離婚調停で必ず踏まえておくべき知識。慰謝料や養育費はどう決めるか?

夫婦が離婚するとき、まずは「協議離婚」を試みるのが一般的です。協議離婚では夫婦間の話し合いによって離婚の条件を決めていきます。

しかし、協議離婚が平行線をたどるようであれば第三者によって法的に効力のある決定を下してもらう必要があります。それが「離婚調停」です。

親権など、夫婦間で取り決めが交わされない限り離婚できない問題もたくさんあるので、離婚調停は非常に重要な場です。

この記事では、離婚調停の基礎知識をまとめていきます。慰謝料や養育費はどう決めるかも解説しています。

離婚調停とは何をするの?

離婚調停とはつまり「第三者をまじえた離婚についての話し合い」です。

ただし、離婚調停は家庭裁判所で行うために、決定事項には法的な執行力があります。離婚調停での判決に夫婦は必ず従わなくてはいけません。離婚調停では夫婦間の協議では決められなかったあらゆることが調停の対象になります。

  • 親権者をどちらにするか」
  • 慰謝料はどれくらいか」
  • 養育費の額と払う回数」
  • 財産分与の割合」

など、さまざまな問題が離婚調停では議題となります。離婚調停は司法の場ですので、夫婦が感情的に言葉を交わすだけでは進行しません。

求められているのは明確な証拠を示して、夫婦それぞれの立場を明確にしていくことです。夫婦双方の主張を聞いたうえで、裁判所から判決が下されます。

離婚調停では弁護士をつけるケースが多く、必ずしも夫婦が自ら口を開く必要はありません。

親権、慰謝料、養育費、財産分与などについては各ページが詳しいのであわせてご参照ください。

■参考ページ
離婚で親権を獲得するには?有利に調停を進めるためのポイント
不貞行為(妻の浮気や旦那の不倫)の離婚慰謝料相場を計算しよう
知っておくべき養育費の決め方【2018年版】
離婚する際の財産分与のポイントとは?

調停申し立ての期間と棄却。必要なものと服装など

離婚調停は家庭裁判所に「調停申し立て」を行ってから1~2カ月ほどで開催されます。

ただし、調停内容自体が不適切と判断された際には申し立てが棄却される可能性もゼロではありません。調停に必要な持ち物としては

  • 手帳、メモ帳
  • 筆記用具
  • 銀行口座が分かるもの
  • 印鑑

も持参しておきましょう。調停の結果、慰謝料や養育費を振り込んでもらえることになったら、口座情報も伝えます。また、印鑑も必須です。調停から書類が生じた場合、ほとんどに本人の印鑑が求められます。

親族も同席できる

離婚調停では本人と弁護士以外の立会いも認められています。

親族に同席してもらえば、相手へのプレッシャーにもなるのでおすすめです。そして、身だしなみは清潔にしていきましょう。高価な装飾品は裁判所の心象を悪くするので控えた方が賢明です。

1回で成立?2回目もある?調停の期間や回数は

調停の期間については夫婦によります。1回の離婚調停で終わることもありますし、2回、3回と続き10回以上も調停を繰り返してまだ話がまとまらない夫婦もいます。

離婚調停の進み方としては、1回の調停の中で双方の主張がぶつかり、裁判所がより説得力のある側に有利な決定を下すのが普通です。しかし、双方の意見があまりにも食い違っている場合だと1回の調停ではなかなか決定を下せません。

そのうえ、財産や親権といった繊細な問題になってくると、裁判所もより確実な証拠に基づいて考えようとします。その結果、調停が引き延ばされていくケースも珍しくはありません。

調停のインターバルは大体1カ月ほどですが、夫婦のスケジュールが合わなければ間はどんどん空いていきます。離婚調停を繰り返しているうち、1年以上経ったのにまだ問題が解決しないときもあります。

離婚調停申立書。調停の必要書類について

離婚調停では「離婚調停申立書」に記入し提出して、裁判所が調停を受け付けてくれます。

そして、「添付書類」と呼ばれるさまざまな書類も同時に提出する必要があります。まず、本人の戸籍を証明するための「戸籍謄本」です。家族がいる人は戸籍謄本の本人部分だけではなく、全員分をコピーしておきましょう。

そのほか、住民票や収入を証明する書類も裁判所から求められます。年金の分割について調停する夫婦は、年金の額が分かる書類も用意します。

添付書類と収入印紙を準備し、申立書と合わせてようやく離婚調停の申し立ては成立です。その後、裁判所から離婚調停の呼び出し状が送られてきて調停の日程が判明します。申立書などの提出書類とともに呼び出し状もコピーを取っておきましょう。

また、何かあったときのために身分証明書も持参していった方が無難です。

一番大切!調停で聞かれることは

離婚調停では必ず聞かれる質問がいくつかあります。

まず、「結婚の経緯」と「離婚の経緯」です。2人がどのように知り合い、一緒に暮らすことになり、そしてどうして別れようとしているのかはお互いの正当性を確認するうえで重要です。

「現在の夫婦の関係性」も深く追求されますので、あわせて詳細に答えたい質問です。「離婚は回避できないのか」という旨の質問も投げかけられてきます。努力の末に離婚をするのと、最初から離婚ありきで話を進めるのでは裁判所の心象がまったく変わります。

「自分は関係を続けようとしたがどうしても無理だった」と伝わるように発言するのがおすすめです。そして、

  • 慰謝料
  • 養育費
  • 親権

などの離婚条件についても細かく聞かれます。決定に関わる重要な部分ですので、要望があるならはっきり口に出しておくのが賢明でしょう。

証拠提出の注意点

離婚調停では有利に話し合いを運ぶため、証拠の提出が不可欠です。

親権争いにしても「自分の方が子供を愛しています」といった抽象的な主張を繰り返すだけでは、裁判所を動かせません。しかし、夫が子供に暴力を働いた目撃証言などが出てくると、「自分の方が親権を獲得するに相応しい」との証拠になります。

離婚事由についても、証拠は大きな効力を発揮します。離婚の責任が相手側にあると裁判所が認めれば、慰謝料の請求などがスムーズにいくでしょう。たとえば、夫の浮気が離婚事由だとすれば浮気の証拠を複数用意しましょう。

■参考ページ
那が不倫・浮気を認めない!慰謝料と離婚のための対処法

浮気の証明は難しく、ツーショット写真やホテルのレシートでも決定的とはいえません。だからこそ、証拠を多く集めて相手を言い逃れできないようにするのがおすすめです。このほか、夫の借金を示す書類なども妻側に有利な証拠といえるでしょう。

服装や態度まで。弁護士はいた方が有利なのか?

離婚調停では弁護士を雇いさせすれば絶対に要求が通るとは言い切れません

しかし、いないよりはいた方が有利とはいえるでしょう。理由としてはまず、弁護士は的確なアドバイスをくれます。過去の離婚調停の事例を引き合いに出しながら、本人がどのように振舞えば裁判所を動かせるかを知り尽くしているのです。

発言内容から服装、調停中の態度にいたるまで弁護士がいると細かくチェックしてくれるでしょう。また、弁護士は夫婦に関する法律の専門家です。依頼者の主張が通るために法律を駆使し、相手側の主張の隙を突いてくれます

本人では気づかなかったような進み方で裁判所に要望を通してくれるでしょう。そのほか、弁護士がいると相手に直接話しかけなくて済みます。険悪な夫婦でも離婚調停中のストレスが軽減され、感情的にならずにやり過ごせます。

着手金・成功報酬 | 弁護士費用の相場は安いか高いか?

離婚調停を弁護士に頼む場合、どの程度任せるかで費用は大きく変わります。

たとえば、相談してアドバイスをもらうだけなら5万円前後しかかからないこともありえます。代理人は頼まなくても書類の作成だけ請け負ってもらえるなら10万円が相場でしょう。代理人としてしっかり調停に立ち会ってもらうとなると、まず着手金で30万円から50万円ほどかかります

そのうえ、成功報酬として慰謝料の一部とともに、50万円前後を払う必要もあります。これらの費用はあくまで調停の立会いだけ頼んだ場合であり、調停がない日にも税理士との話し合いや離婚事由の証拠集めに協力してもらいたいなら総額200万円前後の費用は想定しておきましょう。

ちなみに、親権争いが含まれると弁護士費用はふくらむ傾向があります。出張費や休日出勤などによっても割り増しされ金額が高くなる傾向にあるるので、事前に料金プランはしっかり確認しましょう。

 

離婚に強い弁護士が法的に解決いたします

離婚問題でお困りの方は、離婚に強い弁護士にご相談ください。慰謝料、財産分与、親権など離婚を有利に進めることができる可能性があります。

弁護士に相談することで、以下のような問題の解決が望めます。

  1. 慰謝料がもらえない
  2. 財産分与が妥当でない
  3. 親権がとられそう
  4. 養育費が納得いかない

離婚に強い弁護士に相談・依頼することで、相手との交渉を有利にすすめ、難しい手続きもサポートしてもらえます。

1人で悩まず、今すぐ離婚に強い弁護士にご相談ください。

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執筆・監修
服部 貞昭
ファイナンシャル・プランナー(CFP・日本FP協会認定)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
東京大学大学院 電子工学専攻修士課程修了
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