説します。
年間15000件以上の実績
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離婚事件を相談できる専門家として候補に挙げられるのは、主に「弁護士」「認定司法書士」「行政書士」の3つです。それぞれの士業が離婚に関して取り扱うことのできる業務の特徴と違いについて解説します。
弁護士は、法律に関するあらゆる業務を取り扱うことのできる必要な専門職です。
夫婦が離婚をしようとする際には、例えば以下のような離婚条件に関する交渉を行う必要があります。
交渉により離婚条件に合意できるケースもありますが、中には離婚調停や訴訟といった法的紛争に発展してしまうケースもあります。
弁護士であれば、このような離婚に関して発生する問題解決をすべて依頼できます。其の点で調停や離婚に弁護士は必要と言えるでしょう。また離婚協議書ももちろん作成可能です。
司法書士も、法律に関する専門職の一つとして知られています。
司法書士は通常、登記や供託などに関する法律事務に業務範囲が限定されています。
しかし、法務大臣の認定を受けた司法書士については、訴額が140万円以下の法律上の請求について、依頼者の相談に乗ったり、代理人に就任したりすることが認められます(司法書士法3条1項6号~8号、裁判所法33条1項1号)。
したがって認定司法書士は、離婚に関する請求のうち、請求額がトータル140万円以下のものに限って、相手方との交渉などを請け負うことが可能です。この点で司法書士は必要といえます。
ただし、「離婚をすること」そのものについては訴額が160万円とみなされますので(民事訴訟費用等に関する法律4条2項)、認定司法書士に認められている業務の範囲外となってしまいます。
つまり、認定司法書士に離婚の相談ができるケースは、例えば100万円の慰謝料請求だけの場合や、離婚後未払いの金銭などで140万円以下の場合に限られます。
行政書士も、弁護士・司法書士とともによく知られている法律専門職の一つです。
行政書士の業務は、「官公署に提出する書類その他権利義務または事実証明に関する書類」の作成と、作成に関する代理・相談業務とされています(行政書士法1条の2第1項、1条の3第1項)。
法律上、行政書士が離婚に関して取り扱える業務は、離婚協議書など書類作成などに関するものに限られているため、必然的に離婚に関する業務範囲はかなり狭くなってしまいます。
そのため、離婚に強い行政書士とうたう行政書士に離婚の相談をする際には、次の項目で解説するような注意点に十分留意しましょう。
行政書士が依頼者から受けられるのは、行政書士法に基づき職務上作成することが認められている書類の作成に関する事務的な相談のみです。
つまり、
など、法律に関連する事項についての相談を受け、これに回答することは認められていません。
行政書士に法律のアドバイザー的な役割を期待したとしても、受けられるアドバイスの種類は相当に限られることに注意が必要です。
相手との間で離婚条件についての交渉が進行中の状況では、ご自身で相手との交渉を行うことには大きな負担がかかるでしょう。
しかし行政書士には、離婚事件に関して相手との離婚条件の交渉を代理することは認められていません。
そのため、行政書士に離婚の相談をする場合でも、離婚条件の交渉は依頼者自身が自力で行う必要があります。
離婚条件について相手との間で合意するのが困難な場合は、調停や訴訟などの法的手段を通じて離婚条件を決定することになります。
しかしながら、行政書士には調停・訴訟における代理権は一切認められていません。
これらの法的手続きについて代理人への就任を依頼できるのは、訴額の点を考慮すると、事実上弁護士に対してのみです。
したがって、行政書士に離婚の依頼をした後で、相手との紛争に発展してしまった場合には、弁護士に改めて依頼をし直さなければなりません。
当然、その際には追加での依頼費用がかかるほか、案件の説明や信頼関係の構築などに関する労力も再びかかってしまいます。
上記のように、行政書士は、離婚に関して取り扱うことができない業務が数多く存在します。逆に、行政書士が離婚に関して取り扱うことのできる業務とは何なのでしょうか。
結論としては、「離婚協議書(公正証書を含む)の作成」のみ行政書士でも可能ということになります。
離婚協議書は、夫婦の離婚に関する権利義務を証明する書類ですので、その作成は行政書士の業務に含まれます。
また、離婚協議書を「公正証書の形で作成」することについても同様です。
したがって、行政書士が離婚協議書の作成についてできること、できないことは次のようになります。
行政書士には厳しい業務範囲の制限があるにもかかわらず、弁護士ではなく行政書士に離婚の相談をした方がよい場合には、どのようなケースがあるのでしょうか。考えられるケースとしては、以下のものが挙げられます。
夫婦間で離婚条件がすでにまとまっており、これ以上交渉の余地がないという場合には、あとは離婚条件の内容を離婚協議書の形でまとめるだけです。
この段階に至れば、夫婦間で揉め事が蒸し返される可能性は低いでしょうから、行政書士に離婚協議書の作成のみを依頼することでも足りるかもしれません。
しかし、離婚条件についての交渉の余地が少しでも残っている場合や、後から相手が前言を撤回してくる可能性があると感じている場合などには、行政書士ではなく弁護士に依頼した方が安心でしょう。
一般的に、行政書士への依頼費用は、弁護士費用よりも安価に設定されるケースが多くなっています。
そのため、離婚協議書の作成をできるだけ安く専門家に任せたいという場合には、行政書士に依頼するのが適切なこともあるでしょう。
ただし、離婚に関して予期せぬ問題が発生した場合にも、弁護士は当初の依頼費用の範囲内で柔軟に対応してくれることも多いです。
したがって、トータルで考えた場合に、弁護士と行政書士のどちらがリーズナブルであるかについては、一概には言えません。
離婚事件への対応を法律の専門家に依頼する場合、行政書士にはコスト面での違い・メリットがあり得ますが、基本的には弁護士に相談することをお勧めいたします。
離婚問題を弁護士に相談した方がよい理由は、以下のとおりです。
弁護士の強みは、何よりも不倫慰謝料請求や調停など法律に関するすべての業務を取り扱うことができる点にあります。
離婚をする際には、離婚条件・手続きの両面で、全体的に非常に複雑な業務が発生します。
これらをすべてワンストップでサポートできるのが、弁護士の最大の特長です。
依頼者にとっては、一度弁護士に離婚問題への対応を依頼すれば、面倒な手続きや予期せぬ問題への対応も、すべて弁護士に任せることができます。
離婚に関するあらゆる業務の中でも、特に「離婚条件に関する交渉を代行」できる点が、弁護士に依頼することの大きなメリットといえます。
離婚を検討するほどに相手と険悪となってしまった場合、相手の顔も見たくないというケースも多いでしょう。
弁護士に離婚条件の交渉を依頼すれば、弁護士に希望条件や許容可能なラインなどを伝えておけば、実際の交渉の場に依頼者が同席する必要はありません。
そのため、離婚協議に関する依頼者の精神的な負担は大きく軽減される可能性が高いでしょう。
離婚協議が不調に終わり、調停や訴訟に発展してしまうケースも考えられます。
この場合、不慣れな法的手続きに自力で対応するのはきわめて困難であり、また膨大な労力を必要とします。
離婚調停・離婚訴訟について、代理人への就任を依頼できるのは弁護士のみです。
弁護士はこれらの法的手続きに精通しているため、依頼者の代わりに手続きの大部分を代行してくれるほか、依頼者が注意すべきポイントなどについても適切なアドバイスを受けられます。
年間15000件以上の実績
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離婚事件に関して、弁護士・認定司法書士・行政書士の間には、それぞれ必要とは言えますが、取り扱える業務の範囲に大きな差があります。
行政書士は、離婚協議書の作成以外の業務は取り扱えませんので、依然として離婚条件の交渉が進行中の場合や、後から交渉が再燃してしまった場合などには、臨機応変な対応ができません。
この点、当初から弁護士に離婚問題の解決を依頼すれば、離婚に関して生じるあらゆる業務について、ワンストップでサポートを受けることが可能です。
離婚に関する総合的なサービスを受けたい方、面倒な手続きや交渉をすべて専門家に任せたい方は、ぜひ弁護士にご相談ください。